フジテレビ火曜9時ドラマ『アタシんちの男子』を楽しみましょう!!
ドラマは感動のうちに幕を閉じましたが、まだまだ『アタ男』熱は冷めません。
終了したドラマなのでネタバレ含みます。ご承知おきください
『アタシんちの男子』をこれから見る方、ストーリー、次回予告、登場人物をお探しの方は、
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『続きシリーズ』『その後シリーズ』など、お話を読まれる方は、
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アタシんちの男子のその後を考えよう

太郎の告白・その3です


どんだけしゃべるんだ太郎ちゃん(笑)
いえ、悪いのは太郎ちゃんでなくて、アキノでしたね…ヾ(_ _。)
誤字脱字加筆修正あります。
いつもいつもすみません




そしたら、どうしても、一目、見たいものがあったことを思い出したんや


太郎の言葉に、顔を見合わせる兄弟と千里


城中、必死で探しても、俺はどうしても見つけられなかった
だから、仕掛けた賭けに、みんなに言わずにもうひとつの賭けを、こっそり上乗せしたんだ
それが見つかるか見つからないか
千里ちゃんを探す過程で、みんなが城中をひっくり返す
そのときに、もしかしたら、僕が探しているものも見つかるんじゃないかって、祈るような思いだった
捜していたのは、新造さんの発明の原点。
新造さんの軸をぶれさせなかった、本当の出発点を、一目見たくて
見たら、僕は大丈夫なんじゃないかって…


多分、それは、僕がこれまで探した場所にはない
そして多分、家族にしか見つからないように、新造さんは、大切にその思いを閉じ込めているはず
絶対、この城の中にあるはずなんだ
新造さんが家族を思って作ったすべての発明の、出発点が


それはね…
太郎、新造の肖像画を見上げ、それから兄弟と千里を見る
新造さんの、一番最初の発明品


一番最初の、発明品?
なんだそりゃ?
翔が太郎に尋ねる。隣で猛、首をひねっている
新造さんが、小さい頃、僕に話してくれた、家族のための発明品・第1号
太郎、指を1本立ててみせる


発明品・第1号??????


それを作ったときから、新造さんは、おもちゃを作る目標が決まったって言っていたのを思い出したんだ
太郎の言葉に、顔を見合わせる千里と風
聞いたことある?
いや…?


新造さんの遺産の調査をしているうちに、俺はどんどん、自分の仕事への不安が増してきて、みんなとにやっつけてもらおうと決心した
?デーはみんなに帰阪の挨拶をする日
その日に合わせて作戦を練ったんだ
みんなに本気になってもらう方法…
兄弟の半分以上が成人してるんだから、生半可なことではこっちの思惑を理解されてしまう
そうでなくても、みんなは底なしにお人よしやし
だから、申し訳ないけど、千里ちゃんを隠すことにした
隠すところは、新造さんの言葉をヒントに見つけた「発明の部屋」
リミット1時間では、僕は余裕勝ちしてしまう
これでは意味がない
半日にしたら、頭のいい風さんが何かに気づいてしまう
何より千里ちゃんが辛い
2〜3時間が限度だなと思った
そんなことを考えながら、「発明の部屋」を調査していて、思い出したんだ
発明品・第1号のこと


太郎の言葉に息を呑む兄弟


最初、僕はダンボールの中の発明品と一緒にあると思っていたから、一点一点丁寧に調べなおした
おもちゃ広げて、遊んでるだけじゃなかったんだな
翔、腕組み
ほんと、油断も隙もないやつだわ。データ採るって言っちゃー査定してるし、遊んでると思ったら、今度は調査かよ
猛、ご不満顔
ごめん。もともと遊びを仕事にしちゃったようなもんだから
太郎、顔の前で手を合わせて詫びる
あの中にはなかったんだね
千里が呟く
うん。それで今度は、井上さんに城中くまなく案内してもらったんやけど…
あ!『私家版・大蔵家のすべて』
優、口をあんぐりあけて、びっくり眼
あの何冊もあった野帳*1はそのための!
智、太郎が常備していたノートを思い出す
マジ調査じゃん!
うろたえる優
何日もかかってたよね
千里も、その頃の太郎のお城探検への熱中振りを思い出す
おめーは,ひとんちで、何やってんだよー
猛、苦々しい顔
かわいい顔で油断させといて
呆れ顔の風
抜け目ないというか
困惑の八の字眉毛の優
無駄がないというか
智、不満げにアヒル口
ただでは転ばないというか
翔、腕組みして苦笑い
みんな、ちょっと言いすぎ
千里、毒舌兄弟にあきれる
太郎さんも、言ってくれれば、みんなで探してあげたのに。1人で秘密にしてるんだから
太郎、首を傾げて千里を見る
簡単に見つからないってことは、隠してるって事でしょ?
うん
隠している相手が、誰なのかってのが問題だと思わない?
は??????
兄弟、千里、困惑
たとえばさ、『発明の部屋』
あれは俺たちに見られてもどーってことないだろー
みんなはそうやろけど、新造さんは違うと思うよ
なんだよ
あの人は、人を驚かすことが大好きだったから、息子達の誰にも見つからないように隠れて発明品を作ってたんだと思うよ。でも、みんなと離れてるのは寂しいから、リビングのすぐ近くに隠し部屋を作ったんだと…。どうこの推理!お客さん!
すっかり立ち直りやがって
猛、視線だけで太郎を睨む
へへ
太郎、ごまかし笑い
ま、確かに、隠し部屋ってのはそういうもんだろうな
うん。遺産の部屋も、必要なタイミングで開けるようになっていたよな
財宝の部屋も、母親10か条をクリアしないと、開かなかったし
なんか、目的があって隠してるのか
隠し部屋について話し合う風、翔、優、智
千里、話している兄弟のそばに行き
ねえ、それ、あたしたちが見つけたもののことなのかな?
と尋ねる
みつかったの!?
太郎、驚く
多分…
翔、首をかしげながらゆっくり頷く
太郎さんが言っているのと、同じものかは、わからないけど
優、腕組みした手を半分ほどき、右手を顎に添える
それ、見せてもらえるかな?
太郎、遠慮がちに兄弟を見る
うん。―――いいよね?
千里、太郎に頷き、そばにいた風の顔を見上げる。
千里を見て、風も肯く
太郎がいなければ、見つからなかったんだし
風の考えに、兄弟も同意する
太郎が千里に聞く
どこにあったの
発明の部屋だよ
千里、「行こ」と、太郎を促す
太郎、そのままリビングにとどまる兄弟に気づく
みんなは行かないの?
俺たちはいいや
恥ずかしいから
兄弟、下を向いたり、そっぽを向いたり、なんだか照れくさそうな素振り

太郎、不思議そうにみんなを見ている
翔、照れ隠しにかったるそうな声を出し、
じゃあ、兄弟を代表して、風、行けよ
そだね、千里さんと太郎さんを2人きりにはさせたくないし
優、胸の前で両の拳を握る
信用ないねー
太郎、ニコニコ
信用なんか絶対できねー
智、ビシッと太郎を指差す
えー
指を突きつけられて、頭を掻く太郎
じゃあ、そうしてくれる?風くん




廊下の曲がり角にある、アンティークの電話から、ポケベル暗号で「発明の部屋に」入室


太郎、「発明の部屋」を見回す
ここなの?
うん
「すごく探したのに、わからなかったな」と、太郎、首をかしげる
これは、使った?
風、プッシュボタンに見立てた図面筒の収納ボックスを示す
うん、部屋の出入りに
千里、楽しそうに解説
これ、結局、大きなリモコンだったんだよね〜
千里、ポケベル暗号を使い、あちこちあけて見せる
へー!廊下へ帰る扉だけじゃないんだ
そうみたい
キーワード1回でOPEN、2回でCLOSE
千里、「ち・か・し・つ」と入力
パカンと床のハッチが開く
千里、今度は「ち・か・し・つ・ち・か・し・つ」と入力
バタンと床のハッチが閉じる
おお〜
太郎、楽しそうに拍手
ここに、ある言葉を入れると、新造さんの発明が見られるの。―――風、お願い
千里の目配せに頷く風
キーワードは、『リビング』
風、ポケベルコードを押す
ぜんまいが巻かれるような音がして、トリックハート城の絵が描かれて壁が開く


ずずずずずずずず


城の絵が隣の壁に収納され、開口部が現れる
太郎、わくわくした子どものような表情
ここに座って
千里、太郎の肩を叩き、立方体に座らせる
壁の穴を抜け、リビングの入口のこうもりを押す千里
キキキ
とこうもりがなき、リビングの扉が開く
リビングの中では、猛、翔、優、智が太郎を見つめている
千里、リビングのドアにもたれて、太郎をみつめる


あ!新造さん


太郎が息を呑むのが、背後にいる風にもわかる
すごい…!。まるで家族写真みたいだ
風が照れくさそうに微笑む。六人の養子たちの額を指し、
親父が生きていた頃に撮った写真だから、まだ俺たち、笑ってないけどな…
でも、新造さんには大切な息子たちだったんだよ
太郎、感心したようにため息
風、図面台の椅子に座って、太郎の背中に話しかける
ここに、千里の写真を飾ろうと思っている
うん、そうしたら、もっとよくなる
太郎、背後の風を振り向いて、にっこり笑って、大きく頷く


すごいな、こんな仕掛けがあったんだ
興奮冷めやらず、と言った様子の太郎、今度は自分でポケベルコードを入力し、壁を閉めてみる
ゆっくり壁が動いて、トリックハート城の絵が再び現れる
太郎、壁に近づき、表面を撫で、「どこが開いたか、全然わからん」と感心しきり
千里、太郎のそばに行く
太郎さんが探してたのは、これでしょ?
太郎、残念そうに首を振る
やっぱり、そううまくはいかんもんやな
この他に、まだ、何かあるのか?
風、眉根を寄せて思案顔
太郎も真似して眉根を寄せる
あるとしたら、ここだと思ってたんだ。だから千里ちゃんに期待してたんだけど

千里、首を傾げる
暗号解くの、得意って、聞いてたから
太郎、千里を指差す
千里、申し訳なさそうに頭をかく
他の隠し部屋がありそうなところも、あらかたのぞいたけど、部屋の体裁もしていないところが殆どだった
城全体の探索をしていた風も、首をひねる
しかたないよ
太郎、明るい表情で二人の顔を見る
ありがとう。この仕掛けが見られただけども、十分だよ。
廊下への扉を開け、帰ろうとする太郎と風を、千里が呼び止める


もうひとつ、からくりの心当たりがあるんだけど…
え?
驚く風と太郎
これ
さっき太郎が座ったいた立方体の椅子を指差す千里
この椅子?
まあ、椅子というには、へんな形かも。クッションもないし
太郎と風、椅子のところに戻ってくる
「寄せ木模様がきれいだよね」と太郎が呟く
あ!
風が千里を見る
寄せ木ってことは、からくり箱か
そう!可能性、あると思わない?
そうだな
跪いて立方体を確認する風
ドキドキ見守る千里と太郎
風の手が止まり、千里を見上げてニッと笑う
多分、開くぞ、これ
お願いします!
太郎、祈るように手を合わせる
風、床に胡坐をかき、立方体の表面を撫でる
据え置きの立方体を三人で囲む
うん、と頷く風。
まず、立方体の右側面上部を向こう側に押す
木片が滑らかに動く
おー!!
千里、太郎、拍手
あとは、開いた隙間にあわせていけば…


5回目の手順を終えたとき、立方体の上面が開き、中から革張りの本が現れた


3人、上気した顔で、目を見交わす
風が千里を見て頷く
千里、慎重に手を伸ばして本を取りだす
風、今、開いたからくりをすばやく閉じて、「ここに」と、立方体の上に本を置かせる


赤い革張りの本。表面に箔押しの文字と装飾


やっぱり、これは、あれだよね
驚いて千里の言葉がおかしくなっちゃってる
風と千里は、『からくり城と七人の勇者』の絵本が入っていた洋書風ケースを思い出している
千里が手を伸ばし、皮表紙をまくると、予想通り、内側が刳り抜かれた箱になっていた


中にはつまみが二つ付いたレンガくらいの大きさおもちゃと一冊のノート


これは?
顔を見合わせる千里と風の隣で、太郎が固唾を飲む
これだよ
え!?
太郎、心なしか、声を震わせている
これを探していたんだ
風が驚いて太郎を見る
これが、第1号なのか?
うん
ため息のように長い感嘆の息をつく太郎
風、手を伸ばして箱の中に入っているおもちゃを取り出し、千里に渡し、表紙を模した蓋を閉じる
風と千里、顔を見合わせ、太郎に尋ねる


これが、発明品・第1号なのか?
うん、そうだよ。
太郎、頷いて、千里に手をのばす
千里、発明品を太郎の手に乗せる
まぶしそうに自分の手の中の発明品を見つめる太郎
ありがとう。見つけてくれて
ううん
千里、微笑んで太郎を見つめ、ゆっくりと左右に首を振る
それがなんだか、教えてくれる?
うん
太郎、頷いて千里を見ると、1つ呼吸を整える


これは、新造さんの発明品・第1号「ミラクル翻訳機」

Miracle Translation Machine
Shinzo Ohkura

革張りの本の表紙の箔押しの文字が金色に輝いてる

*1:フィールドノート