フジテレビ火曜9時ドラマ『アタシんちの男子』を楽しみましょう!!
ドラマは感動のうちに幕を閉じましたが、まだまだ『アタ男』熱は冷めません。
終了したドラマなのでネタバレ含みます。ご承知おきください
『アタシんちの男子』をこれから見る方、ストーリー、次回予告、登場人物をお探しの方は、
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『続きシリーズ』『その後シリーズ』など、お話を読まれる方は、
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アタシんちの男子のその後を考えよう

ちょっとずつ話が進みます
いつも、展開遅いですよね
加筆修正あります




トリックハート城のリビング


響子の待つリビングに、井上さんに案内された太郎が入ってくる
お連れしました。
ありがと、井上さん
取次ぎのお礼を言う太郎。勝手知ったる大蔵家だけど、今日は初対面の弁護士相手なので遠慮したみたい。
太郎の笑顔に、淡く頬を染める井上さん。
実は、何をしてあげても、あまり感謝の言葉を兄弟にかけられたことのない井上さん。慣れない素直なお礼の言葉に、どう反応していいのかがよく分からないらしい。
響子、眉をひそめて井上さんの変化を見る。それに気づいた井上さん、あわてていつもの無表情に戻り、リビングを退出していく


おはようございます。
今日はよろしくお願いします。湊本太郎です。
大蔵新造氏の顧問弁護士・小金井響子です
ブラックスーツに華やかなストールを合わせた響子が名刺を差し出し、背筋を伸ばして一礼
受け取った太郎、一度、黙読し、響子の顔を見る
すごく美しい方で、驚きました。
響子、目を細めて太郎を見る。
今日はジャケット、パーカー、クロップドデニム、クレープソールのカジュアルブーツ。完全オフ仕様なので関西弁。ニコニコと明るい笑顔で響子を見ている。
太郎に聞こえない小声で「…確かに、風くんとも翔くんとも違うタイプの、イケメン…」とつぶやく
あ、僕も名刺
ジャケットの内ポケットから名刺入れを出し、響子に差し出す
ミラクルにも、お世話になっています
今度はきれいな標準語。しっかりしたビジネスマナーの型どおりに名刺を差し出す。
自在にON/OFFを切り替える太郎に、先ほどのイケメン吟味とは違った意味で、響子、少し眉をひそめる
今日はどちらで作業したらいいでしょうか?
響子の表情など気にもとめないような笑顔の太郎
ここでかまいませんか?
響子がリビングを示す
はい
では、こちらに支度をさせます
「井上さん」と弁護士が呼ぶと、二階席から井上さんが顔を出す
新造さんの発明品をリビングに持ってきてください
はい


新造さんの発明品はダンボールに10箱以上。井上さんのさすがのパワーであっという間にリビングに積み上げられる
すごいな。早送りの映像見てるみたい
太郎、拍手
ありがと。井上さん。
太郎の笑顔に、淡く頬を染める井上さん。
響子、眉をひそめて再び、井上さんの変化を見る。響子の視線に気づいた井上さん、さっといつもの無表情に戻り、リビングを退出していく
これ、終わったら、またお城、案内してな
いーですけど?
井上さん、リビングのドアの前で振り返り、いつものように抑揚のない口調で返事
トリックハート城の見学もなさってるんですか?
響子、太郎と井上さんを見比べながら言う
はい、井上さんに案内してもらって。
太郎、「見てください」と、バッグからノートを取り出し響子に渡す
響子、手元のノートを見ると「大蔵家のすべて」と手書きのタイトルが入れられている。
奇しくも響子監修の公式ガイドブック、紫色の表紙でおなじみの「大蔵家のすべて」と、同じタイトル
ノートは研究、調査などに使われる、いわゆる野帳と呼ばれるフィールドノート
ぱらぱらと見て、その詳細さに眉をひそめる響子
太郎が次々とノートを出すのを見て、響子、自分の手にしたノートの表紙を見ると「その1」の文字
これは、井上さんがご案内を・・・?
はい、すごく親切にしてもらいました
ばばぬきのトランプみたいにノートを扇型に両手で持ってみせる太郎
そうですか・・・
響子、ニコニコ笑う太郎の顔を見て、そのまま井上さんに視線をスライドさせる。
響子の視線の険しさに冷や汗、青ざめる井上さん


智と明がリビングに入ってくる。太郎を見つけて
あ、太郎さん
わ、また来てる
こんちは
手を振る太郎。その傍らで会釈する響子
響子さん?
めずらしいーな
今日はこちらをお借りして、湊本氏が作業します。
響子が説明
「ご迷惑をおかけしますー」と太郎が頭を下げる
そんなの、ここんとこ、いつもじゃん
そうだね
頷き合う智と明
太郎、苦笑いで頭をかく
智、ダンボールが積みあがったリビングを見て
じゃあ、俺、今日は部屋で課題やろっかな
パソコン持ってきていた明も、「僕もそうする」と智に賛成
悪いね、二人とも
太郎が手を合わせて、二人を拝むようにあやまる
いーさ。別に。な。
智が明を見ると、明も太郎に頷いてみせる
今日は他のみんなは?
風は会社、猛は現場
あ、平日やったね。俺、曜日の感覚がなくて
優さんも、お仕事だよ
千里ちゃんは?
千里さんは田辺さんちの畑
がんばるねー。翔は寝てるの?
ううん、翔さんは会社だよ
会社?
ミラクル。なんか最近、行き始めたんだよ、な
うん
うんうんとうなずきあう智と明
ふーん
太郎、意外そうな表情
翔はお勤め、始めたんかー
いつもニコニコしている太郎にしてはめずらしく、表情がない。

気づいた明が太郎をじっと見る
太郎、明の視線に気づき、「翔、ホスト、似合ってたからさ」と、いつもの笑顔を見せる
そー、天職って感じするよな
智が太郎の意見に賛成と人差し指を立てる
明はさっきの太郎の表情がちょっと引っかかっている


よし、じゃあ、はじめよっかな
太郎、、ジャケットを脱いで腰に手を当てる
弁護士さん、作業手順を説明しますね
はい
響子、太郎の手元を注目
智と明も、何をするんだろうと野次馬的に覗き込む
太郎、ダンボールの中から発明品をひとつ取り出す
卓上に支度したクリップボードにセットされている、A4の用紙を響子に見せる
これが、データカードになります。作業が完了したら、コピーを一部小金井弁護士にお渡しします
はい
まず計測て゛す
太郎、メジャーを手に、にっこり
メジャーで縦横高さを計測し、スケールで重量をチェック。カードに数値を記入する太郎
次におもな材質と、色、そして機能を記録します
目視したり、スイッチ押したりしながら、特徴を記入する太郎
そして最後に写真を押さえます
ナンバーカードを脇に置いて、発明品を接写。
太郎、弁護士を見て、にこりと笑う
これで、1セットです。終了したものは、エアーキャップで保全して、先ほどのナンバーカードを貼り付けます
くるくると慣れた手つきで発明品を包んで、空いている段ボール箱に入れる太郎
これを、全部するというわけですね
響子、表情こそ変えないが、この作業に全部付き合うのかと、この先の時間を思い、かなりげんなりしている
地味すぎる・・・
気の長すぎる太郎の作業に付き合いきれないと判断した智、「じゃあ、帰るか」と明をうながす
そうだね
響子さん、あとはよろしく
太郎さん、またあとでね
ほーい
リビングを出て行く二人に明るく手を振る太郎
じゃ、二点目いきまーす!
嬉々として取り掛かる太郎の明るさに、早速げんなりしてしまう響子
響子の様子の変化に気がついたのか、太郎、響子を見上げる
響子、ごまかすように艶然と笑うが、なんだか、今ひとつ調子が出ない


湊本氏、無邪気そうな笑顔やかわいらしいルックスに似合わず、結構、目聡く、目端も利くようだ、と響子は思う。
太郎のことを話すとき、いつも明晰な風に似合わず、釈然としない表情を浮かべていた。
千里さんに近づく悪い虫ってことだけが、風くんを悩ませているわけではないようですね
無邪気なのか、策士なのか、裏があるのか、何もないのか、はっきり言い切れない印象
今度は慎重に思考を隠して、響子、太郎の作業を見つめる