フジテレビ火曜9時ドラマ『アタシんちの男子』を楽しみましょう!!
ドラマは感動のうちに幕を閉じましたが、まだまだ『アタ男』熱は冷めません。
終了したドラマなのでネタバレ含みます。ご承知おきください
『アタシんちの男子』をこれから見る方、ストーリー、次回予告、登場人物をお探しの方は、
「はじめに」「まとめ」のカテゴリーからどうぞ
『続きシリーズ』『その後シリーズ』など、お話を読まれる方は、
「目次」のカテゴリーからどうぞ

アタシんちの男子の針を進めたら…

今日もちょっと上げます




■明の夕飯


ただいまー
斜めがけしたメッセンジャーバッグを下ろしながら、智がリビングに入ってくる
おかえり
ダイニングテーブルでパソコン開いて株価チェックしている明がお返事
あー腹減ったー
智、自分の椅子にバッグを置いて、キッチンに直行


すぐに、まあるいオレンジの大きなせんべいを、口に咥えてリビングに戻ってくる
智の大好物、えびのみりん焼き
行儀悪いよ
明がパソコンから目を上げて、智に一言
図書館帰りで腹減ってんだよ
ぱりぱりと音を立ててえびせんべいを噛む
智、リビングに明しかいないのに気づき
みんなは?
明、めがねをちょっと直して智に報告
風さんはおもちゃ協会の理事会の後、響子さんとこ寄るって、翔さんは残業
会社って大変だなー。
智、大きくせんべい割りながら、納得の表情
猛さんは外食
また?最近多いな
リズミカルにぱりぱりとせんべいかむ音をリビングに響かせつつ、首を傾げる智
優さんと千里さんは一緒に食事してくるって
智のせんべいを噛む音が止まる
…なんだよそれ
沙織さんと佳織さんも一緒だって言ってたけど・・・
眉間に皺を寄せて不機嫌そうにうつむく智
明、智が顔色失ってるのを見て、話す順序を間違えたことに気づく
聞いてる?
智からは返事がない
明、表情に出てはいないけど、まずいこと言っちゃったなと反省している


今日はお2人だけですから、すぐにお食事できますよー
井上さんがキッチンから夕食の乗ったトレイを持って階段を下りてくる


いらねー。今日は萬菜庵から出前取るし
智、自分のバッグを持ってさっさとリビングから出て行ってしまう


いらないんですかねー
井上さん、トレイに乗った夕食と智が出て行ったリビングのドアを交互に見る
失敗しちゃった
明、めずらしくため息
なんですか?
ううん。後で気が変わるかもしれないから、取っといてくれる?
明、井上さんを見る
いーですけど。
井上さん、明の分だけ食事を支度し始める
智さん、久しぶりにあの仕掛け使う気ですかね?
そーみたいだね
井上さんと明、話に聞いたことがあるが、まだ実物を見たことはない智専用出前口を想像
久々に、お一人の食事になっちゃいましたね
へいきだよ
一緒に食べて上げましょうか?
井上さん、明の皿からトマトをひとつつまみ食い
僕の食べる分なくなりそうだから、やだ
そーですかー?
井上さん、智の食事の乗ったトレイもってキッチンに引き上げていく


今日のメニューは黄金チャーハン、わかめスープ、野菜サラダ
明、智が出てったドアを見て、
口は災いの元だって、兄弟見て学習してたはずなんだけど、
と、ちょっとだけ意気消沈しながら、スプーンを口に運ぶ

一口食べるとなかなかの美味
!!
二口食べると、予想以上のおいしさに、明、テンションが上がってきた
おいしい!
明のスプーンが勢いづく
井上さんの黄金チャーハンはかなりヒット
変なやきもちやいてないで、こっち食べればいいのに
明、智の部屋のほうを見る


久々の1人っきりの食事
物足りないけど、淋しくないのが不思議だなと思う明
一日の終わりの夕飯は、ほかの食事よりも、一人きりで食べることを寂しく感じてしまう
以前は、これから先も、ずっと1人きりで食事をしていくのかなと、気分が沈んだりもしたけど、
今は、明日の朝には、また、みんなでにぎやかに食事が出来るんだから、たまには1人も気楽でいいやなんて思えてくる
同じ一人きりの食事なのに、不思議だなと、明、ちょっと笑って首を傾げる




ただいまー
千里と優が帰宅すると、

おかえり


リビングには明1人
いつもの席でノートを広げている
千里、明の隣の空いたイスに座る
えらいね、宿題?
うん
ご飯は食べた?
うん。井上さんが黄金チャーハン作ってくれた
おいしそー。そっか、残念。井上さんの鍋振り、見たかったなー
鍋振り?
明が首をひねる
井上さんの中華鍋のあしらいは、ちょっとしたショーだよ
井上さんとキッチンに一緒に入ることの多い千里、井上さんの華麗な鍋さばきを思い出し、「あれは一回見たほうがいいね」と笑う
優と明、「中華」と言う言葉に、打倒千里武者修行から帰ってきたときの井上さんのキョンシー姿*1を思い出し、その格好で中華鍋を振っている姿を想像し、爆笑


優、階段脇の1人掛けソファに腰掛け、オットマンに足を載せ、のんびりとたずねる
あれ、智は?
引きこもってる
え!?
千里、優、びっくり
8時過ぎたらリビングに集合しなくちゃいけないのに
心配そうに眉根を寄せる優
電気使わなきゃいーんだろって
一応、明、心配になって8時に智を呼びにいってみたけど、追い返されてしまった
なんかあったのかな?
千里が心配そうな表情
さあね
自分の話し方がまずかったとはいい出せない明、そっけない返事をして、再びノートに視線を落とす
ちょっと、冷たいんじゃない、そーいうの
優、明を不満げに見る
僕、ちょっと、智の様子見てくる
胸の前で拳を握り、立ち上がる優
優さんは行かないほうがいいんじゃない?
明、ノート見たまま優を制止
なんで?
妬いてるんだよ
は?


いーかげんなこと言ってんじゃねーぞ!


リビングのドアが開き、首を傾げた優と平板口調の明にナイスコントロールでスニーカーが飛んでくる
痛!!
智!
千里びっくり
僕、何も言ってないのにー
運動神経悪いくせに、コントロールはいいんだね
るせー
智が出てきてほっとした明だけど、素直になれずに上から目線の言葉で迎える
スニーカーを拾いに来ながら、減らず口にもう一発ずつ鉄拳制裁を下す智
明は要領よくノートで頭をガード
優だけまともに拳を食らう
だから、僕、何も言ってないってばー
痛む頭を抑えてうずくまる優
智、不機嫌そうな顔で優のそばに落ちているスニーカーを右足にはき、ケンケンしながら左を探す
智ー、何、いらいらしてんのー?
千里が自分の足元に飛んできた智のスニーカーを渡す
別に
荒っぽく取り返し、千里に背を向けて、椅子に座ってスニーカーを履く智
智の態度に、何となく不機嫌の理由が思い当たった優
食事、千里さんと2人きりじゃなくて、沙織ちゃんと佳織さんも一緒だったんだよ?
と、なだめる
は!?ななな、何のことだよ。
二人で一緒に帰ってきたことも問題なんだよ
明、平板口調でからかう
ば、ばば、バカなこと、いってんじゃねーよ
やきもちを千里の前でばらされて、智、必死でごまかそうとする
しかし当のご本人は
ごめーん。智もハンバーガー、食べたかったの?
と的外れな謝罪
千里が顔の前で両手を合わせ、ぎゅっと目を瞑っているので、智、優、明、遠慮なく呆れ顔。
ため息とつぶやきは聞こえないようにこっそりと
んなわけねーだろ…
信じられない…
鈍すぎだね


ん?
何がしかの気配に気づいた千里、ぱちっと目を開け三人を見る
何?
なんでもなーい
とぶんぶん首を振る優、智、明




最近、みんな忙しーよね
みんなにお茶を入れてきた千里が、空いている席を指差す
風と翔は、会社?
千里が湯飲みを置きながら、留守番していた明にたずねる
うん。翔さんの新しい研修先、すごく忙しいとこみたい
あの翔が、ネクタイ締めて会社に行くなんてな
でも、すごく楽しそうだよ
明の答えに智と優、顔を見合わせて笑う
風さんは、おもちゃ協会の理事会の後、響子さんとこに寄ってくるって
仕事?デート?
さあ?聞いてないけど
もー、聞いといてよ〜
気のない明にやきもきする優
猛は例のごとく、消息不明か
智、アヒル口で首をひねる
あ、ねぇ、今日の目撃証言
そうそう
千里と優が今日仕入れた情報を説明する


沙織ちゃんのお姉さんの佳織さんに聞いたんだけど、佳織さんの仕事場の近所の公園に、ど派手な刺繍の赤い服を着た男が出没するんだって
それって、猛さんのこと?
明、目を丸くする
こーんなに長い上着で、しかもリーゼント
千里が身振り手振りで説明すると
猛だ!
と、智も、千里を指差して頷く
でもさ、沙織さんちの近所ってことは、山の手だよね
明が千里に確認
高級カツラの政治家に届け物してるから、土地勘はあるはず
千里、指を立て、確信を示す
でも、そんなところに、いったい何の用が
明、納得できない表情
やっぱ、バイク便かな
智、腕組みして解けない疑問に顔をしかめる
そんなに頻繁にカツラはいらないんじゃないの?
優、首を横に振る
そりゃそーだ
智も納得


しばらく4人で首を傾げてると、智が、「あ!」と思い出す
なあ、そういえば、岡崎も、近所でバイクに乗ってる猛を見たようなこと言ってたな
葵ちゃんが?
うん、今日、図書館であったらそんなこといってた。あいつんちも確か、その辺なんじゃないか?
優、智に苦情
その辺って、あやふやじゃない?
だって、あいつのおしゃべりにマトモに付き合ってたら、何にもできねーから
住所くらい聞いといても
あいつの住所なんか、必要ねーだろ。
智、せっかく情報提供したのに、なんだか攻められてるみたいで不満顔
でも、もしかしたら、つながる話なのかもね
千里、腕組み
時間は6時過ぎって言ってたぞ。それは憶えてる
智、うんと頷く
まあ、猛が何してよーと、僕らには関係ないけどね
そうだな
いえてる
優、智、明は顔を見合わせて苦笑い
気にならない…?
千里、三人の顔を見て、腕組みのままつぶやく
別にー
強めに首を振る優、智、明
三人、実はひそかにいやな予感がしてきている


千里、いいこと考えたという風に腕組み解いて手を上げる
ね、今度、猛を尾行しててみようよ!
却下!!!
即刻、拒否の返事をする優、智、明


え〜。一緒に行こうよー。気にならないのー


ならないならない
興味もねー
せめて風さんに相談してから行動してね
解散するみたいにリビングにバラける兄弟に、千里、不満顔


猛、何してるのかなー?
と、千里、まだあきらめられずに首を傾げる




*1:映画、テレビでよくみる、清朝時代の中国における正装である満州族の帽子と服