フジテレビ火曜9時ドラマ『アタシんちの男子』を楽しみましょう!!
ドラマは感動のうちに幕を閉じましたが、まだまだ『アタ男』熱は冷めません。
終了したドラマなのでネタバレ含みます。ご承知おきください
『アタシんちの男子』をこれから見る方、ストーリー、次回予告、登場人物をお探しの方は、
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アタシんちの男子のその後を考えよう

進んでいるような停滞しているような
亀の歩みですみません
「その後」の続きです
加筆修正の可能性あります
よろしければどうぞ



駅の券売機の前


結構、太郎の店で時間かかっちゃったな
なつかし加減が半端じゃなかったよ
ほんとに、今、西暦2009年?って思ったよなー
そうだよねー
千里のちょっとあきれ気味の表情をみて笑う翔
駅の時計を見ながら千里、翔に尋ねる
このまま仕事に行く?
千里を家まで送り届けないとなー
まだ日も暮れてないから平気だけど?
デートだし。女の子、1人で帰すわけには行かないよ
翔、いいながら笑っちゃってる。
家まで?
千里もくすくす笑い
そう、家まで
お家に着くまでが遠足ですみたいになってるよ
だな
それなら、あたしが翔を仕事場まで送ろうか?
なんか、それこそ、よくわかんないことになってるぞ
なかなか行き先が決まらないので、翔、手のひらで小銭をもてあそんでいる
千里、ちょっと考えて
あ、そしたらさ、ネカフェに寄って帰ろうかな。智、どうしてるか気になるし
あ、いいじゃん、それ。そこから先は智に千里をバトンタッチしよ
あのねー、リレーじゃないんだからー


行き先が決まったのでやっと切符が買える
四時過ぎの駅の構内は、少し混んできている




四時過ぎか
撮影が終わって、一段落。腕時計を確認する優
おつかれさま
マネージャーの轟が、優の携帯電話を持ってくる
着信、あったみたいよ
ありがと
履歴に妹の名前。メールも入っているみたい。
着信時間からすると、メールのほうが後なので、メールを先に開いて見る

今日は6時ごろ、おわります。少し会えますか?

七海の、用件だけのあっさりしたメールに苦笑いする優。よそよそしいようだけど、妹らしいなと思う
轟さーん
んー?
僕、今日の上がりは何時?
この後、打ち合わせ一本だけだから、5時半くらいかなー?
じゃ、だいじょうぶだ。ほっと息をついた優を見て
彼女ー?気をつけてねー
極端に眉間を寄せ、眉を八の字にして心配顔を作る轟
え?優さんに彼女っすか
マッシュルームカットの付き人が優の衣装を整えながら横から会話に入ってくる
妹だよ
ああ、妹さん
なに優、妹さん、上京してきてるの?
そう、社長の友達の例の女社長さん
まーちゃん?
彼女に熱心に口説かれたみたい
そうなの?
うん
まーちゃんとこに行くんなら、送ってあげるよ。
そうなさいな、と優の肩をしなしなと叩く轟
僕がオネエキャラでも仕事に支障を来たさずやってこれたのは、轟さんがキャラじゃなく、「本物」だったから、大目に見てもらえたのかもなーと、その仕草をを見ながらつくづく思う優




太郎、帰ってこねーな
もう四時過ぎたよ
井上さん、無茶してんじゃねーだろーな
自分で太郎にいたずらを仕掛けておきながら、心配になってきた猛
だから僕が案内するって言ったのに


ゴトゴトゴトゴト
リビングの柱時計が異音を発する
おぉ!?
なに!?
びっくりして柱時計を振り返り、固まる猛と明
振り子の扉が内側から開き、柱時計の中から太郎が顔を出す
のわ!
猛びっくり
あ、なあ、井上さんは?
ヘッドランプつけている太郎が二人にたずねる
猛と明、首を横に振る
そか
道、間違えたかなーと、また柱時計の中へ消えていく太郎
あっけにとられている猛と優。しばし呆然


すこし落ち着いた明、柱時計の振り子の扉を開いて観察
おい、なにしてるんだよ
猛も明の後ろから覗き込む
二人で時計を覗き込む
猛、人差し指を舐めて、かざすように1本立てる
風だ・・・
神妙な顔で呟く猛
さっき太郎さんが来たんだから、あたりまえだろ
かっこよく決めようとしたのに、明に水をさされ、下唇突き出してご不満の猛
どっかとつながってるんだな
そのどこかが肝心なんだよ
るせーな。お前も入ればいいだろーが?
やだよ。どこに出るかわからないし
弁護士や井上さんの神出鬼没は、こういう通路を使ってたのかもしれないね
クールに読み込む明に対し、猛、全くわかってない様子
おー、そーかそーかと空返事
まだまだお城の中にあるんじゃないの?
そーかもなー


ばん!
カウンターの方向から異音
腰抜かしそうにびっくりする猛。さすがに明も、猛の腕をつかんでいる
二人で顔を見合わせてそーっとカウンターのほうを振り返ってみる
忍者のようにカウンターのすぐそばの壁に貼り伝いる井上さん
猛と明と目が合い、ふっとニヒルに笑う井上さん
井上さん
どっからわいて出た!?
太郎さんはどこですか?
あ、さっき、柱時計の中から出てきたけど・・・
井上さん、チッと舌打して、「勝手に行動しやがって、世話の焼ける・・・」とぶつぶついいながら、リビングを横切り柱時計の中へ入っていく
ばん!


勢いよくふたを閉めて、井上さんは柱時計の中に消えてしまった。
目を白黒させている猛
いってー、なんなんだよ
井上さんの現れたカウンター脇の壁を精査する明
高級かつら騒動のときに、響子さんが出入りしてたのは、多分ここだね
あん?
名探偵気分の明にちょっとついていけてない猛
井上さん、太郎さんにお城をどこまで案内するつもりなんだろーな
俺たちが知らない抜け道まで教えちゃっていいのかな
明の言葉に、猛、片眉を上げて思案顔
そりゃ、そーだよな
猛と明、顔を見合わせる




電車はちょっと混み気味。ちょうど帰宅する学生とかち合う時間帯。
つり革の上のバーにつかまっている背の高い翔と、翔につかまって電車の揺れをしのいでいる千里
ネカフェの最寄のT駅でやっと開放された。
久しぶりに混んでる時間に電車に乗ったよ
おれもだよ


駅から5分ほど歩くとネカフェの前
じゃあ、気をつけて
翔がひらひらと手を振る
え?翔は智に会っていかないの?
家で、嫌ってほど会ってるだろ
そうだよね
千里、「あたりまえのこといっちゃった」と笑う
俺、国土に目の敵にされてるからなー
なんで?
ちょっと、とある小鹿の件でねー
腕組みしてため息をつく翔
小鹿って?
きょとん、とした表情で尋ねる千里
なんでもないよ
千里の様子がおかしくて、翔がそっぽ向いて笑う

あ、そうだ
翔、「思い出した」と、ポケットに手を入れ、
ちょっと、目、瞑って
え、何?
いいものあげる
ゆるく握った拳を千里のそばに差し出します
虫!?
なわけないだろ。小学生じゃねーよ
千里、恐る恐る目を閉じる
翔に手が耳元に寄せられた気配


あ、綺麗な音


思わず目を開けて翔を見る千里
今日、付き合ってくれたお礼
手を開いた中にやわらかい布製の小さな巾着袋
翔、千里の手をとってそれを載せる
千里が袋を開いて見ると、皮ひもがついた丸い球体。ビー玉くらいの手に握り込める大きさ。
オルゴールボール?

ありがとう
さっき、千里が雑貨屋で買い物してるときに買ったんだ
千里、自分でも球体を揺らしてみる
わ。すごい
千里、手を伸ばして、翔がさっき千里にしたように、翔の耳元で球体を鳴らして見る
気に入った?
うん。ペンダントになるんだね
皮ひもを下げて見せる千里
そ、猫に鈴。千里にオルゴールボール
猫じゃないってば。
そうだっけ?
猫に鈴って、なんかあたしに見つかりたくないことがあるのかなー?
どっちかっていうと、人より先に千里を見つけたいってことはあるかもな
なに、それ
千里、笑いながらも、球体を揺すって音を楽しんでいる
千里の様子を、笑って見ている翔


で、ここでそういう立ち話をしていれば、まあ、かなりの確立で国土の耳に入るわけで




カウンターに国土と平次


あ、千里さん
窓際に座っていた親衛隊が千里の姿をキャッチ
え?
薔薇色の微笑を浮かべる国土
と、大蔵家の三男が一緒です
なに!?
とたんに悪い顔になる国土
先輩!
平次に肩を揺すられ、国土、われにかえる。すぐに悪い顔を直して、
捕獲!
国土が親衛隊に指示を出す
イエッサー
親衛隊出動


あっという間に捕獲された翔がネカフェに連れてこられる
なにやらにぎやかな店内の様子に、ドリンクバーを点検していた智も寄ってくる
智ー
千里が元気に手を振る
千里さん
思いがけない千里の訪問に、笑顔になる智
よー!
親衛隊に捕獲された翔を発見
何してるんだ?
こっちが聞きたいよ


翔君には、僕が用があるんだ
国土、翔をフロアの隅まで連れて行く
話がある
ん?
千里さんのことだ
また、いつかみたいに、小鹿のように繊細な千里に手は出すなって言いてーんだろ?
それもあるんだけど、今日は、もうひとつ
なんだよ、俺、今から仕事いかなきゃならねーんだから、時間ないんだよなー
湊本太郎のことだ
まじめな表情で翔を見る国土
え?
あいつから千里さんを守ってくれ
なんだって?
意外な名前を聴いて驚く翔
あいつ、この前、ここまで千里さんを送ってきたんで、ちょっと調べたんだ
ふーん
あいつは、欲しいものはどんなことをしてでも手に入れるって有名な奴だそうだ
そうらしいな
話の展開が見えない翔
しかも、好きなもののためなら、金に糸目をつけないらしい
それ、おもちゃの話じゃねーの?
千里さんが大阪に連れて行かれる!
悲壮な表情で嘆く国土の言葉に、翔、びっくりを通り越してちょっとあきれる
極端だなー
そんなの、ダメだ!
じゃあ、こっちにいさえすれば、俺が千里をもらってもいいのかよ
だめだー!でも、大阪はもっとダメだ!!千里さんに会えなくなっちゃうじゃないか!!
国土、頭を抱えて思い乱れている
国土ー・・・
翔が大きくひとつため息をつく
なんだよ
憮然とした表情の国土、軽く翔を睨む
俺と太郎の二択じゃなくて、そこに自分も乗っかって、三択にしようとは思わないのかよ
む、無理無理無理
国土、全力否定
やっぱりお前のほうが、千里より小鹿じゃねーか
めんどくさ、俺、仕事行くわ、と翔さっさと国土に背を向けてネカフェをあとにする
おい、俺の話を聞けってば
翔の背中に追いすがる国土



仕事行くぞー
翔、ネカフェを出ながら、入り口付近で親衛隊と一緒にいた千里に声をかける
うん。いってらっしゃい
千里が手を振る
智、後はたのんだぞ
ポンと、智の背中をたたく翔
ん?なに?
ここからは智にバトンタッチするんだって、あたしのこと
タナボタで、千里と一緒に帰れることになりうれしい智
でも、全く余裕の表情で千里を預けて仕事に行っちゃう翔が、なんか悔しい