フジテレビ火曜9時ドラマ『アタシんちの男子』を楽しみましょう!!
ドラマは感動のうちに幕を閉じましたが、まだまだ『アタ男』熱は冷めません。
終了したドラマなのでネタバレ含みます。ご承知おきください
『アタシんちの男子』をこれから見る方、ストーリー、次回予告、登場人物をお探しの方は、
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『続きシリーズ』『その後シリーズ』など、お話を読まれる方は、
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アタシんちの男子のその後を考えよう

「その後」の続きです

いつも書きっぱなしですみません
加筆、修正、誤字脱字あります



義男の家からの帰り道


クラクションに振り返る千里
千里のすぐそばに止まった軽トラックの車中から声がする
ねーちゃん、ねーちゃん、茶ぁしばきー、行かへんけー
声をかけられびっくりする千里。
運転席から顔を出したのは太郎
太郎さん!
ガソリン入れに行くついでに送ったる。乗り
なに言ってるのか分からなかった
ん?
ちゃーしばくって、なに?
千里、不思議そうな顔で太郎に問う
太郎、千里の様子をおかしそうに見ている
翻訳するとね
太郎、こほんとひとつ咳払いをして
お嬢さん、お茶を飲みに行きませんか
と、キメキメでせりふを言ってみる
ナンパだ!
そー
軽トラックで
そーそー
笑っちゃう千里。
まあ、いまどきの若いこは、さすがに言わんかもしれんけどな
太郎もにっと笑う。
うれしいんだけど、寄るとこあるから
したら、そこまで送るよ。
じゃあ・・・、お言葉に甘えて
軽トラックの前を回って助手席に乗る千里
シートベルトを締めてー
はーい。
お客さん、どちらまで?
タクシーの運転手さん風に聞く太郎
T駅のそばにあるネットカフェまでお願いしまーす
了解。
って、道、分かるの
わかんない
太郎、ニコニコ笑って千里を見ると自分のバッグのポケットを示す。
そこにポータブルナビがあるし、目的地、入れて
千里、メッシュポケットに入っていたナビを取り出す
小さいねぇ
おれ、買い付けで全国歩くから必需品。徒歩でも使えるしね
へえ
使い方、分かる?
多分
じゃあ、頼むね。とりあえず、どっち?
しばらくはまっすぐ
了解、ではしゅっぱーつ
太郎、車を発進させる
千里、ナビを操作して目的地を設定。
できた
そこ、スタンド
千里、太郎が示したダッシュボードにナビをセット
10分くらいでついちゃうと思うよ
そーなん?
歩くときは近道するけど、車のほうが遠回りになるかな?
へえ
太郎さんこそ、あたし送ってったら遠回りでしょ
えーねん。ドライブドライブ。
太郎、機嫌よさそうにハンドルを握っている
俺ね、知らない町、好きやから
へえ・・・
買い付け行っても、暇があったらぶらぶらしとるん。でも、車より自転車、自転車よりは歩きが好きやけどね
歩くのは、楽しいよね。なんか分かる
その町その町、なんか独特なもんがあってさ。楽しいんよ
太郎さんは、全国におもちゃを仕入れに行くの?
そう。おもちゃさえあればどこまでも




ネカフェ
空いている座敷席のブースにいる国土と智


昨日は勝手に帰ってすみませんでした
正座している智、国土に頭を下げる
わざわざ謝りに来なくてもよかったのに
大丈夫だよ、と国土は人のよさそうな笑顔
でも、昨日、勝手に帰っちゃったし
そのへんは承知で来てもらってるんだから。無理しないでね。
国土、智の肩をポンポンとたたく
はい
今日は、わざわざそれ言いに来たの?
うん
そうか。智くんは、まじめなんだね
そんなんじゃねーよ。
迷惑かけたんだから・・・と口の中でごにょごにょ
ちゃんと目的地に着くだけ、すごいと思うよ
??
怪訝な顔で国土を見る智。
まあ、脚、崩して
あ、はい
智、国土に言われて正座を胡坐に組みなおす。
俺ね、すごく高校留年したって、聞いてるでしょ?
千里さんが言ってた
うん
恥ずかしそうに頭をかく国土
何でだと思う?
俺みたいな?
違うんだよねー
なんで?
俺は学校にたどり着かなかったんだ
はい?
智、耳を疑う
意味、わかんないんだけど
まあ、出席欠席半々ってとこだったけど
国土、ちょっと
話についていけてない智に、国土、「例えば、なんだけど…」と、具体例を説明する
朝、学校に行こうと思って家を出るでしょ。途中でかっこいい映画のポスター見たら、映画に行っちゃったり、
え?
今日は空が青いなーと気分がよければ公園に行っちゃったりとか、
え?
電車で隣に座った人のヘッドフォンの音漏れで、無性に聴きたい音楽を思い出して家に取りに帰っちゃったり、
え?
美形の野良猫見かけて追っかけてったり
ちょっと待て!
ん??
そんな幼稚園児みたいな理由で、学校行かなかったのか?
そうなんですよ。笑っちゃうでしょ。気になることがあると、どうしても止まらなくなっちゃうみたいで。まあ。今でもその気はあるんですけど
えー・・・
まったく屈託なく話す国土にあきれる智
だから、智くんは、俺よりずっとまっとうに学校を捉えているんだから、、偉いよ
えらいって言うのかな?
えらいです
しかし、よくそれで卒業できたな
国土、胡坐に組んでいた足を伸ばして、後ろに手をついて、天井を見上げる。ちょっと、幸せそうに思い出し笑い。
何回目かの一年生のとき、ダブりにダブってもう学校なんか辞めちゃおうかと思ってた頃、珍しく学校にたどり着いたら、すっごくかわいい女の子が僕の前に来たんだよ。俺、見とれちゃって…。
国土、智を見て、ちょっと照れ笑い
そしたらその子、俺のこと思いっきりひっぱたいて、「あんたが卒業できるほうに一枚かけたんだから、ちゃんと学校に来てよね!」って言うんだよー。
国土、バシーンと平手打ちをする仕草をしてみせる。
それって、もしかして
そう、千里さん
「あれはショックだったねー」と、くすくす笑いながらほっぺたをさする国土
そりゃそうだろ
智に指を一本一本数え折ってみせる
まず、よく知らない女の子に平手打ちされたのもショックだったでしょー。んで、年上の男子を張り飛ばすその度胸にも感心したしー。また、その女の子がまた、むっちゃくちゃかわいかったってのも衝撃的だったー。トリプルショックで、もう一目惚れの針、MAX振っ切ってたね
しゃべりながら、当時の記憶がよみがえってきた国土、くすくす笑いがだんだん増幅。笑いすぎて目じりの涙をぬぐう
それからは、笑っちゃうんだけど、通学途中のどんな誘惑よりも、千里さん会いたさに残り3年間皆勤賞。
ビシーっと智に向かって三本指を立てて見せる
極端から極端だな
うん、でも、一番のきっかけは、千里さんが信じてくれたからなんだよ。

バシー!!と平手が来て、「ちゃんと学校来てよね」って言われて、俺、勢いに負けてで「うん」ってうなずいちゃったんだよね。
そしたら、千里さん、「信じてるからね」って、すごくいい笑顔を僕に見せてくれたんだ。
国土の表情を見ながら、智も自分に向けられた、千里の優しい表情をぼんやりと思い出す。
「そしてね」と国土、卓上のメモ帳にある言葉を走り書きして、智に渡す
これがとどめだったね
智、渡されたメモ帳に書かれた言葉を見る
俺ね、誰かに「信じてる」って、ちゃんといわれたの、そのときが初めてだったと思う。
国土、智を見て優しく笑うと、智が手にしたメモ帳を指差す。
俺はこの言葉を信じてたからこそ、卒業できたんだ。―――今では俺の、座右の銘。
智くんも、この言葉を見て、顔が浮かんだ人のことを大事にしていれば、きっと、がんばれると思うよ
かっこよく決めすぎて恥ずかしくなってしまった国土、慌てて「もっとも、これ、千里さんの二番煎じだけどね」と頭をバリバリとかく。
智、そんな国土を見て、笑ってしまう。
…大事にする
智、ありがとう、と国土にメモをかざし、言葉の書かれた一枚を切り取って、ポケットにしまう前に、もう一度読み返す。
千里から、国土を経由して、智にも巡ってきた言葉


「信じていてくれてる人を 哀しませるな!!」




信号待ち
サイドブレーキを引いて千里を見る太郎
日曜日に、千里ちゃんちにお邪魔するんだけど、
うん
何か、お土産買うてかな、とか思って。ご家族は何人?
七人だけど・・・。そんな気を使わないでいいよ。
でも、初めて会う人たちやし
あまりそういうの気にしないと思うよ、うち。男ばっかりだし
じゃあ、千里ちゃんは何か食べたいもん、ない?
うーん・・・
ケーキとか
あ、最近食べてないかも
そか。じゃあ、ケーキに決まり!何が好き?
チョコ系かなー
チョコ決定!
えー、悪いよー。
いいのいいの。お店は?どっか食べたいとこない?
うそうそ。ほんとにいいってば
そういわんと


信号が変わり、発進


千里、運転している太郎の横顔に質問
城にある、新造さんの発明品を支度しておけばいいの?
うん
うちにあるのは変なのばっかりだよ。会社にあるのでなくていいの?
いいのいいの
あと、城の見学も出来たらしたいな
わかった。言っとく。


<<目的地付近です>>とナビ


その先、左側のビル
了解
太郎がウインカーを出して車を寄せる
ありがとうございました。
いーえ。色気のない車で送ってごめんなー
ハンドルに手をかけた太郎が人懐っこい笑顔で笑う。
千里、ぜんぜん、と手を振る
あ、ちょい待ち
太郎、軽トラの運転席を下り、助手席に回ってドアを開ける
軽トラだけど、気分だけでもエスコート
どうぞ、と手振りをつけてお辞儀をする太郎
千里、おかしくて噴出してしまう
どーも
千里も丁寧にお辞儀をして軽トラを降りる
二人で軽トラの脇で爆笑
なにやってんだろうね俺たち
ほんとに




大変です!!
千里親衛隊が、座敷席で智と話している国土を呼びにやってくる
どうしたの?
ち、ちちち、千里さんが!
お、おおお、男と!
く、くくく、車で!
なにー!!
血相変えて窓際に駆け出す国土
智もつられて走り出す
残っていた千里親衛隊の数名、窓にへばりついている


ネカフェの面々が、ガラスに額をくっつけて、下の道路を見下ろすと、軽トラの脇で笑いあう千里と太郎の姿が


智くん、知ってる人?
ガラスに両手と額をへばりつかせたまま、国土がたずねる
全然知らない。
兄弟以外のライバルの存在など、想定したころすらなかった智、なんだか不安でドキドキしてしまう。
先輩の高校の同級生じゃ、ないんですか?
平次が国土にすがるような目で問う
違うな…
みんなでガラスに額をくっつけて千里と太郎を凝視
ちょっと、写真押さえて、すぐ調査
国土が親衛隊に指示を出す。その声音のただならぬ様子に思わず振り返る智
え!?
先ほどの穏やかさとは、別人のような悪い顔の国土。
軽トラのナンバーを自ら控え、パソコンの前に急行。悪魔のような表情で検索を始める
国土・・・
先輩がまた、悪い顔に・・・!!
平次が青ざめる
ん?
振り向いた国土の顔を見て、悲鳴を上げる千里親衛隊
悪国土、久々の再降臨