三男
■「ザ・シェイプ・オブ・シングス〜モノノカタチ〜」
わたしは金曜日に見てきました
大体、私もこの記事と同じ印象かな
映像化されている作品なので、今更ネタバレを気にする必要もないかと思いますが、一応たたみます
小さめの劇場なので、全体が難なく見渡せ、他のお客さんまで良く見えました
中学生っぽい女の子や、お着物姿の老婦人までいらっしゃって、向井さん人気の幅広さに驚くというより、「この演目で、大丈夫?」と思いました
案の定、冒頭から落書きしてるし…
ショッキングな演出になるのではと見る前に心配していたのですが、見終わってみるとそれほどのことはなく、アダムは翻弄される側なので見終わった後、彼の心情を思って悲しい気持ちになりました。
これなら演じてもイメージ壊すことはないし、手ごわい演目に取り組んだってことで向井さんの評判的には、悪くはならないかなあと。
キャラの挙動や台詞回しも、内向的な役柄だったので、舞台上での印象は薄く感じられたかもしれないけど、美しく変貌していく外見の最終形としては文句ないところだし、初舞台としては、いいキャラを選んだんじゃないでしょうか
劇場もコンパクトなら、キャストもコンパクト。向井理さん、美波さん、米村亮太朗さん、川村ゆきえさんの4人だけなので、人間関係も背景も混乱なく飲み込めたし、舞台も近くぎこちない空気感まで伝わってきました
この距離だと大げさな声や動きはわざとらしく感じられるので、きちんと抑制された演出はさすがだなあと思いました
特に台詞回しは抑揚が少なめなので、せりふが印象に残りにくく物足りないと思う人と、日常生活のせりふなんてあんなもんだっていう人に別れるかもしれません
でも、小さな声やささやきの雰囲気を感じさせるために、小さな劇場にしたんだろうし。
残念だったのは、円形劇場だったので、どうしても対面のお客様が見えてしまいさめてしまうのと、舞台構造上、セット替えの暗転に時間がかかってしまったところです
以前、三浦さんの舞台を見たときにも思ったんですが、三浦さんの演出はショッキングな部分を取り上げられることも多いけど、観ているときは「うわー、ちょっと・・・」と思っていても、不思議といやな気分で劇場を出ることはないんですよね
リアリティを感じさせるせりふや緻密で繊細な演出により、帰り道、なんだか考えさせられるというか
イブリンの芸術観については違うだろと言えるけれども、アダムについては、ちょっと自分の問題も含まれる気もするし
自分の選択した外見の持つ問題とか、恋をして相手に侵食されていく感じとか、何も通じ合っていなかったとわかったときの絶望感とか。自分は何を得て、何を失ったのか
ってなこと考えてる自分が居て、演出、脚本すごいなと思いました
いわゆる不条理劇じゃなくて、恋愛のもつ不条理を描いた作品でしたね
うーん、良かったけど、三浦さんはしばらくいいや
次は見終わってスカッとする明るい演目が見たいかな