フジテレビ火曜9時ドラマ『アタシんちの男子』を楽しみましょう!!
ドラマは感動のうちに幕を閉じましたが、まだまだ『アタ男』熱は冷めません。
終了したドラマなのでネタバレ含みます。ご承知おきください
『アタシんちの男子』をこれから見る方、ストーリー、次回予告、登場人物をお探しの方は、
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アタシんちの男子の針を進めたら…

f:id:so_childish:20100110111549j:image:rightうーん。
これ、土日にアレンジすると思います
せっかくかいたから上げますけど、取り下げするかも
いきなりマジ話というか、硬いんだよね
響子さんに新造さんの話をさせている、お話と考察の真ん中みたいな記事になっちゃいました



新造の手紙



身を引くとか、いうつもり?
風、ため息つくみたいに言葉を吐き出す
図星指された響子、ふーと長いため息をついてシートに身をうずめる


言葉で聞くと、なかなか恥ずかしいものですね
響子、まるで表情を隠すみたいに、決まり悪そうに前髪を指でなんども梳く。
そのまま指を流して、髪を耳にかけると、
あなたの幸せを一番に考えてるだけですよ
響子、観念したように微笑む
俺の幸せは俺が決めるよ
風、ハンドル握りながらあきれたように言う
響子、風の横顔を見つめて
それはもちろんその通りです。…ただ、私は新造さんの代わりにそれを見届けたいと思っているだけです。
親父の、代わり?
はい
うなずく響子。
あなたや、ご兄弟、そして千里さんの幸せを、誰より望まれたのは新造氏なのですから
響子、新造の顔を思い浮かべながら、ゆっくりと話しはじめる


新造氏が余命宣告を受けたのは、お亡くなりになる半年前でした。
そのとき、私は「六人の養子と、娘のために遺言書を作りたい」と相談を受けました。
財産分与の内容もほぼ固まり、書面も出来上がった頃でした。
千里さんが大変な状況に陥っているという知らせが新造氏のもとに入ったのです
私の事務所に、「今から言う内容を記載した書類を、大至急届けるように」と、新造氏から電話が入りました
その書類とは、新造氏と千里さんの婚姻届でした
真実を知らない人には何の不思議もない書類。
しかし、新造氏の遺言を手がけている私にとっては、有り得ない内容でした
だって、実父は新造氏でも、峯田徹を父とする現在の千里さん戸籍では、この婚姻届は受理されてしまいますから
しかし新造氏は、千里さんの名前を書き入れれば書類が完成するように、完璧に書類を仕上げよと、厳命されました
その内容に驚いた私に、理由を問いただす暇も与えさせない迫力でした


新造氏は、一生、娘の前に姿を見せないという、自らの誓いを破り、千里さん救出に駆けつけました。
一億円の借金を肩代わりする条件として結婚を提示し、借金取りに追いつめられた千里さんを強引に救い出しました。
最初の巻物には、婚姻届と「1億円いつか返します。」という条件しか記されていなかったんです


千里さんを手元に引き取った時から、新造氏は、自分が亡くなった後、ご兄弟と千里さんが一緒に暮らせる方法を考え始めました。
残された時間を使い、必死で知恵を絞り、いろいろなメッセージをこめた仕掛けをめぐらしました
まずは千里さんを城に足止めするために、契約書の条文を増やしました
もともと城には、ご兄弟のために、さまざまな仕掛けが施されていましたから、そこに、千里さんのために編んだ、母親10か条を新たに絡めていきました


響子の話を聞いている風、目を細めて、記憶をさかのぼる
そういえば、最初の隠し部屋のヒントは、兄弟に当てた発明品についてたプレートだったよね。あれを解くのに、母親10か条は必要なかった
はい。もともと用意されていた二つ目の隠し部屋のロックを解くための鍵、手形とリビングの配置は、千里さんがいらしてからアレンジが施されました
よくできたね、そんなこと
トリックハート城には、彼女がいますから
彼女って、井上さん?
うなずく響子
猛くん、優くん、明くんが出かけて、朝帰りの翔くんが熟睡した隙を付いての作業だったようです
優秀だねぇ
小さく口笛を吹く風
あの広大な城を1人で切り盛りしてるんですからね。彼女の能力は桁外れですよ
井上さん、ひょっとしたら、俺より資格持ちかもしれないね
彼女は、公的機関に名前が残るような資格や訓練は受けていないとのことですよ
ぎょっとする風
響子、クスクスと笑う
それ、冗談なの?ほんとなの?
風の表情、めずらしく困惑気味。
さあ、それはわたくしも存じ上げません
いつもはまじめに決めるところだけど、あんまり風がびっくりしてるので、響子も思わず笑ってしまう
井上さんにかかると、かなり胡散臭いことまで、本当に感じられるから不思議だよ
風、苦笑い


響子、話を進める
新造氏が、最後まで迷われたのは、あなたと千里さんのことでした。
響子、自分の胸に手を当て、
一番大切な真実を伝えるのが、弁護士であるわたしの口からでいいのかどうか
あなたに血の繋がった妹がいること、
千里さんに血の繋がった父と兄がいること
迷われた末に新造氏は、自分の生い立ちを何も知らない千里さんには、

わたしや志保をよく知る田辺義男
千里の戸籍上の父・峯田徹
そして大蔵新造の顧問弁護士・小金井響子
この三人の判断で、しかるべき時がきたたときのみ、
千里に真実を話してやって欲しい

とおっしゃいました
そして、あなたには、新造氏自ら、真実を明かす決心をされました。

風は、たぶん、私の呼び出しには応じないだろう。
しかし、風が私に会いに来てくれるまで待ってやる時間が、
残念ながら私には残されていない。
だから、あの子に、手紙を書くことにしたよ

あなたの手元の届いた手紙は、新造氏が最後に書いたものです


風の脳裏に、新造の死後、アパートに届いていた手紙の白い封書を見つけたときのことが思い出される
確か、親父が亡くなって、半月ほどたった頃だった


これは新造氏にとって、大きな賭けでした。
母親10か条の中に、発明品を作れという条文が会ったのをご記憶ですか?
ああ、青焼きの設計図から、完成させるのに、かなり手間取ったあのヘルメットだね
本来、あの発明品は新造氏が完成させたものを、みなさんで探し出すように城の中に隠すはずでした
そうだったの?
そして、その発明品を得ることにより、二つ目の隠し部屋を空けるヒントの映像へとあなたがたを導くことができるという計画でした
しかし、無情にも、病気の進行は早く、新造氏は自分の手で発明品を完成させることができなくなってしまいました。
そこで、新造氏は、発明品の完成をあなたに託すことにしたのです


でも、そのためには、あなたが城に帰ってきて、千里さんを受け入れるということが、欠かせない条件になってきました


手紙を読んだあなたが、どんな反応をするか
新造氏にどんな感情を持つか、
千里さんにどんな感情を持つか
余計に反発して、二度と自分の手の届かないところへ、離れて行ってしまうのではないか
悪い想像が新造氏の頭を駆け巡ったことと思います
でも、そこまでが、新造氏の限界だったんです
あまりにも時間がなさ過ぎました

とにかく、どんな思いであっても、風には、千里に会いに行って欲しい。
会えば、わかるはずなんだ。あのこが…、千里がどんな娘なのか

そういって、新造氏はわたしに、あなたに宛てた手紙の投函を依頼されました
自分の命があるうちに、あなたに会って、真実を話してあげられなかったときは、これをポストに入れて欲しいと


新造が風に宛てた便箋二枚にかかれた手紙

前略
元気でやっているか。お前が私の元を離れてからもう十年が経つのだな。
お前にはまず謝らなければいけない。
お前が私の息子であること、そして母親のことを黙っていてすまなかった。
私のことを信じられず出て行ったお前にこんなことを言うのは間違っているかもしれない。
でもどうしてもお前に言っておかなければならないことがある。
私にはお前の他にもう一人子供がいる。
千里という娘だ。
母親は違うが、お前の妹になる。
千里は私が父親であることを知らない。
私は父親とは名乗らず彼女と会い、三ヶ月間城でお前たちの「母親」として暮らすことを条件に彼女の借金を肩代わりした。
近いうちにお前も会うことになるだろう。
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新造氏はご兄弟のためにたくさんの知恵を絞りました
それは、あなたがたの感情をコントロールしようとしていたわけじゃないんです
だから、新造氏には、自分が望む一番いい結果が出るかどうかもわからなかったんです
その証拠に、もし、その仕掛けが上手くいかなかったときのための、みなさんへの財産分与の方法、戸籍の取扱も、あわせて検討していたんです。
その件で、私もしばしば社長のところへ通いました


でも、新造氏は信じていたんです。
みなさんが家族になって一緒に暮す日のことを祈るような思いで夢見ていたんです
たとえ自分がそこにいなくても、みなさんが幸せになってほしい
それが、新造氏の一番の希望だったんです
私は、弁護士と言う立場で、新造氏の最後の望みを知ることになりました
それならば、職業上、知りえたことでも、新造氏の思いを知っている私が、みなさんを見届けなければと、次第に病に蝕まれていく新造氏を見て思ったんです
それが私に与えられた役割なのだと
このクライアントの希望を全力でかなえたいと思えたんです
響子、笑顔だけど、強い意志を感じさせる目でで風を見る
その潔い決意の現れた表情を見た風、その目に宿る光に少女のような印象を受ける
新造とはじめてあった頃の響子は、きっとこんな面影をしていたのかもしれないと風は思った


その顔を見て、風、昼間、時田が言いかけたことをを思い出す
俺の母親が、親父にはじめて俺のことを話した時、響子さん、そこにいたんだってね

響子、驚いた表情で風を見る
そのこと…、どこで?
と、響子の口から呟きが漏れる
が、すぐにその答えに思い当たり
…そういう余計なことを言うのは、あの子しかいませんね
とため息をつく
あたり
呆れたおしゃべりなんだから
響子、頭の中で時田を殴る。腹立たしすぎて、実際に手が動いてしまう
風、そのしぐさに吹き出す
笑われたことに気づいた響子、慌てて姿勢を正す


なんだか、私と、新造氏とあなたとは不思議な縁があるようです