フジテレビ火曜9時ドラマ『アタシんちの男子』を楽しみましょう!!
ドラマは感動のうちに幕を閉じましたが、まだまだ『アタ男』熱は冷めません。
終了したドラマなのでネタバレ含みます。ご承知おきください
『アタシんちの男子』をこれから見る方、ストーリー、次回予告、登場人物をお探しの方は、
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『続きシリーズ』『その後シリーズ』など、お話を読まれる方は、
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アタシんちの男子のその後を考えよう

「その後シリーズ」の続きです
うまくいってるといいんですが




河川敷の緑地
元気よく歩く千里と、パーカーのポケットに手を入れて歩く智
どこいくんだよー
どこいこっかー
まさか、何にも考えてないわけじゃないだろうな
何にも考えてないよ。昨夜、思いついたんだから
まじかよ
いいじゃん、まー、とりあえず、散歩散歩
えー
智は、部活、なんかやってたの?
なんも
スポーツは?
やったことねぇ
あ、そういえば大縄跳び苦手だったね
うるせーよ
体力もつけないといけないね
めんどくせー




いいなー、智
リビングの階段脇の、1人掛けソファーに座って、オットマンに足を投げ出している優。
ダイニングテーブルでパソコン開いて株価チェックしてる明
いいなー、智
優、ストールの端を両手でつまんでぐしぐししている。智と千里のお出かけが羨ましくてたまらない。
優さんも誘えば
なんて言って?
僕に聞かないでよ
あっさり話を切られて、しゅーんとする優
いいなー、智
優、ソファーの肘掛に、のの字、のの字と書きながら
いいなー、智
を繰り返す
明、しつこい優に何か言おうと口を開きかけるが、待ってましたとばかりにソファから身を起こした優を見て、
自分で考えたら?
と、冷静につっこむ
唇尖らせてもう一度ソファに身を沈める優に
中学生の僕に何を聞こうとしているんだろうね
声に出すとまた優がうるさいので、視線だけでもう一度ツッコミを入れる明


女性恐怖症を克服したばかりの優の恋は、22歳とは思えないくらい幼くて、中学生レベルって言ってもいいかもしれない。
でも、まだ中一で、恋愛前夜の明には、まったく理解してもらえないみたい




仕事探しって、何するんだよ
仕事探しの基本はここでしょ
千里の指差した先はハローワーク
智、甘い期待を裏切る展開に、こっそり肩を落とす
まあ、仕事探しの旅っつってたからな
千里、智の背中をポンとたたき、
さー、行こー
しかたねーなとついていく智
中に入ってみると、不況の折、端末も相談カウンターも大行列。待合椅子も空いていない。
うわ、すごい人
俺ら、浮いてねぇ?
カラフルパーカーの智と千里、顔を見合わせる
確かに
千里も納得
じゃあ、ちょっと、目先を変えて、次行こう




ミラクル本社


本日の予定は、午前10時に定例重役会、午後1時から面会の予定が3件、午後3時から雑誌取材、以上でお願いします
はーい
決裁待ちの書類がこちら。あと、新製品発表イベントの挨拶、原稿作りましたので、目を通しておいてください
人使いが荒いねー
社長でしたら問題なくやっていただけると、信用しておりますので
褒め殺すねー。まあ、時田の言うこと聞いとけば、うちは安泰だからね
褒め殺し、返されましたねー
ふふふー
それでは、10時にお迎えに上がります
はーい
失礼します
時田、一礼して辞去
あ、時田ー
はい
うちで、バイト募集してるか、人事に聞いてみてくれない?




ここ
ここ?
千里が指差した先はコンビニ
コンビニでバイトすんの?
買い物
自動ドアから店内へ。
文具の棚の前でなにかを探す千里
何?
智が千里の視線の先を一緒に探る
あった、これこれ
千里、手にとって智に見せる
履歴書?
これ書かないと始まんないでしょ
そーか
あと・・・これもね
雑誌の棚の前まで言って、有料無料の求人雑誌を数誌手に取る千里




時田が風に確認
差し支えなければ、どなたが?
智のリハビリと、千里がね、仕事探すんだって
そういうことなら、仕事、作ってもいいですよ。
智も大丈夫かな?あいつ、うまく出勤できるか、やってみないとわからないから
秘書室での雑務というクソつまんない仕事でよければ、いくらでもわたしがフォローできますよ。
悪いな
むしろ、普段から、オッサン相手ばっかりしている秘書室の女子社員は、智さんだったら、喜んで手助けするかもしれませんね。
時田が面白そうに笑う。
そうか、安心した。個人的な頼みをして申し訳ない
千里さんが来てくださることが確定なら、ポスト仕度する根回し、しますけど
秘書のくせに、社長にもできない技を持ってるねー。
勤務歴は社長より長いですから
ま、時田は千里に甘いからね
社長ほどではありませんよ
いうねー。
時田、笑顔で風の言葉を受ける
まあ、あいつら、とりあえず自分で探してみるらしいから、何もなかったときはよろしくたのむよ。
承知いたしました




今度はどこ行くんだよー
千里が指差したのは図書館
ホームレスのオフィスって言ったらここでしょ
俺はホームレスになるわけじゃねーぞ
まあまあ。図書館って結構使えるんだよ。マンガもあるしねー
何しに来てんだよ
閲覧室で並んで座る
夏休みなので、図書館は結構混雑している。老若男女様々。
図書館って、誰がいても違和感なくて好きなんだ
ふーん
まずは履歴書、書こうよ
おう
手書きがいいのよ
パソコンのほうが仕事できるっぽくねえ?
いや、心をこめて書けば、きっと相手に伝わるものがあるはず
隣の千里が名前を書き始めたのを見て、真似して智も書いてみる
こんな字を書くんだな、と千里の指先を見ていたら、千里がすごく近くに座っていることに気づき、智ドキドキする
丁寧な字を心がけて、真剣にペンを動かしている千里。机上を見ているので、伏せた目に長いまつげが際立っている
見惚れちゃって完全に手が止まってる智に、千里が気づく
なに?
ななな、なんでもねーよ
あ、書き方わかんなかったら、記入例、あるよ
おう、さんきゅ
受け取った記入例でゆだってる顔を仰ぐ智
あついの?
ちょっと
最近は冷房もエコ設定だからねー。
そうだな




誰もいないリビング
あくびをしながら翔が階段を下りてくる
手には自分で支度した簡単な昼食の載ったトレイ
優は仕事に行ってしまったみたい
明もいねーのか
イスは全部空いているのに、つい自分の席に座ってしまう翔
軽くトーストしたパンに、ハムや野菜やチーズを適当にはさんだサンドイッチを食べながら、雑誌を開いて一人気ままに昼ごはん
それはそれで、いいもんだけど
いつもだったら、千里が話し相手になってくれるのにな、と思うとちょっと物足りない気もする
頬杖ついて、リビングをゆっくりと見回す
6年ぶりにこの城に帰ってきてから、リビングがにぎやかなことが当たり前みたいになってたから、うちのリビングの広さをわすれてたな、と思う。
家族と時間が逆転してるのは、しかたがないことだけど、
あんがい、つまんねーもんだよな
と、もぐもぐと咀嚼しながら呟いてみる。




できた
おれも
二人、履歴書見比べる
智は高校生、千里は逃亡生活してたために、履歴書、スカスカ
二人、白紙に近い履歴書を眺め、呻く
俺らが自力で仕事探すって、
かなり無茶かもねー
俺さ、うすうす思ってたことがあるんだけど、
なに?
千里…さん、さ、今日、仕事探し、する気ねーだろ
そ、そんなことないよ
バサバサと求人誌をめくる
あ、閲覧室のパソコン空いたら、ハローワークのホームページ見よう
それなら家でも出来るだろ?
そーか
千里、苦笑い
それに、俺の仕事なんか、見つかるわけないじゃん。
それについては、あてがあるんだ。
えへへと笑う千里
一抹の不安がよぎる智




社長、私からお願いできるのなら、もう1人、ヘッドハントしたい人材があるんですがね
奴だろ
はい
あいつは大人だからね。俺にはとやかく言えないよ。口説くんなら、時田に任せる
風の返事を笑顔で受け取る時田
一礼してきびすをかえし、二、三歩歩いて立ち止まる
どうした?
時田の気配を感じ、書類に視線を落としたまま問いかける風
社長
んー?
ちょっと、お耳に入れておきたいことがあるんですが
ん?
言いよどむ時田。
書類から顔を上げる風




千里、電話連絡がついた数社の宛名を履歴書の封筒に記入
よし。後は投函。
俺のは書いただけなのかよー
智は持参
え?どこに
いいからいいから


図書館を出た智と千里
図書館がある場所は、小中高大と学校が集まる、街の文教地区。そのせいか、緑も多く、蝉時雨
夏休みだから学生も少なくとても静か。グラウンドで部活をしているらしい声が遠くに響く。よく耳を澄ますと、ブラスバンドの音出しも聞こえる
千里がこっちと指差す
まだ歩くのかよー
と、ちょっと嫌になりながらも付き合う智。歩調はだらだら
千里が立ち止まり智を見ている
遅れてる自分を待ってくれているのかと早足で追いつくと、千里は智の顔を見て、にっと笑う

ここが智の最終目標
千里が指差したほうを見ると、良く知っている名前が刻まれた校門
もちろん一度も来た事はない
レンガ風のタイルが張ってある外壁を見上げる智
学校は逃げないんだから、あせらず頑張ろうね
・・・おう


しばらく立ち止まって、千里と智、建物を見上げる




少し人が増えたリビング
雑誌を読んでる翔
あいつらうまくやってんのかね
パソコン開いてる明
さあね
二人が相手してくれないので、うろうろしっぱなしの猛
智はちびっこが気になって、仕事探しどころじゃないんじゃねーか
猛、仕事終わるの早すぎじゃねー?
目障りなので、ついつい猛に声をかけてしまう翔
俺様の手を煩わすまでもねーと現場監督が言うからよー
邪魔ってこと?
ああ、なるほど
んだとこらあ
翔の胸倉つかもうと手を伸ばす猛。
プライドが傷ついて悔しいんだか、相手してもらって嬉しいんだか




ここ、ここ
千里が指差す先にあるのビル
千里は勝手知ったるといった様子で自動ドアを入っていく

きょろきょろしながら後を追う智
そこは、ネットカフェ
こんにちわー
ぁ、千里さん、いらっしゃい
カウンター内に、知っている顔があって驚く智
国土!
おー、智くん。久しぶり
人懐っこい笑顔で笑う国土
ねー、バイト雇ってくんない?
千里さんですか。もちろん大歓迎ですけど
ううん、この子
え!?おれ?
智くん!?
この子さー。今、外出リハビリ中だから、時々休んじゃうかもしれないし、早退とかもあるかもしれないの。だからね、国土くんとこがいいかと思って
えー
突然の話に驚く国土
お願い!
千里手を合わせて国土を見る
勝手に話を進められて、展開に追いつけない智。千里と国土に無理やり割り込み、
おい、俺の意見は?
険しい顔の智に対し、千里はにっこり笑う
あたしなりに考えてみたの。智に合うところ
・・・
理由は三つ。千里は指で数えながら解説
一つ目。智、パソコン、嫌いじゃないよね?
必要だから使ってるだけで、別に好きでもねーよ
二つ目。国土くんは、信じられないくらい留年しまくって高校を卒業してるの。だから、相談相手には適任だと思うんだよねー
千里さん、それ、あまり大きな声で言わないでください、と国土が苦笑い。
三つ目。いきなり知らない人ばかりの中より、いいかと思って
・・・勝手に何言ってんだよ
国土くん、一日おきか二日おき。時間は短めに。負担は少なめに。できればバイト代は高めに。ってことで、お願いできないかなー
千里さんが言うなら
バカ、国土、何言いなりになってんだよ
だって、千里さんのお願いだから
熱くなってる智と対照的に、なに当たり前のこと言ってんの?とまったく普通のテンションの国土
お前店長だろ、そんないい加減でいいのかよ
いいんです!
国土、断言
ありがとー!!
千里、拍手。千里の喜んでいる顔が嬉しくてたまらないと表情を緩ませる国土。でれでれ。
じゃあ、智。あとは国土くんとよく相談して
智の背中をポンとたたいて、きびすを返す千里
どこ行くんだよ
反射的に手を出して千里の腕を捕まえた智。兄弟たちと違うやわらかい感触にびっくり。あわてて手を離し、赤面&挙動不審。
もちろん千里は全然気がつかないんだけどね。
あたしは、さっき送った履歴書の結果が出るまで、義男さんの畑手伝えるかお願いしてくる
お前もここではらくんじゃねーのかよ
家族と一緒じゃ、リハビリにならないじゃん。
仕事探しの旅とか言って、最初からここに来るつもりだったんじゃねーのか
振り回されて、ちょっとすね気味の智
えへへと千里が笑う
みんなもよろしくねー
千里がフロアに声をかけると、千里親衛隊がざかざかと終結
うわ!こいつらここにいたんだ
親衛隊のすみかを始めて知った智、驚き。
親衛隊、智なんかほったらかし。みんなで千里を囲んで敬礼
了ー解!しました!!!
千里もちっちゃく敬礼で答える
親衛隊の勢いにちょっと引く智
じゃあ、智、がんばるんだよ。
ピースサインでエールを送ると、千里は「じゃあねー」と手を振って元気にネカフェを出て行く
ちょっと待てってばー
帰り、迎えに来るからー
おい、待てって言ってんだろー
千里を追おうとする智を、国土がしっかり捕まえている
離せよ
だめです。千里さんにお願いされましたから。
智、国土に鉄拳制裁
千里をう追おうと試みるが、親衛隊に阻まれてしまい
ざけんじゃねーぞ!
と叫んでみるが、後の祭り



久々に千里のおせっかい爆弾投下。吉と出るか、凶と出るか