フジテレビ火曜9時ドラマ『アタシんちの男子』を楽しみましょう!!
ドラマは感動のうちに幕を閉じましたが、まだまだ『アタ男』熱は冷めません。
終了したドラマなのでネタバレ含みます。ご承知おきください
『アタシんちの男子』をこれから見る方、ストーリー、次回予告、登場人物をお探しの方は、
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『続きシリーズ』『その後シリーズ』など、お話を読まれる方は、
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アタシんちの男子のその後を考えよう

「その後」の続きです
ちょっと進みます
加筆修正あります。
いつもいつもすみません



雨降り


今日は畑の仕事ができないので千里はお休み
よく降るなあ
窓越しに、バルコニーのウッドデッキを打つ雨を見ている
雨だな
声をかけられて振り向くと、あくびしている翔
おはよ
今日は、田辺家に行かないの?
雨だから、お休み
ああ、それで猛もうろちょろしてたんだ
そう、猛の現場も休みみたい
千里、うろちょろって言葉に笑っちゃう
翔、遠くまで暗い空を見て
台風なのかな
らしいよ。太平洋上を北上中。昼過ぎには通過するんだって。
ここら辺にはあまり影響ないって、天気予報で言ってたよ、と千里
そーか
しばらく二人で窓枠にもたれて雨を眺める


ってことは、ひまなんだな?
まーね
じゃあ、デートしよっか
え?
翔が千里に笑いかける
暇つぶしに、買い物、つきあってよ
いーけど、雨だよ
台風、行っちまうんだろ?
て、言ってたね。
よし、じゃあ、行こーぜー
窓枠に寄りかかってる千里の背中をぽんと叩くと、翔、歩き出す
え、ちょっと着替えてくる。
いいよ、そのままで
千里、自分の服を見て
そう?
と翔に尋ねる
うん
と、うなずく翔
千里、ちょっと考えて、
…やっぱり着替えてくる
急いで部屋に帰る千里の後ろ姿に、なんだか微笑んでしまう翔




玄関への大階段を下りて行く千里の頭上から、からかう気満々の声がする。
おーおー、めかしこんでんじゃねーか
千里、声のしたほうを見上げる。
いつもよりちょっとかわいい千里を見かけて、黙ってられなかったやじうま猛が、2階の手すりから身を乗り出して階段を覗き込んでいる
ふつうだよ
千里、そっけなく答えて階段を下りる
デートか?
暇つぶし
暇つぶしー?
階段を下りた千里が「お待たせ」と声をかける
猛に見えない相手が「行こーか」と答え、千里が「うん」とうなずく
興味津々の猛が、手すりに体を乗っけて、相手の顔を確認しようと更に身を乗り出す。
頭上の気配に気づいた翔と目が合う
暇つぶしねー
猛、二人を見てニヤニヤ
翔、面倒な奴に見つかったと舌打
おっと!
手すりから乗り出しすぎて、バランスを崩した猛。慌てて落下しそうな体勢を立て直し、今度は手すりの反対側にひっくり返ってしりもちをつく
いって〜!
今のうち!
猛が転んでる隙に、翔は千里の背を押して玄関を出る。
玄関のドアの閉まる音を聴いて、口の端を歪める猛
あいつら、からかって、ちょっとは暇がつぶせるかと思ったのによー
猛、立ち上がって特攻服の汚れを払い、次なる暇つぶしに照準を合わせる




リビングのドアが開き、優、智、明が顔を上げる
おめーら、いいのかよー
猛がニヤニヤと笑って優と智を見る
なに?
なんだよ、気持ちわりーな
猛、「でーとだよ、でぃと!」と粘着質な発音で繰り返す
勿体つける猛に、ガクッとする優と、イラっとする智。われ関せずの明
ちびっこ、翔とデートに行っちまったぞ!!
びしーっと指差し決めポーズ
えー!!
なにー!!
智と優、リビングのドアのところで、勝ち誇った顔で立っていた猛を弾き飛ばして、玄関へ直行
猛、階段落ち
いってーな!バカやろー
自業自得だね
呆れ顔の明




玄関飛び出す優と智
遠くに並んで歩く傘ふたつ
あー
ストール咬む優
おい、追いかけるぞ
優の肩を叩く智
・・・僕、今日、仕事なんだ・・・
あ、俺もネカフェの日だ
舌打ちする智
城から連れ出されちゃ、手出しもできねー
腕組みする優
この手があるなら今度使って見ようかな
え?
二人、顔を見合わせる




ミラクル社長室
湊本氏の訪問は、いかがでした?
結局、JVの話は一言も出なかったよ
そうでしたか
ずーっと、親父の発明品に夢中で、昼過ぎに来て、夕方までいたぞ
付き合いきれないよ、とため息をつく風を時田が笑って見ている
噂に違わぬバカ息子と言うか、相当マニアックだった。質問とかも、ちょっと普通の奴と見ている所が違うって言うかさー
どんなことを?
発明品の構造とか、着想とか、・・・なんか、どっちかって言うと、親父のことを知りたがっている感じだった
湊本氏は、小さい頃、先代社長にとてもなついていたそうですから。
じゃあ、俺が引き取られる前の親父のことも知ってるんだ
そうかもしれませんね
あいつ、またうちに来るって行ってた
だいぶご執心ですね
熱心すぎて、発明品半分も見られなかったんだってさ
呆れ顔の風
そうですか
時田、眼鏡をちょっと直し、
お話だけ聞くと、大変無邪気な方のように聞こえますが
とにかく笑ってるな。無邪気かどうかはわからないが・・・。うちの兄弟とも気持ち悪いほどすんなり会話してるぞ
皆さんとですか?意外ですね・・・
兄弟と対立したことのある時田、驚きの声を上げる
なんにしても、明確なアクションがなければ、策の立てようがないですね。
うん。何が来るかわからない状態で警戒しているのは、疲れるよ
頬杖ついて時田を見る風
わかります
同情しますといった視線を送る時田




何かを思い出し、ちょっと表情が曇った風を、時田が不思議そうに見つめる
千里のことは、翔に宣戦布告してるみたいだったぞ
時田、風の憮然とした表情に吹き出してしまう
時田ー!
し、失礼しました。
何とか笑いをかみ殺し
社長を崩すには、まず千里さんから攻めるっていうのが、湊本氏の作戦だとしたら、大当たりなんじゃないですかね
そうだったら、気にいらないな
妹さんが魅力的だと、お兄さんの悩みも絶えませんねー




トリックハート城の玄関に太郎
照合機を押し、合言葉

<<川>>

<<の好きな球団は>>
巨人!
ピンポーン
難なくクリアで城内へ
軽やかに階段駆け上がり、リビングのこうもりを押す
こんちわー!
だからおめーは勝手に入ってくんなって
猛、太郎の声に振り向きざまに苦情一発
クイズ、クリアしたしー
太郎、笑顔でピース。
山川豊クイズ、バージョンアップしたはずなのに
明、表情にはあまり出ないが、驚いている
呼び鈴はドアのところにあるんから
優が丁寧に場所を教える
そーだよ。そっち使えよ。驚くだろ
智、太郎に「ひとんちに勝手に入ってくるなんて非常識だぞ」と、念を押す
そーなん?ごめんごめん。帰りに良く見とくし
太郎、智の苦情もどこ吹く風
今日は何の用だ、関西弁!ちびっこなら留守だぞ
そうかー。翔は?
その翔とデート
イライラと智
なんや、そーかー、先、越されたなー
太郎の言葉に智と優の周囲の空気がピキッと凍りつく
今日はなー、城の見学したくて来てん。誰か案内してほしいんやけど?
俺、バイト
僕、仕事
智と優、早々に手を上げてお返事
めんどくせーな
猛もポケットに手を入れてそっぽを向く
僕、案内してもいいけど
明が立候補
じゃあ、明くん、お願いしてもいい?
話がまとまりかけたとき、
あ!
いたずら思いついた猛がにんまり笑う
案内なら適任がいるじゃねえか
だれ?
優、智、明、首をかしげる
この城のことを誰よりも熟知しているといえば、あいつしかいないだろー?
あ!
そうか
千里のことで太郎が気に入らなかった優と智も、猛のいたずらに乗ることにする
三人、ニヤリと笑い「せーの」と声を合わせる
井上さーん!!
バタン
そこで聞いてたかのようにナイスタイミングでドアが開く
驚く太郎
あ、写真のメイドさん




電車から降りる翔と千里
階段上って自動改札を抜ける
翔は迷わず進んでいるが、きょろきょろついていく千里は遅れ気味
雨上がったね
うん。かさ、邪魔だな。
わすれちゃいそう
そうだな
雨傘をステッキみたいにして歩く二人
どこに行くの?
行ってみてのお楽しみ
ふーん
一回、行ってみたかったショップがあるんだ
そうかー
千里はどこか行きたいところ、ないの?
特にないけど、雑貨屋さんがあったら、ちょっと寄りたいかなー
この辺、多いよ。気になるところがあったら言って。
古着屋さんも多いね
うん。
平日なのに、通りは歩行者でちょっと混雑している
はぐれないとは思うけど
翔が千里の右手を取って笑う
ちっちゃい子じゃないんだけど?
千里苦笑い
ま、ぶらぶら行きましょー
ぶらぶらねー




リビングのドアの前で、メイド服なのに仁王立ちの井上さん
こいつ、城の見学したいんだってさー
案内してやってくれない?
おねがい
猛、優、智、わざとらしい笑顔で井上さんにお願い
えー・・・。私、対千里トレーニングで、忙しいんですけど
「僕、案内してもいいけど」という明の声は聞かなかったことにして、
「そこをナントカ」と、猛、優、智、井上さんを拝み倒し
まあ・・・、いいっすよ
井上さんしぶしぶ了承
猛が太郎に井上さんを紹介
太郎、井上さんは、この城のこと、誰よりも詳しいんだ。俺たちよりもな!
そうなんですか?
僕は?
明、やる気だったのに案内を横取りされてちょっと不満気
よろしくお願いします
太郎のスマイル炸裂に、ちょっと頬染める井上さん
お?
兄弟驚き
井上さん、咳払いしてリセット
えー。トリックハート城の見学コースは三つありますー
1番。30分でお城を体験!「ビギナーコース」
2番。これを押さえとけばお城はばっちり!「スタンダードコース」
3番。誰も知らないところまで!たっぷりゆっくり「スペシャルコース」
井上さん指を立てて説明
うちに見学コースなんてあったのか?
しかも三つも
30分見りゃ、十分だよな
誰も知らないって、どこ?
猛、優、智、明、始めて聞く井上の見学コース説明に驚き
じゃあ、たっぷりゆっくりの3番でお願いします
太郎が井上さんに三本指を立てて見せる
後悔しませんね?
ぼそりとつぶやく井上さん
え?
太郎、意味がわからなくて瞬き
兄弟は井上さんの様子に不穏なものを感じる


井上さん、どこからともなくザックを取り出し、
じゃあ、これ、お願いします
と、ヘルメット、ヘッドランプ、ゴーグルを太郎に手渡す
え?
太郎と兄弟が戸惑っていると、あっという間にそれらを装着し、肩にロープをかけた井上さんがスタンバイ。
では、いきますよ!
あ、はい。ちょっと待って
井上さん、太郎を従えてリビングを出て行く


あっけにとられて見送る猛、優、智、明
どこに行くんだ?
探検隊みたい
城の見学だろ?
僕たちも知らない部屋が、あったりして
明の言葉に顔を見合わせる猛、優、智


太郎、大丈夫か・・・?

だから僕が案内するって言ったのに




商店街の狭い路地
古着屋の二階を見上げる翔
案外、駅から近かったな
え?
ここが、俺の来たかった店
翔が看板を指差す
廃盤玩具専門店『TICTAC』?
千里が首を傾げる
翔、にっと笑うと、狭い階段を登っていく
千里も慌てて追いかける

いらっしゃいませ
先に店内に入った翔にかけられた店員の声を聞きながら、千里も店の中へ


うわ!


古今東西、津々浦々のおもちゃがひしめく店内に、開いた口がふさがらない千里
翔も呆れているような、感心しているようなため息をもらす
すごいな…
うん…
その展示点数に圧倒され、唖然とするふたり
千里、ふと頭に浮かんだあることを翔に尋ねる


ねえ、翔。ここって、もしかして…
そ。太郎の店