フジテレビ火曜9時ドラマ『アタシんちの男子』を楽しみましょう!!
ドラマは感動のうちに幕を閉じましたが、まだまだ『アタ男』熱は冷めません。
終了したドラマなのでネタバレ含みます。ご承知おきください
『アタシんちの男子』をこれから見る方、ストーリー、次回予告、登場人物をお探しの方は、
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『続きシリーズ』『その後シリーズ』など、お話を読まれる方は、
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あなたがくれた幸せな時

放送が終わって一ヶ月
キャラクター思い出しシリーズも一周して、今回は千里のこと

千里のことは冷静に語れませんのであらかじめお断りしておきます(笑)
千里については、いくつか記事を上げたので、重複してくることも多いかと思います

今までの記事の大きなところではこの辺
このブログ自体、千里が好きと騒いでいるのがベースですから(笑)

最後の姫の敬礼が千里の総括になってると思います

そこで、今回はキャラクター総括ではなく、今まで書かなかった1話から5話を中心に千里とこのドラマについて考えてみようかと思います

想像できると思いますが、当然長いです(笑)

事情により、今回編集途中で上げてしまいます
あとで、推敲の可能性がありますので、ご承知ください


峯田千里(20)堀北真希

二十歳のホームレス少女。
昭和63年11月21日生まれ
幼いころに母親を病気で亡くし、父・徹も失踪。
その後、高校を卒業するまで、親戚をたらいまわしにされた千里は、自然と独りで生きていく術を覚えていく。口でも喧嘩でも負けない勝気な性格はこの頃に形成されたというわけだ。
そんな彼女にも幸せは訪れる。高校を出て、小さな工場に就職した。同時に、一人暮らしも始めた。「ここから生まれ変わるんだ!」なんてささやかな幸せを喜んだ。
ところが、千里の勤める工場にいかにもな借金取りが現れた。なんと、徹が一億の借金をしたというのだ。知らない間に連帯保証人にされていて、千里が払うことに。こうして、彼女のささやかな幸せは一瞬でピリオドを打った。仕方がないので、少しずつ借金を返済する……わけもなく、彼女の取った行動は、ひたすら逃げることだった。
やがて、彼女はホームレス生活を送ることに。住所を持つと、借金取りが追ってくるので、公園のダンボールハウスやネットカフェを転々としながら暮らしている。
父親・徹を探し出すことに執念を燃やす千里の前に借金取りが再び現れて……?!
思い立ったら即行動するタイプ。何よりもタフ!
世の中、大抵のことは気合と根性で乗り切れると思っている。
幼少の頃から様々な苦労を背負ってきたため、食べ物や寝る場所があるありがたみを誰よりも知っている。気が強く、強引でガサツなところもあるが、人の痛みにはとても敏感で、放っておけない根っからの世話焼き。しかし、最大級に不器用でもあるので、すぐ熱くなり、周りとケンカになることも。
妙な空想が働いて、突拍子もないアイディアが浮かぶこともしばしば。

まず、きっかけ
堀北真希さんの主演ドラマでなければ『アタシんちの男子』は見なかったでしょう
大蔵兄弟については、正直どーかな?好きになれるかな?と1話では思いましたが、千里には掴まれて、継続視聴決定

最初は、1話ごとに色が変わる作風

  • 2話 夜ロケ 廃ビル サスペンス
  • 3話 城 コスプレ+アクション
  • 4話 昼ロケ 公園 狂言誘拐

に、ちょっと面白さを感じ始めました。
そして5話のラスト―――千里の帰還ですっかりドラマにハマりました
それはもう、なんで!?というほどに

今にして思うと、5話で物語構造の変化があったんですよね。リアルタイム視聴ではわからなかったけど。
「また構造かよ、色気ねーな」とおっしゃらずに(笑)。構造は、物語をシンプルで効果的に伝えてくれる大事な仕掛けですから。

悩む人 助ける人
1話 千里
2話 千里・翔(巻き込まれ)・優(偶然)・明(こそっと)
3話 智・優 千里・猛(面白半分)・明(こそっと)
4話 力・翔 千里・猛・優・智・明
5話 千里 猛・翔・優・智・明

表にすると一目瞭然。悩む人が5話で初めて千里になっています
1〜4話は、千里が兄弟を理解し、悩みやトラブルに手を貸していき、最終的に兄弟が千里を少しずつ理解していくつくりになっています。
ところが5話で、まっすぐ進んでいたかのように見えた矢印が方向を変えます。
このインパクトが、まずわたしたちを乱す仕掛けです。

  • 1話では1人で智に対していた千里でしたが、
  • 2話では翔を巻き込んで猛の窮地を救います。翔は、千里の命知らずなほどのおせっかいに一目置くことになります
  • 3話では智と千里も巻き込んで猛主導の優の女性恐怖症克服大作戦をやろうとしたり、優を傷付けた吉田真央を猛が罠にかけようとしたり、みんなで泥棒を追いかけたり、バラバラだった大蔵家が、複数人で組んでドタバタを繰り広げます。1話のバスケットも団体戦でしたが、千里を追い出すために展開したもの、3話の団体戦は千里も交えて展開したものという違いがあります。最後は千里が智を傷つけた偽教師に言い放つ「あたしはあんたを許さない」にしびれました。全員が一人の敵に立ち向かう瞬間です。
  • 4話では、力の狂言誘拐に、明を筆頭に、兄弟が、巻き込まれるのでなく、力のために自分から力を貸していきます。翔も、力のために決意します。みんなが、自分以外の誰かを思って行動します。この思いあう矢印が飛び交いあったところに、5話がやってきます
  • 5話では、風に爆弾を落とされた千里が悩みます。1億円もさることながら、誤解を解けないまま大蔵家を出なければならなかったことに。そして、ぼんやり見えてきた家族を失う淋しさに。一方兄弟は、風の話法のインパクトに動揺します。しかし、国土と翔の活躍で、兄弟は千里をきちんと見る機会を得ました。それだけでなく、兄弟はお互いの姿も見るんですね。猛は千里によって変わってきた、外に出ようと頑張る智、人の輪に入っている明、家に帰ってきた翔、女性恐怖症を克服した優の姿を見つけます。ついでにナイスアドバイスをくれた師匠の正体も知ることになります。智も千里の成り行きを心配そうに見守る明を見て微笑みます。翔は、自分に自信のもてない優に、優にしかできないとっておきの策を授けます。明は、素直になれない兄達に代わって「帰ってこいという茶番だよ」と千里に言います。

思い合いの矢印は、双方向どころか、いろんな方向に飛び交い始め、大蔵家を包み始めます。
最後の仕上げをしたのは翔でした。

「おかえり」

千里の帰還。構造の安定。みんなが揃うリビング(家族)の完成。

最初は、「おかえり」という向井さんに萌え殺されたとばっかり思っていました(笑)
もちろんそれもあると思いますが(←あるんかい!)、千里や家族の表情込みで、5話を象徴するいいシーンになっているんですね。
「ここにきたら、もやもやが、すっきりした」という千里の呟き。
声を張ったせりふでもなければ、大げさに際立たせる演出もありません。でも、「ここに帰ってくれば、いつでも家族に戻れるんだ」という千里の気持ちが出ている、いい言葉だと思います。
そして、それを受けとめてくれる「おかえり」と言う家族の言葉
もしかしたら、「アタシんちの男子」の家族像を一番象徴する言葉なのかもしれませんね。

この形が定まったときから、大蔵家の絆は右肩上がりに強まって行きます。そして風の帰還でより磨きがかかっていきます。
私たちの大好きな、大蔵家のリビングです。


千里を好きになれるかどうかで、このドラマの印象は違っちゃうのかもしれませんが、千里を好きになればなるほど、千里が家族に受け入れられたって嬉しさも大きかったですね。
このドラマの主役・峯田千里を演じる堀北真希さんは、演技の上手下手では語れない魅力を持った女優さんですよね。取り立てて特別なことは何もしていないのに心を掴まれてしまいます。彼女の容姿や表面に現れているものだけでなく、内側から照らす何かがあります
印象に残る演技はもちろんあります。例えば、猛との「行かないで」のシーンとか、兄弟に「ありがとう」というシーンとか。でも、彼女の場合、あそこだけではないって思えるんです。千里のたくさんの表情を積み重ねた上での涙だから、見ているわたしも打たれるんです。飛び石でなく、地続きの感情を表現できるって、結構すごいことだと思いますよ。
女優さんを続けていけば、この先きっと可憐さに加えていろんな面を獲得していくことと思いますが、そんな数年、数十年後にも、演技巧者の陥るこれみよがしな表現には陥らないんじゃないかという、信頼できる何かを堀北真希さんは持っていると思います。彼女の精神的なありようだけでなく、育ててくれている周りの大人も、それを大切にしているんではないでしょうか。すごい抽象的な言い方ですが(笑)

『花君』以降、このなんだかわからないものを追って、いろんなことにめぐり合えました。
例えばこのドラマにハマったこともそのひとつ。
ちょっと、最近ではありえないハマり方だったので、自分でも不思議になり、まず、「走る千里」を発見。アタシんちの男子に採られている演出、構造に興味を持ちました。で、千里の走る姿に気がつくと、翔の「視線」の機能に気がつくようになりました。
屁理屈だらけのブログですが、何しろいろんなことに気づかされて、楽しくてしょうがないドラマだったんです。
「何で、好きなのか」「どうして気持ちを揺さぶられるのか」に明確な答えが出ると、まさしく目から鱗、視界が広く開けた気分でした。
しかし更に考えていけば、その魅力は、俳優さんが持つパワーだったり、演者同士の空気感だったり、作り手の熱意だったり、やっぱり言葉では説明し切れないものであることに気づかされました。
そのわからないものを、自分の持っている言葉や経験や感覚で、ざぶざぶ洗うようにして、毎日毎日染め続けていたら、なんだか不思議な色と形のブログになってしまいました。単独テーマのブログって、恐ろしいですね(笑)。

何はともあれ、すばらしいドラマとめぐり合わせてくれた、堀北真希さんに感謝します

あなたがいなければ、すべては始まりませんでした。