アナザーワールド6.5
CASE2
申し訳ない。ご容赦ください
6話と7話の間の妄想
ごごごごご
リビングの親父の肖像画の下のマントルピースが動き、地下室への階段が現れた。
唖然、と見入る俺たち六兄弟と千里
その穴を見た風が、
「全部 君のおかげってことか。…ほんとむかつく。」
と、千里に言った。その言葉とは裏腹の、柔らかな笑顔を浮かべ。
千里も安堵したように微笑む。
あれ?水面に落ちた雫のように、なんだか正体不明の感情の同心円が広がっていく
えーと、
あいつを認めるのは、俺の役割じゃ、なかったっけ?
もちろん、兄弟はそれぞれ口には出さないが、あいつのことを認めている。
あいつは母親十か条など忘れてしまうほど、俺たちにかかわってくる。
それはもうおせっかいなほど。
そのおせっかいって言うのが、俺たち兄弟には1番与えられなかった「愛情」の一つの形であることも確かで、
「うるせえよ」「ほっとけよ」と邪険にしながら、与えられた暖かさに救われている
頑張って、自分を変えようとしているやつもいる。
そんな俺たちの変化を見て、ほっとしたような柔らかな微笑を浮かべている千里を見て、俺はいつも安心する。
千里の気持ちが、兄弟にわかってもらえたんだと。
あいつのおかげで変わったことはたくさんある。
些細なことだけど、大事なこと。
兄弟にはそのことを話したこともあったけど、
さっきだって俺が風に、「(兄弟が笑いあえるようになったのは)あの子のおかげだ」って、話したばかりなのに。
俺、あいつに言ってあげたことあったっけ。「お前のおかげ」って
昨日今日一緒にいただけの、風に先を越されてしまった。
感情の正体は嫉妬
俺のほうが、前から彼女を理解してたんだぞって。