アタシんちの男子のその後を考えよう
家族揃って・その２
言いたいことがいっぱいあって、うまくいかずってのはいつものこと
結局推敲したって、大演説大会じゃん！
あーあ。文章力が欲しいなー〆(´△｀
誤字脱字加筆修正の可能性あります
よろしければ続きをどうぞ
オムライスを食べながら、千里、兄弟に説明
いま、あたしがこうしてみんなと一緒にいられるのは、新造さんが知恵を絞ってくれたおかげなんだよね
新造さんは、あたしの掌に、｢母親１０か条｣っていう、宝探しの地図を持たせてくれた
その地図には、スタートとゴールとイベントしかなくてさ、道は自分で考えなさいって言う、不親切極まりない代物
千里、新造さんの肖像画を見て笑う
兄弟も食事をとりながら笑って話を聞いている
｢食事は、家族揃ってリビングで｣。あたしが「家族」ってものを、考え始めたきっかけが、この言葉だったんだよね
作戦立てて、何度も失敗して、ケンカもたくさんして、あんたたちなんか大嫌いって何度も思った
ひでーな
翔、苦笑い
でも、段々みんなのことがわかってきて、「家族ってこういうことかな」って漠然と思えてきた
明、頷く
だから、第１条がクリアできたときはうれしかったな
千里、スプーンを宙に浮かせて、そのときのことを思い出す
母親１０か条を初めて見たとき、第１条はスタートなんだと思っていた。
そこから家族が始まるのかなって
食事ぐらい一緒にしなくちゃ家族じゃないって意味かと思ってた
食べ盛りの智、もう食べ終わっちゃって、口直しの水を飲みながら、千里の話を聞いている
でも、ヤクザに追っかけられたり、ドロボー捕まえたり、狂言誘拐に加担したり、みんなで一緒になって走り回っているうちに、あたしたちはだんだん家族になってたんだよ
千里が大蔵家の事件を指折り数えててるのを見て、風、楽しそうな表情
千里がスプーンを置く
だから第１条がクリアできた時、「ああ、あたしたちは家族なんだなあ」って実感できて、うれしかったの
あの時、「やっとここまできたなあ」って言ってたあたしに、猛が｢ちいせぇ感動だな｣って言ったの。憶えてる？
ああ
猛、食事に集中している振りしながらお返事
そのとおりだなって思った
千里、小さくうなずく
責められると思ってた猛、意外そうに千里を見る
千里、猛を見て笑う
でも、その、小さい幸せがたくさん積み重なって、気がつくとすごくあったかいものに囲まれていた。
それが実感できるのが、｢食事は家族揃ってリビングで｣なんだと思う
だから、新造さん、第１０条にもこれを入れたんだよ。
慌しい食卓だったけど、あのあと、財宝を見つけたあたしたちは自然に、お城と家族を選ぶことができた
兄弟も、遺産騒動の日を思い出している
家族の食卓は、仲良くなるところでもあり、家族なんだって実感できるところなんだよ
そういう思いを、知らなかったり、忘れてしまっている人がいるなら、こんな近くにあるんだよって、教えてあげたい
そういう手助けをしてみたいなあって
千里、あらためて兄弟を見る
兄弟も千里の言葉にうなずいている
でも、具体的に何をしたらいいのか、わからないから、とりあえず、家族の食卓を整える手伝いを始めてみたいと思ったの
千里、テーブルを眺める
…たとえば、この食卓に必要なものってなんだろうって考えてみたのね。
食材、レシピ、お皿、テーブルなんかがあるじゃない?
どれも大事なものだよね
智、千里が話の舵を切ったので展開が読めず、顔をしかめる
まずは食材
千里、１本指を立てる
あたしは義男さんちでの畑の手伝いをしてみて、野菜を作る手間と時間にびっくりした
たまには不作の年もあるけど、でも、手をかけただけ、野菜は応えてくれるんだって、義男さん言ってた
食事を色鮮やかに、栄養満点にしてくれる野菜がますます好きになった
それでね、あたしは義男さんちで、本気で野菜作りの勉強をしたいなーって、思ったの
自分の畑を借りて、野菜を作って、ひき売り、いわゆる動く八百屋さんもしてみたいなって
それには、まずは、車の免許取らなきゃね。ベジタブル＆フルーツマイスターもいるね
優、千里の話しにちょっと付いていき損ねている
次にレシピ
千里、指を二本立てる
直売所で、野菜が食べられないお子さんのために、頭を悩ませているお母さんに出会ったの。
そのお母さんが、義男さんのレシピで、子どもが野菜を食べてくれたって喜んでるのを見て、あたし、すごくうれしかった
みんなで楽しく食べられて、健康になれる、家族のためのレシピを作って、紹介できたらなあって思った
栄養士とか、調理師免許も必要かな
猛、あんぐり口をあけている
最後にみんなで食べること
千里、指を三本立てる
「同じ釜の飯を食う」って言葉があるよね
同じ仲間が同じものを食べることによって、「ああ自分はこの人たちの仲間だ｣って思えたり、その思いが強くなったり
｢食事は、家族揃ってリビングで｣とおなじなんだよね
そういう幸せを知れば、そこに帰っていくことができる
一緒に食卓を囲める楽しさを知って欲しいなって
風、腕組みをして千里を見ている
毎日、塾や仕事で忙しい家族は、たまに一緒にご飯を食べる日を楽しみにしてもらいたいし
一緒に働いている人たちや、気のあう友達と一緒にでもいい
一緒に食卓を囲む人たちを家族って考えて、食卓を囲む場所をリビングって考えたら、それはどんなところにだって応用可能だとおもうんだ
みんなでわいわい食卓を囲む
みんなで作って、みんなで食べれば、きっともっと楽しい
血のつながりも何もない、バラバラな人間の寄せ集めのあたしんちで、そういうことができるなら、誰にだってできるんじゃないかな
ゆかり園の子にだって、親子でなければ暖かい食卓を得られないなんてことはないって教えてあげたい
家族だけじゃなくみんなが楽しく食事ができる場を作っていきたいな
翔、呆気に取られている
そしてね、将来は、もっとたくさんの人で野菜を作って、みんなで料理して、わいわい食事が出来るようになったらなあって思うの
義男さんがおじいちゃんになったら、義男さんから畑を借りて、野菜を作りたいお父さんやお母さんや子供たちがみんなで集まって、
畑仕事のわからないことは義男さんに教えてもらって、子どもがいない義男さんちの畑で、にぎやかにみんなで野菜を作るの
老後の義男さんに地代も入って一石二鳥
明、話の急展開に目が点
最終的には農業法人化できるといいなー
ネカフェのみんなにWEB八百屋さんの手伝いしてもらいたいし
雇用が出れば、ホームレスのみんなに少しは仕事を上げられるかもしれない
ちょっと待て！！！！！！
兄弟総立ち。思わず千里を止める
ん？
千里、ぽかんとした顔
兄弟、大騒ぎ
夢がいきなりでかすぎる！
さすがの風も慌ててる
農家なんか大変だよ！
優、両の拳を握って、胸の前でぶんぶん振っている
資格もいっぱいだし！
明、平板口調だけど、驚いている
その上、八百屋とか！法人化とか！
翔、こめかみに手を手々苦虫噛み潰している
家族超えてるっつーの！
猛、ものすごい勢いで千里を指差している
兄弟の剣幕に、千里、目をパチパチ
兄弟が落ち着くのを少し待って、千里、恥ずかしそうに首をかしげる
うん、あたしもそう思う
食材も、料理も、コミニュケーションも、大切なことがたくさんあるなーって、考えてたら、こんな大事になっちゃった
千里の落ち着いた言葉に、兄弟、拍子抜けしてしまう
この、大っきすぎる夢は、今、あたしが思いついたばっかりで、全然現実味がないよね
だから、これから、この中で、何ができて、何ができないか、考えてこうと思うの
千里、兄弟の顔を見渡す
もし困ったら、みんなの力を借りにいくよ
法人化とか、土地の貸し借りの相談は風や響子さんに
うまく行かなくてへこんじゃったら、猛とケンカして元気を貰う
お客さんとうまくコミュニケーションできなかったら、翔に教えてもらいたい
若いママたちが、かわいく楽しく畑ができるワークウェアなんか、優に聞いたらいいかもね
智は、子どもが楽しくなるような。開けてびっくりレシピを一緒に考えてね
明には、あたしが熱くなっちゃったら、冷静につっこみいれてもらいたいな
全然リアルな話にならないけど、何が見つかるか、考えて見る
もしみつからなかったら、また探せばいいんだし
そのときがきたら、相談に乗ってね。頼りにしてるから
と千里、照れ笑い
んだよ、人を驚かせといて、結局「もしも話」じゃねえか
ほっとした智が、千里の頭を小突く
いったいなー。だからいったじゃん。そんな、注目されるようなことじゃないって。
千里も智の肩を叩きかえす
なんだよー
智と千里のやり取りに、優もほっとする
風、顎に手を当て、考え込む顔
目を上げて翔を見る
翔、風の目配せに頷く
俺もそう思うよ
何?その通じ合っちゃってる感じ
優、顔をしかめて２人を見る
千里の腹を読んだんだ
風と翔、にっこり笑って千里を見る
千里、お前は、義男さんちを残したいんだろ？
風が穏やかに言う
え？
千里、びっくり目
さっきの千里の大演説聞いてて、思ったんだよ。確かに筋が通ってないこともないし、言ってる事もよくわかるけど、千里が自分のために、そこまで知恵を絞るかなーって
翔がウインク
いくらお前が筋金入りのお節介だからって、顔も見えない相手に、そこまで積極的に入れ込むとは思えない。
風も笑顔
…ってことはだなあ
猛、眉間に指を当てて思案顔。ピーンと閃き、千里を指差す
おめーの演説の中に登場してきた固有名詞は１つ
あ、義男さん!?
明、納得
そういうことか！
智、腑に落ちて目を見開く
すごく、すっきり筋が通るね
優、自分の胸をなでおろすゼスチャー
思惑ばれちゃった千里、テーブルに突っ伏して沈没
兄弟、千里のそばにより、１人ずつ、突っ伏してる頭を叩く
いったいなあ
千里、ガバッと起きる
兄弟、からかうような笑顔で千里を見ている
一生懸命考えたのに
前半は、説得力あったぞ
違和感があったのは後半だ
話が壮大すぎたんだよ
そこが敗因だな
千里、くしゃくしゃと髪を掻く
義男さんを説得しなきゃならないから、頑張って考えたのにー
兄弟、千里を見て笑う
風、優しい笑顔で千里に尋ねる
お前のやりたいことは、義男さんちを残すことなのか?
義男さんが大事にしている畑を残したいっていう義男さんの気持ちと、思い出の多い義男さんちになくなって欲しくないって言うあたしの気持ち、この二つを合わせて考えたのが、「食事は家族揃ってリビングで」を仕事にしていくこと
千里、２本指を立ててみせる
ふうんと翔が頷く
動機付けはばっちりだったわけだ
問題は、実現方法だな
智が唇に親指を当てて考える
うん、ちょっと突拍子もなかったね
優、唇尖らせて腕組み
今の話を最初に聞いたら、僕たち、驚かなかったのに
明もうなずく
ちゃんといえよ、お前は話が下手だな
猛、千里の背中をばしんと叩く
おめーの知恵には限界があるから、しょーがねー、俺たちが一緒に考えてやるよ、その作戦とやらをよ
千里、呆気に取られて兄弟を見る
優、にっと笑って
みんなで考えれば、きっといいアイディアが浮かぶと思うよ
そうそう。三人寄れば文殊の知恵って言うじゃん?
智、照れくさそうな笑顔で頷く
なあ、七人寄ったら、なんの知恵っていうんだ?
猛、真顔で腕組みして悩んでいる
ことわざなんだから、３人て言うのは比喩。
ほんと、日本語知らないんだから、と呆れ顔の明
千里さんの考えてること、今の食育の考え方とも、あってるよ
現役中学生・明、学校で聞いた言葉を思い出す
兄弟わいわいと作戦会議を開始
みんなも、考えてくれるの?
兄弟の様子を目を丸くして見ていた千里、小さな声で呟く
当たり前だろ？
風、笑顔
千里さんのことなんだから
優、親指立ててグーサイン
お節介の千里さんは、自分のことには思考停止しちゃうからな
智、千里を指差し照れ笑い
僕たちがお節介にならなきゃね
明、平板口調だけど笑顔
俺たちに、任せとけ〜!!
猛、決め顔でポーズ
宿題は十分クリアしたから、後はみんなで考えよーな?
翔、小首かしげて笑顔
宿題って何?
明が引っかかる
あれ、なんだっけ?
翔、ごまかし笑い
ありがとう！！
兄弟の言葉に、千里、笑顔
千里の笑顔に兄弟満足そうに微笑む
それより、お前、壮大な夢語っちゃってたけど、ほんとにできんのか〜?
猛が千里をからかうと、千里、自分の胸をポン、と、叩く
大丈夫。あたしタフだから
そして、兄弟の顔をゆっくり見渡し
それにへこたれたら、家に帰ってくれば、みんながまた元気にしてくれるんだしね
と笑う
それでは、お手並み拝見いたしますか
猛が、ひとつ手を打ち、景気のいい音をさせる
千里の夢の、「方向」が決まったのを祝して
風が、みんなに食卓のグラスを取るようにしぐさで促す
大げさだよ
千里、苦笑い
暫定的にだよ。これ、お水だし
明、グラスを千里に見せる
本格的には、ちゃーんと決まったら、祝ってやるよ
翔がにっと笑う
いいじゃんいいじゃん
優、千里にもグラスを上げさせる
じゃあ、筋金入りのお節介に
風の声にみんな千里に注目
千里、恥ずかしそう
かんぱーい！！！！！！！
