フジテレビ火曜9時ドラマ『アタシんちの男子』を楽しみましょう!!
ドラマは感動のうちに幕を閉じましたが、まだまだ『アタ男』熱は冷めません。
終了したドラマなのでネタバレ含みます。ご承知おきください
『アタシんちの男子』をこれから見る方、ストーリー、次回予告、登場人物をお探しの方は、
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『続きシリーズ』『その後シリーズ』など、お話を読まれる方は、
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アタシんちの男子の針を進めたら…

話が外れてますねー
ちょっと軌道修正したいんですが、取り合えず、仮上げします


■航の母親





猛の携帯にメールが入る
航?

お仕事のない日に、いつもの公園に来てくれませんか?

なんだ?
不思議に思った猛、この間、ジャガイモ投げてきた母親のことも気になったので、

とりあえず、金曜日は、空いてるぞ

と返信




猛がいつもの公園でバイクを停めると、どこで見てたのか、航が駆け寄ってくる
おぉ、少年!
特攻服の猛がピッと右手を上げる
そういう言い方すると、僕もおじさんて呼ぶよ
スタジャンのポケットに手を入れたまま、航、猛を呆れ顔で見る
てめーは、年上に対する尊敬の念ってもんがねーな。
「ったく近頃のガキはよー」と、猛、航を睨みつける
ガキって言ってる時点でおじさんじゃん
ったく、口が減らねーなー。うちのガキどもかっつーんだ
あれ、猛さん、子どもいるの?
バーカ。こないだ言ったろ。弟だよ
あ、上から目線と引きこもりの?
おめ、なんつーこと言うんだ、人の家族に向って
猛さんが言ったんだよ
・・・っるせーな。なんか用事があったんじゃねーのか
あ、そーだった
んだよ、人、呼び出しといて
お母さんが、この間のお詫びがしたいから、うちへ寄ってもらってって
猛、すごい形相でジャガイモ投げてた航の母親を思い出す
あー
猛、うなじに手を当て苦笑いでうつむくとブーツのつま先を見る
ザリザリとつま先で足元の石を弄う
おめーから、かあちゃんにヨロシク言っといてくれよ
怒ってるの?
わたるが心配そうに上目遣いで猛を見上げる
おこってねーよ
じゃあいいでしょ。おねがい
航、手を合わせて猛を見る
めんどくせーよ。
連れてかないと、僕がお母さんに怒られる
航、困ったような八の字眉毛
優に迫るその眉の急角度を見て、猛、思わず吹き出す
おめーの母ちゃん、こわそーだもんな
猛、航の額をぺちと叩く
いた
猛、自分の眉間を人差し指でぐりぐりと揉み、
すげえよく動く眉毛だな
とからかうように笑う
航、自分の眉間を両手で隠す
俺の弟といい勝負だ
引きこもり?
いんや
上から目線?
いや、カマモデルだ
他にも弟がいるの?
おう
猛、胸の前で両手の拳を揃え、「何すんの、もう!」と優のモノマネ
うわ
あまりの気色悪さに、目を逸らす航
ま、安心しろ。こいつもただいまキャラ変中だ
キャラ変?
「僕、頑張る!」って、男磨きながらお肌も磨くって言う、わけわかんねーことになってっけどな
航、ますますわけがわからないという表情で猛を見る
4人兄弟なの?
猛に四本指を立ててみせる航
いんや
猛、航の手を掴むと、折り曲げられた親指を開かせる
5?
びっくりする航に「もう一声!」と楽しそうに笑う猛
大きく広げた航の掌の真ん中に、猛が人差し指を押し当てる
6人兄弟だ
え〜!?うちの家族より多いじゃん
ま、いささかうちは特殊なんだよ。それに、7人家族だ。もう1人、ちびっこがいる
小学生?
二十歳。
ちびっこじゃないじゃん
いや、あの色気のなさは、小学生レベルだ
は?
気が向いたら、遊びにこいよ。紹介してやるよ。
うーん…
その代わり覚悟しとけよ
え?
おめー。絶対、ちびっこにちょっかいかけられるタイプだわ
ちょっかい?


と、そこへピンクレディーの渚のシンドバッドの着うたがなる
ぉ、その歳で渋い選曲じゃねーか
母ちゃんの携帯だから
にしても渋すぎねーか。母ちゃんいくつだ?
猛、腕組み
三十歳
航、ポケットから出した携帯電話を取り出し、ディスプレイを眺めて1つため息
あ、本人からだ…もしもし
航の眉間に皺が寄る。
何度か頷いたあと、「わかった」と小さく呟く
通話が切られたらしく、パタンと携帯を閉じる航、
お待ちしておりますと伝えてくださいってさ
あ〜!?
上目遣いで猛の表情をうかがう

猛、ぶんぶんと首を横に振る
航、両手を合わせて猛を拝む
猛、そっぽ向く
航、その前に回ってもう一度猛を見る
猛と航、しばし視線で駆け引き


結局根負けしたのは猛
んだよもー、しょーがねーなー
ありがとー
航、ほっと息をつく
ほんじゃ、乗れ
え?
そーと決まったら、早えーとこ、行っちまおーぜ。
猛、トランク方からヘルメットを出して、航にかぶせ、「やっぱ、明よりはちょっとちっせーな」と、呟きながら、顎紐を調節する
大丈夫、今日は金はとらねーよ
お金とるの?
持ってる奴からはな
猛、ニヤニヤ笑い。
俺んとこの、株なんざやってる、クソ生意気なガキからは、もれなくいただくことにしている
かぶって?
博打見てーなもんだ
ばくちって?
親父がやんねーか?馬とか、ボートとか、
うち、そういう人、いないし
航、うつむいてつぶやく
ん?
聞きそこなったという表情で猛が聞き返す
なんでもないと、首を振る航。
話を切り替えるように声のトーンを上げ、「うち、わかるの?」と、早くもバイクにまたがっている猛に尋ねる
わかるわけねーだろ。どこだ?
猛、キイを差し込みながら航に問い返す
航、呆れ気味
四丁目のガードこぐった先の本屋の隣
おう!
猛、うんうんとうなずく
わかったの?
びっくり目の航
わからいでか。こちとらプロのバイク便だぞ
昔の青春映画のスターみたいに、親指で鼻先をこする
へー
航にはジェネレーションギャップがありすぎて、そのポーズの意味がわからず、ぽかんとしている
猛、決めたつもりが反応薄くてがっくり
お得意さんに配達する時、通るんだよ
なーんだ
なんだじゃねーだろ、ホレ、乗れ!
乗ったことない
バイクの二人乗りに腰が引けてる航
しかたねーな
猛、バイクの左側にある、後部座席用のステップを指差す
ここに左足をかけて、俺の肩もって、跨ぐ。いいか?
猛、指差し確認しながらわたるに指導
足かけて、
航、猛の号令に合わせて、おっかなびっくり左足をかける
よし
肩持って
猛の肩を握る航
よし
跨ぐ!
えい!
地面を蹴って右足を後部座席に乗せる航
よくできた
猛、航の体を支えるように後に左手を伸ばして体を押してあげる
足、ステップに付いてるか?
うん
よーし。
わ!高い!
ちょっとだけいつもより高い視線になってはしゃぐ航
な、いいだろ〜
猛、ゴキゲン
航の両手をとって、自分の胴体に回し
しっかり掴んどけ
うん
サイドスタンド外す猛、
しがみつく航の腕が思ったより強いので「、「ぐえ」と、ちょっと苦しそうに呻く
え?
締め過ぎだけど、、、落すよりましか
落すって、ちょっと
行くぞ〜!!
うわー
派手にハンドル切る猛に、思わず目を瞑る航




到着〜
猛、エンジンを停止し、サイドスタンドを立て、両足を着地させる
最初、びっくりしたけど、思ったより、安全運転だった
ハー、と息をつく航
ったりめーだろ?こちとらプロだぞ。免許なくなったら、仕事できねーだろーが
その服装が、誤解を招くんだよ
うるせーよ。ここであってんのか?
そこは、駅前から少し離れた商店街の終わるあたり
まわり見ている余裕がなかった航、はじかれたように目を上げきょろきょろ
おっかなびっくりバイクを降りた航、ヘルメットを外して猛に渡す
うん。ここ。
猛が、バイクから降り、スタンドを立てていると、「ただいま。つれてきたよー。」と、航が引き戸をあけて建物の中に入っていく
ヘルメットを脱ぎながら、こんな通り沿いに、普通の家なんかあったかな?と首を傾げる
おい
振り返ると、航が入って言った先は、縄のれん
ここか?
飲み屋・・・、か、蕎麦屋…でも、本屋の隣っつったら、ここしかねーよな
肝心の航の姿が、見えないもんだから、 猛、遠慮がちに縄のれんから店内を覗き込む


と、目の前に、平身低頭の女性
その節は、たいっへん、申し訳ないことをいたしました!
え?
猛、目をぱちくり


先日、うちの常連さんの八巻さんから、公園で航が暴走族に捕まっていると知らせが入った時は、もう、本当に驚いて
下を向いたまま、女性が一息に言うと、カウンターの真ん中に座っているおじいさんがのんびりと手を上げる
俺、俺、ごめんねー、おにいちゃん。だって、お兄ちゃん、そんな「なり」なんだもん
と節くれ立った指で猛を指差し、言い訳をする
はあ
猛、おじいさんを見て苦笑い
さらに恐縮して小さくなる女性
それで、武器になるものと思ったんですが、動転して野菜籠持って出かけてしまいまして
はあ
猛、自分に投げつけられたジャガイモやかぼちゃを思い出す
あん時は、すごい剣幕だったもんなあ
小上がりのサラリーマン2人組がジョッキを傾け頷いている
その反応に赤面する女性
後で航に聞いきましたら、何でも、いつも親身に話しを聞いてくれるおじさんだって言うじゃありませんか
航、あわてて「しー」と口元に人差し指を当てる
おじさんていったらだめだよ
しかし、母親の耳には届いていないらしい
ほんっとに、なんとお詫びしてよいやら
と、さらに深くあたまを下げる女性
猛、そのいきおいにびっくりしてあとずさる


深く下げていたあたまをあげて、申し訳なさそうに猛を見るのは、驚いたことにすっごい美人
ゆるくウエーブがかかった髪、センターパートの前髪からのぞくきれいな額。やさしい眉と大きなひとみを曇らせている


…僕の、お母さん
遅ればせながら、航が紹介する
航の顔には、身内を恥ずかしがる独特の表情が浮かんでいる
航の母です
また、がばっと深くお辞儀する女性
美人だけど、落ち着きないのよねー
カウンターのじいさんの隣にいるちょっと派手な服装の女性が、楽しそうに笑う
航、さらに恥ずかしそうにこめかみを掻く


猛、いきなりの展開に目を丸くしている


これが、少年の母親ってわけか