フジテレビ火曜9時ドラマ『アタシんちの男子』を楽しみましょう!!
ドラマは感動のうちに幕を閉じましたが、まだまだ『アタ男』熱は冷めません。
終了したドラマなのでネタバレ含みます。ご承知おきください
『アタシんちの男子』をこれから見る方、ストーリー、次回予告、登場人物をお探しの方は、
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走る

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たとえば刑事モノの新米刑事とか、物語のゼロ座標になるキャラクターは、よく走るじゃないですか。(気が焦るとかでも意味は一緒かも)
それは彼が、物語を視聴者と一緒に物語(状況)を駆け抜けるポジションだからだと思うんです。なんのひねりもなく走って見せているというより、人の生理として、つられて心拍数が上がる仕組みを利用しているのではないかと。
その結果、彼と呼吸が合わせ易くなるというか、合うようになるんですよね。自然と合っちゃうと言ってもいいと思います。どきどきが伝染るってやつですね。
恐怖体験を一緒にすると恋が芽生えやすいってのも似た仕組みなんじゃないかと思っているんですが、学術的根拠なし。でも、呼吸を合わせるとなぜか「落ち着く」というのはよくあることで、眠れないときは隣の人の寝息に合わせて眠ったり、知らない者同士が、だんだんうまくいくようになる(関係が落ち着く)ことを「息が合う」といったり
体験的に「合う→落ち着く(ストレスフリー)」ということを知っているから、「落ち着くために合わせる」ように無意識にしてしまうんじゃないでしょうか。
映画とかだと顕著なんだけど、走る姿の長回しとか興奮のスイッチが入りやすいですよね。脚気のように、ぴょこんと入っちゃうんですね。私だけ?
アドベンチャー映画、パニック映画みたいに全編はしりまくるものから、観客のスイッチ入れたい、序盤やクライマックスに使われたり。ミュージカル映画やダンス映画も高速で体を使うから仕組みは同じだと思います。
体験値にもよるけど、私は車の高速運転の機会は少ないから、ハイスピードのカーアクションは、走るほど興奮しないけど*1、実体験が豊富にある人ならスイッチはいると思うんですよね。「走る」感覚のほうが共有できる人たちが多いから、こっちのほうが有効なだけでね*2
千里は登場人物中、間違いなく一番走っていますが、それは初回の借金取りからの見事な逃げっぷりがまず圧巻でしたね。わたしは演出意図にすっかりはまって、今では千里がかわいくてかわいくて仕方ないという状態にあります(笑)

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千里が走っているのには、もうひとつ理由があるとおもいます。
それは、性格が行動に現れているから。
公式HPの千里の紹介にあるとおり、「根っからの世話焼き」で「すぐ熱くなる」から、走る。じっとしていられないんですね。じっとしていられないってことは、「せっかち」って性格も持ってるかもしれませんね。
しかも、劇中、一番多く走っています。これはそのまま「パワフル」の表現につながります。登場人物中、一番パワフルということです。
「根っからの世話焼き」「熱くなる」「パワフル」ときたら、堀北真希ちゃんのようにかわいい子が演じていなければ、肝っ玉母さんの属性です*3
あ、千里は肝っ玉母さんになるべくスカウトされたようなものでしたね。

その姿を総合的に表現すると、「一生懸命」と言い換えてもいいかと思います。「一生懸命」にあこがれる人は多いと思います。

大蔵6兄弟のピンチに走る千里
その千里を見て惚れる大蔵6兄弟。
同じように以前から千里に接してきた国土や田辺はもちろん千里が好きだし、たぶん時田や弁護士も、企みはあっても千里を好きになってしまうはずです。
そして、もちろんわたしたちも。

千里一人勝ち状態完成

こうやって見てみると、人の立ち姿とか、歩くペースって性格出ますね。

これを、走るという誰もが見てすぐわかる表現でなく、感情や状況や読み取ることの出来ない仕草で見ている者の感情を操って行く作業が演出ってことなんでしょ。

演出家ってすごいなー。

*1:助手席経験は多いので、車窓風景なら共感できる。路面舗装が後ろへすっ飛ぶ感じとか掴まれますね

*2:余談ですが、強制的に鼓動をあわせられてしまうのが、音楽のベースライン。早いBPMでドカドカやられるとつられて心拍が上がってしまうこと、ありません?あれは聴覚刺激や音圧で施される心臓マッサージのような外部刺激だけど

*3:お嬢さん方は、ご存知ないかもしれません。『肝っ玉母さん』という、主人公=母親が、様々な騒動が起きても明るく前向きに解決していく姿を描いたドラマがあったんです。1969〜1972放映なので私もドラマの記憶はありませんが。昭和的大家族の母親のことって理解でいいのでは