フジテレビ火曜9時ドラマ『アタシんちの男子』を楽しみましょう!!
ドラマは感動のうちに幕を閉じましたが、まだまだ『アタ男』熱は冷めません。
終了したドラマなのでネタバレ含みます。ご承知おきください
『アタシんちの男子』をこれから見る方、ストーリー、次回予告、登場人物をお探しの方は、
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『続きシリーズ』『その後シリーズ』など、お話を読まれる方は、
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最後に見つけた彼の姿

時田さん

アタシんちの男子中、一番スタートとゴールがかけ離れていたキャラ
あのノーブルな微笑が、キレキレのテンションで最終回に飛び込もうとは、思いもしませんでした。
それでいて、俳優さんの凄みを一番感じさせてくれたキャラ

時田の役割は言わずもがななので、今回は感想中心

例のごとくに印象で書いているので、細部に間違いはあるかもしれません
ごめんなさい

時田修司 山本耕史

新造の秘書で、玩具メーカー【ミラクル】の社員。
MIT卒業の経歴を持つ有能な部下で、ミラクルの今後を誰よりも案じている。
新造の死後、千里の世話係となる。
千里も何だかんだ信頼をしていて、何かと相談を持ちかける。
ユーモアもあって、話術も巧み。穏やかな性格で優しい笑顔につい気を許してしまうが、一筋縄ではいかないタイプ。

兄弟が反千里のときは、千里の相談相手として、また、契約履行を進める存在として、兄弟が団結してからは、敵対者として、アタシんちの男子の物語にねじを巻く役割が時田でした。
障害物を持ち込む役割ですね。
千里への障害・・・1億円との交換条件、新造との契約の履行。優しく穏やかな語り口と、契約履行を二本柱に、千里を物語につなぎとめる役割を果たします
物語中盤・・・兄弟の問題の克服と絆の深まりを追う数話では、徐々に異形を醸し出し、わたし達に時田の豹変を納得させる下準備に入ります
大蔵家への障害・・・社長就任、トリックハート城退去勧告。登場人物紹介で示した時田の性格のすべて真逆を行く表現は、一筋縄どころの話ではありませんでした。千里に微笑んだすぐ後に兄弟を罵倒する。その豹変振りが、兄弟を結束させ、千里を守るという兄弟の意思を強固にします。
時田がいることで物語はスピードを落さずに、最後の大爆発へとつながっていきました。

時田は、敵か味方か正体不明で、感情表現も支離滅裂だったけど、不思議と腑に落ちるキャラクターでした
優しいな、怪しいな、不思議だな、不気味だな、怖いな、キてるな、という時田を見て感じたことが、きちんとわたしに中に残っていくんです。
ドラマの中盤で時田を振り返れば、印象の変遷に首をかしげることが自然にできたし、時田の存在に明らかにエマージェンシーが鳴り響いたときも、やっぱり!と思い、不自然に感じませんでした。
これは演出、脚本の力とともに、俳優・山本耕史さんの力だったと思います。
穏やかで有能な秘書から戯画的道化的仇敵までもひとつながりの体だと感じさせ、一粒の種が咲かせた不思議な花を見届けたときのように時田の変貌に息を飲みました。
そして、物語の決着のとき、時田が新造の真意を知り、急速にしぼんでいくときも、その姿は時田を離れることはありませんでした。
場面だけ切り取ってみると、多重人格的にも見える時田の変貌でしたが、終わってみれば、疑いようもなく、時田は一つ体に一つの心を持った1人の人間でした。
時田は、千里や兄弟と違い、十分に背景を描かれる時間はありませんでした。物語の中に、限られた時間で、確実に仕掛けを繰り返し、一網打尽に網を引き絞ったとき、初めて時田という人物像がわたし達に示されたのでした
わたしたちが見つけた時田は、悪人ではありませんでした。
兄弟と敵対した根底にあったのは、意地。
新造に必要とされていなかったと密かに傷ついた姿は、兄弟とよく似ていました。
時田もまた、理解してくれる誰か(家族)を必要としている1人の子どもでした。
隠し部屋で新造の真意を知ったときの時田の表情は、家族という宝を得た兄弟たちよりも、幼くはなかげで、それまでの時田とまったく違い、今にも泣きだしそうな小さな子供のようでした。
隠し部屋を完封したあと、リビングで響子と話し、新造の肖像画を見上げる時田。はっきりと読み取れる感情は表していませんでしたが、肖像画の中の温かな微笑みに、時田に新たな光を与えてほしいと祈らずにはいられませんでした。
伝えたいことを、伝えたいボリュームで、伝えるべき時に、伝えるべき相手に、伝える。
そんなの、俳優として当たり前じゃんって、思うかもしれません。でも、それができる俳優こそすばらしい。山本さんってすばらしい。
インタビューでは、途中までどちらに転ぶかわかっていなかったということでしたが、キャラ変と感じさせなかったのは、やはり生身の体の感覚が時田に備わっていたからだと思います。そして、不揃いな情報の中でも、時田に血を通わせていったのは山本さんの力だと思います。どんなに支離滅裂でも、血の通った生身の人間が、笑い、怒り、泣いていると理屈でなく頭の真ん中に自然に植え付けられていることが不思議なほどでした。
時田のことを書く文章が、あっさりまとまったことから見ても、多分誰もが感じた時田像はぶれてないんじゃないかと思います
山本さん、さすがです


ここから先の『アタシんちの男子』に描かれていくことは、時田と大蔵家の友情物語であることは間違いありません
続編では、より大きな敵と戦う仲間として、時田さんは強ーい味方となってくれることでしょう!



って、どんなまとめよ