アタシんちの男子の続きを考えよう
「続きシリーズ」です
行き当たりばったりですすんでいましたが、これでオーラスです
長くなったので、半分ずつ上げてあります
こちらが後半（⇒前半はこちら）
最後までお付き合いいただいてありがとうございました。
最後もやっぱり反転で
式の日取りは？
はい、半年後です。千里さんも、ご兄弟と来て下さいね
もちろん行くよ。あたし、友達の結婚式に出るの、初めてなんだー。
千里さんは？
あたし？まだまだ先だろうなー。
すぐそばにいるのに
沙織ちゃーん。苛めないでよー
ふふふ、と沙織が笑う
ふふふじゃなくてー
千里と沙織、じゃれあっている
あ、でも、あたし、結婚式は、一回やったんだっけ。
え？
んー、これはねー。長ーい話になるから、また今度
気になります！
でも、絶対話すから。
約束ですよ
うん
二人の様子を、いつしか兄弟と時田がいつくしむように眺めているのに、千里と沙織は気づかないでいる
わたしね、最近、わかったことがあるんです
？
わたしは、小さい頃から、二人の姉と、じいやばあやに囲まれて育ってきたので、自分のこと、おとなしいいい子だと思ってきたんです
千里、このあいだやってきた、沙織の姉・伊織と爺婆を思い出し、
そのとおりだと思うけど
沙織、一呼吸置く。千里、沙織の言葉を待ちます
でも、本当のわたしは、人に意地悪をしたり、やきもちを焼いたりする人間だったんです。それに、人様の迷惑かえりみず、トリックハート城に乗り込んじゃうようなわたしが、おとなしいいい子なわけ、ないじゃないですか
千里、沙織の深刻な様子にふきだす。
あたしは、そういう沙織ちゃんが好きだけどね。
・・・実は、わたしも、今のわたしのほうが、いいなーと思ってます
沙織も笑う
千里さんって、いっつも、誰かのことに一生懸命ですよね
おせっかいって煙たがられるけどね
千里さんにはね、なんだか、本当の自分を見てもらいたくなるような、不思議な何かがあるんです。それでね、本当の自分を知ってくれた千里さんが、がんばれって励ましてくれたら、他の人にも、本当の自分を見せてもいいのかな、がんばって、一歩踏み出してみようかなって思えてくるんです。なんか、漠然としたこと、いってますけど
沙織の言葉に、聞いている兄弟それぞれの、千里への思いが重なります。
千里、ちょっと考えて、
沙織ちゃん、それはちがうよ
え？
一生懸命がんばっている人がいるから、あたしも一生懸命になれるんだよ。沙織ちゃんが、一生懸命考えて、気持ちを込めてがんばっていたから、あたしも一生懸命応援しようって思えたんだよ。
千里さん・・・
不思議なんだけどね、応援してると、だんだんその人のことが大好きになって、大好きな人が笑顔になると、あたしもすっごく幸せになるんだよ。それで、もっともっと、応援しちゃうの。―――だからおせっかいっていわれるんだけどねー
と言って、千里はえへへと笑います
沙織に語りかけている千里の言葉が、まるで自分自身に向けられているように感じられ、兄弟、ちょっと照れてしまいます
わたくしはー！、日本人形みたいな沙織さんも好きですけどー！、今の沙織さんもー！、すごくかわいいとー！、思っております！！押忍！！
猛の声に驚く沙織と千里
足を開いて後ろで手を組み、体をそらせて、大音声を上げる猛。
暴走族が応援団になってるよー
と、次の瞬間、電池が切れたように、とたんにへべれけになる猛
真っ赤な顔を手で隠す沙織
どこから聞いてたんですか？
結構前から
恥ずかしいじゃないですか
リビングでは、ナイショ話はできないんだよー
あんたたち！沙織ちゃん、苛めたら承知しないよ！
かばってる千里より、沙織ちゃんのほうが強いんだろ？
ちょっと！やめなよ！！
大蔵兄弟の軽口、憎まれ口は、本当は相手を認めた証拠。それは分かっているものの、おせっかい千里には黙ってはいられません。沙織のために兄弟のけんかを片っ端から買っていきます
騒がしすぎる兄弟に、ついに千里が怒鳴る
もー、わかった。伊織さんに言いつける！
鶴の一声。あの日の恐怖がよみがえり、おとなしくなる兄弟たち
すごーい！
伊織効果に目を丸くする千里と沙織。酔いが吹き飛んだような兄弟の様子に二人、笑う
時田、お前、すごい女と縁続きになるんだな
はい。まあ、子どもの頃からの付き合いで、慣れて・・・ますから・・・
と、いいながらも、顔が引きつっている時田。
まあ、せっかくのお祝いですから〜、もう一回、乾杯しましょうか〜〜
よれよれの猛の提案
そーだな
グラス持ってー。
お酒まわしてー
ジュースのピッチャーとって
はいはい
ご準備、整いましたでしょうか〜〜
はーい
それでは〜、長男であらせられます〜、大蔵風様のご発声で〜〜
いやいや、ここは
兄弟、千里を見る
あたし、もう母親じゃないよ
ばーか。この話をまとめた、おせっかい隊長は誰だってんだよ
あ、あたしか
仲人みたいなもんだろ？
そか。
沙織、時田もうなずく
では、独身なので、仲人には立てませんが、僭越ながら、乾杯の音頭を取らせていただきたいと思います！
立ち上がってグラスを掲げる千里
みなさーん。準備は宜しいですかー
はーい
時田さん、沙織ちゃん、ご婚約おめでとう。お幸せに
みんなに頭を下げる沙織と時田
かんぱーい！
かんぱーい！！！！！！！！
掲げたグラスがシャンデリアの光を受けてキラキラ
おめでとー！
口々に祝いの言葉を載せて、本日の主役とグラスを合わせる音、音、音
拍手
また、座がにぎやかになる
千里と沙織は優や智と合流。
猛はよろよろと漂っている
カウンターで座を見渡している翔を、時田と風が挟んで座る
今、時田と珍しく意見がぴったり合ってねー
そうなんですよねー
時田と風、絶品の微笑みで翔を見る
なんだよ気持ちわりーな！
半年以内に決着付けて、本当にわたし達の仲人、していただけないでしょうか？
はぁ！？
翔の大きな声がリビングに響く
みんな、驚いて翔を見る
なんでもないよー。続けて続けてー
風がみんなを散らすように手を振る。
千里、不思議そうな顔をして翔を見ている
視線が合ってしまった翔、なんでもねーよと苦笑い
いつもの兄弟げんかだったのか、と安心した千里。
リビングには、ざわざわとにぎやかな声がひしめき、みんなの笑顔がはじけています。
家族一緒の思い出が、ひとつずつ増えていくんだって思えば、ドタバタも悪くはないよね、と、千里も自然と笑顔になります。
千里さん、どうしました？
千里の笑顔を目に留めた、沙織が尋ねます
うちの家族、やっかましいなーって思って
でも、最高に素敵だと思いますよ
沙織が千里に微笑みます
千里はうれしくて、自然と頬が緩んでしまうのを止められません
・・・あたしも、そう思う。でも、すっごーく、世話がやけるけどねー
照れ隠しに、わざと大げさにやれやれといった表情を作り、もう一度リビングに視線を移します
ばっさー！！
千里に特攻服が飛んできます
ちょっ！
あたまにかぶさった特攻服をよけてみれば、さっきまで和やかだったリビングは、なぜだかすっかり大蔵動物園化しています
騒ぎ放題、投げ放題。罵詈雑言が飛び交います。
もー！いい加減にしてよー！！
騒ぎを収集しようと、おせっかい体質に駆られた千里が参戦します
沙織は、にぎやかな大蔵動物園を見て、声を立てて笑います
隣に時田がやってきました
本当に、この家族、最高でしょう？
大蔵家のリビングは、今日もますますにぎやかです。
長らくお付き合いいただいて、ありがとうございました。
みなさまのヒントやコメントで、続けることが出来ました。
感謝しています
もしかしたら、また別の「続きシリーズ」をすることがあるかもしれませんけど…（笑）
そんなときにはまた、お知恵を拝借できたらいいなと思っています
