フジテレビ火曜9時ドラマ『アタシんちの男子』を楽しみましょう!!
ドラマは感動のうちに幕を閉じましたが、まだまだ『アタ男』熱は冷めません。
終了したドラマなのでネタバレ含みます。ご承知おきください
『アタシんちの男子』をこれから見る方、ストーリー、次回予告、登場人物をお探しの方は、
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『続きシリーズ』『その後シリーズ』など、お話を読まれる方は、
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アタシんちの男子のその後を考えよう

こっちもちょっと話が進みます
いつも、展開遅いですよね。すみません
加筆修正あります



ミラクル社内の廊下を歩く翔と時田
案の定、いい顔しなかったな、重役連中
襟元に手をやってネクタイを緩めながら翔が苦笑い
そうでしたか?
時田は上機嫌
そうだろ。高卒のホスト上がりの三男坊が、今更、何の用だってとこだろー?
侮っている人には、後々、思い知らせてあげましょう
怖いなー、時田さんは・・・


渡り廊下を渡って別棟へ
こちらは研修棟です。会議室や研修室があります。一階は簡単なミラクルの歴史ミュージアムになってます。・・・といっても、展示ケースと説明のボードがあるだけですけどね
こっちには来たことねーな
階段を下りると、右側は扉のない広い部屋
ここが展示室。
外からちょっとだけのぞきこんだ翔。「ほんとだ、置いてあるだけって感じ。」
こちらが資料室ですね
階段の左側の扉を時田が開け、「どうぞ」と翔を招き入れる
そこは資料室というより、書庫みたい。
まずここで、ミラクルの流れを学んでいただきます

ご不満でも?
そんな本格的にやらなくても、いいんだけど
甘ーい!!
時田、突然大声を出す
自分のやりたいことだけやろうなんて考えは、即刻お捨ていただきたい!
メガネを光らせて時田のお説教
おれ、早まったかな
翔、時田の剣幕に早くも後悔し始める
わたしが、できる力のすべてを注いで、あなたを立派な企業戦士にして差し上げます
企業戦士って、いまどきゆーかなー
茶々入れる翔を、時田一瞥
ちょっとひるむ翔
・・・
しばし沈黙が流れる
と、言いたいところなんですがー
時田の口調が急におとなしくなり、翔、こける
なんなんだよー
今日はわたしも立て込んでおりまして、午前中は翔さんのレクチャーができません。そこで、こちらの課題に取り組んでいただきたいと思います
時田が資料室の奥から持ってきたのは、和とじの古文書といくつかの小さな木箱が入ったコンテナ
何これ
翔、木箱を一つ手に取る
これらは、からくり屋創業時のものを再現しています。
時田も一つ木箱を手に取る
からくり屋は、茶運びや弓曳きなどのからくり人形を製作していましたが、細工箱も数多く手がけていました
時田、手品師みたいな美しい指の運びで、細工箱をあっという間に開いてしまう
すごーい!
翔、思わず拍手。時田、翔に乗せられ、ちょっとご満悦。
「はっ」とわれに返った時田、、一つリセットの咳払い
そこで、世界中のからくり箱をご用意いたしました!本日はこれをといていただきます
えー!!なんだよそれー!!
テレビショッピングのバイヤーみたいな胡散臭さで翔に解説する時田。
ヒントはこちらの古文書の中にございます
読めるわけねーじゃん!
絵ぐらいわかるでしょー。ヒントになりますよ。
これ、ひとりでやんの?
そうなりますね。
ねー、家でやっちゃだめ?
あなたは、この会社に勤めてるんでしょーが!
時田、メガネを光らせて一瞥
そーかー
めんどくさそうな表情の翔
これは、新造社長のたっての希望で、実際に毎年、新入社員研修の一番最初に出していた課題なんですよ
これが?
これらの箱は、一見、ただの寄木細工に見えますが、必ず開きます。一見して面に見えるところでも、スライドする部分とスライドしない部分、。角ごと動いてしまう部分、さまざまの仕掛けが施されています。仕掛けは2回から72回まであります。どの箱も同じ回数、同じ操作で開くわけではありません
両手を前で組んで、にっこり笑う時田
こんなことやらせて、何の意味があるんだ?
社長は、目の前のこと、当たり前のことを、当たり前と思ってほしくなかったそうです

トリックハート城と同じですよね。
ふーん。
翔、手に持った木箱を眺める
こちらがレポート用紙です。図解と、回数を記入していただければ
はーい。しっかり研修させていただきまーす
翔、右手を上げる。
終わりましたら、自由にこの部屋を見学していただいてかまいませんので
心配しなくてもおわらねーって
翔、コンテナの中を見てため息をつく
午後には、戻りますので、しっかりミラクルの歴史の話をして差し上げます。ご期待ください。
時田、一礼して資料室を出て行く
午後がレクチャーかー。…間違いなく寝るよ


ぽつんと一人残されて、箱を手にする翔
箱根のお土産みたいなもんだよな
いろんな材質の木が、模様のように組み合わさっている
指でぐっと押したり、引いたり、ひねったり、力任せにやってみるが埒が明かない
はずみで、側面を押しながらスライドする動きをしたとき、小箱に隙間が現れた
なるほどねー
できた隙間に沿って次の面を動かし、合計7回目に上面の蓋がスライドして大きく開いた
お!やりぃ!
手元の紙に手順を記入
一個クリアー!って。・・・あといくつあるんだよ
話し相手がいないので、思わずセルフツッコミを入れてしまう


二つ目を手にとって眺めていると、ノックの音
「あのー」と女の子の声
はい?
翔、顔を上げ、資料室の入り口を振り返る
お忙しいところ申し訳ないのですが、教えていただきたいことがありまして
なんでしょう
席を立って、女の子の声のする戸口に行く翔
そこには、栗色の長い髪の、背の高いきれいな女の子が立っていた。シンプルだけど、仕立てのよいワンピースにボレロを羽織っている。決して派手ではないけれど、ちょっときれいすぎて会社の中では不釣合いな雰囲気。
お仕事中、申し訳ありません。建物の中で迷ってしまいまして
俺も、あんまり詳しくはありませんけど、どこへ?
今日、新製品のイメージキャラクターのオーディションをしてるんですけど、控室から洗面所に行ったら、戻るお部屋が分からなくなってしまって・・・
オーディション?
はい
そか。ちょっと待って
翔、資料室の内線から秘書室へ電話
研修生の大蔵です。お疲れ様です。今日、オーディションがあるそうなんですが、参加者の方が迷われまして。・・・はい。担当は広報でいいんでしょうか。・・・・内線番号教えてもらってもいいですか?・・・ありがとうございます。
もう少し待っててね
翔、女の子を振り返る
はい。すみません
広報室へ内線をかける
お疲れ様です。本日から秘書室付きでお世話になっています、研修生の大蔵と申します。よろしくお願いします。早速で申し訳ないんですが、今日、行われているオーディションの参加者の方が迷われまして。・・・はい、今、研修棟の資料室にいます。ご案内しますので、会場を教えていただけますか?
翔、ありがとうございましたと、お辞儀をしながら受話器を置く。
振り返って「じゃあ、行きましょうか」と、笑顔で女の子を促す
え、教えていただいたら、自分で行きますから
恐縮する女の子に、翔、「また迷うといけないから」と笑いかけ、先導して歩き始める
すみません
女の子、ぺこりと頭を下げる。長い髪がサラサラと動く
階段を上がりながら、「今いる建物と2階の渡り廊下でつながっている開発部が会場とのことです」と説明。歩きながら他愛もないことを少しおしゃべり
オーディション、やっぱりきれいな方が来ているんですね
いえ、そんな。わたし、こういうこと初めてで、慣れなくて
俺も、研修始まったばっかりなんですよ。えらそうに案内してますけど
そうなんですか?
はい。いい歳してますが見習いです
翔がにやりと笑う
女の子、少し緊張がほぐれてきたような笑顔を見せる
自信のなさそうな女の子の表情を見て、翔、どこかであったかな、と首をかしげる
あ、ここらへんで間違えたかもしれません
渡り廊下を通り抜けたところで、見覚えのある場所にさしかかったらしい女の子が立ち止まる
ややこしいですよね。初めてきた人なら、迷って当然ですよ
女の子、もといた場所に戻れて、「よかった」とほっとした表情
全然、人がいない建物に入っちゃって、不安だったんです。ありがとうございました。
いえいえ。俺でも何とかできる事で良かったですよ
女の子が、ちょっといいにくそうに翔に問う
あの・・・、お名前、大蔵さんって、おっしゃるんですか?
はい
胸に下がっているネームプレートをかざす翔
社長さんの、お身内ですか?
まあ…
そうなんですか
女の子の表情、少し驚いているみたい。
あ、ここです。
会場に着いた翔、ドアをノックする
失礼します
ドアを開けると、時田と目が会う
あれ、翔さん、研修サボって女の子、見に来たんですか?
時田、翔にしか聞こえないところまで来て、にこやかにからかう
時田さんこそ、社長秘書が何でこんなとこにいるんだよ。あんたこそ、女の子が見たかったんだろー。
翔も逆襲。「沙織ちゃんに言いつけるよー。」と時田の婚約者の名前を出す。
社、社長の挨拶文を代読していたんですよ。誤解しないでください。失礼な!
キョドる時田
こちらの方をご案内したんだよ。
翔、自分の後ろにいる女の子を示す。

女の子の顔を見た時田、まだ室内に入っていない二人を、手振りで少し後退させる

怪訝な表情ながら、従う翔と女の子
時田、女の子を見て優しく微笑む
岸田、七海さん、ですよね
はい
こちら、大蔵翔さん。優さんのお兄さんに当たります
え?
え?
翔と七海、顔を見合わせる
ってことは、彼女
優さんの妹さんです
そーかー、はじめまして。
こちらこそ、兄がいつもお世話になっています
こちらこそ、いつも優には・・・、って、なんかへんな挨拶だな
笑う翔と七海
では、岸田さん、他の方もお待ちですから
時田が七海に入室をを促す
はい、すみませんでした。
七海、時田にぺこりと頭を下げると、あわただしく振り返って、翔にもお辞儀をする
ありがとうございました
いえいえ。がんばって!
翔、笑顔で優の妹にエールを送る
はい・・・
ちょっと気弱そうに微笑むと、七海は時田の後に続いて会場に入っていった。


あの顔
もっと自信を持っていいんだよといいたくなるようなあの表情は、確かに優に似てるかもな