フジテレビ火曜9時ドラマ『アタシんちの男子』を楽しみましょう!!
ドラマは感動のうちに幕を閉じましたが、まだまだ『アタ男』熱は冷めません。
終了したドラマなのでネタバレ含みます。ご承知おきください
『アタシんちの男子』をこれから見る方、ストーリー、次回予告、登場人物をお探しの方は、
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『続きシリーズ』『その後シリーズ』など、お話を読まれる方は、
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アタシんちの男子のその後を考えよう

おばあちゃんの贈り物・その1です
書きたかった話なんだけど、うまくいかない…

仮で上げます
例のごとく、手直しあります。
すみません
その2は日付が変わる頃、上げる予定です




夕方、優と帰宅した七海はちょっと見ものだった
なにしろ、優がフルパワーで仕上げてきた七海は、筆舌に尽くしがたいほど、かわいくなってた
モノトーンのラインがキレイなワンピース
七海が本来持っている、肌の白さや、柔らかな髪色、細く長い手足が活かされ、アクセサリーがなくてもいいくらい華やかに見える
大蔵家の面々は、あっけに取られたり、ため息ついたり、目から鱗を落としたり
七海ちゃんのいいとこ、全部出てるって感じ
千里、パチパチと拍手
兄バカの面目躍如だな。よく見てる
翔も腕組みして頷く
よ!ファッション大臣
明、キレイな七海復活にうれしそう
やっぱ、優、洋服着る仕事なだけあるな。さすが餅は餅屋だ
智が人差し指を立てて解説
あの服、モチハモチヤってブランドなのか?
猛が片眉上げてびっくり
ことわざ!!
智と明でダブルツッコミ
千里NO.1の看板を外さない、兄バカ風からも、「千里に匹敵するほどかわいい」とのお墨付きをいただいた。
大満足の優とは裏腹に、振り回されて疲れた七海はテンション低め
着替えてくる
ゆるくハーフアップにしてある髪を留めたピンを抜く
もったいない!
と綺麗になった七海を残念がる優に
こんなことに馬鹿みたいにお金を使うほうがもったいない
とぴしゃりと優の文句を完封


俺、だんだんわかってきた
ん?
智が隣の明に耳打ち
七海ちゃんは優よりよっぽど男前な性格
だね
明も納得
わっかんねーもんだな
猛、椅子の背もたれに腕をかけて頬杖をついて兄妹ケンカを見ている
パッと見、お姫様みたいだからな
風も頷く
今思うと、オーディションやなんやら、かなりらしくないことしてたんじゃねーの?
翔、腕組みして優と七海を見る
大丈夫かなぁ…
千里、ちょっとハラハラしながら優と七海のやり取りを見ている


優、落ち込んじゃって、ストールを握り締めてうるうる。
七海ちょっと辟易って表情
おにぃ…
七海、僕のこと嫌い?
わたしのことを考えて、いろいろしてくれるのはありがたいんだけどー
けど…?
わたし、着せ替え人形じゃないんだよ?
そんなこと、僕だって思ってないよ。
七海が、そんなふうに思ってるなんて…
と涙目になる優
優の反応を見た七海、一度、ぎゅっと目を閉じて眉根を寄せる
七海…!?
不機嫌そうな七海の表情を、優、おどおどと窺う
も〜〜〜。おにぃ、うざい!
堪忍袋の緒が切れた七海、バタンとリビングのドアを開けて出て行ってしまう
しばらく、七海の去った後のリビングのドアを見ていた優、グスン、と鼻を鳴らすと、
妹に、うざいって言われた〜
と、口元に手を当てて、半べその顔を兄弟に向ける
優、泣かないで
まあ、ほら、あの、言葉の綾ってこともあるし
千里と智が優を慰める
面倒くせーな、うぜーもんは、うぜーんだよ!
猛が、半笑いでからかうように言う
ひどいよ〜〜〜
優、テーブルに突っ伏してしくしくと泣く
もー、猛ー!
千里が猛の腕を叩いたのを皮切りに、兄弟も猛に一発ずつ制裁発動
ってーなー!!
猛が兄弟にやり返そうとしたそのとき


バタン!!
と再びドアが開いて七海が戻ってくる
これじゃ、前に上京したときと一緒じゃん!
七海、もどかしそうに長い髪をくしゃくしゃと掻く
七海?
優、兄弟、千里、あっけに取られてリビングの入口に立つ七海を見る
七海、優を見て
おにぃ、ちょっと待ってて
踵を返し、七海、再びリビングを飛び出す
優、わけがわからないといった表情で七海の消えたあたりを見つめる
七海の様子に、顔を見合わせる兄弟たち


再び戻ってきた七海の手には、古いトランク
あ、おばあちゃんのお下がりって言ってたトランク
気づいた千里が指差す
兄弟も、七海のトランクを見る


部屋とリビングを走って往復したので、七海の息、ちょっと乱れている
胸元に手を置いて、深呼吸して息を整えると


わたし、おばあちゃんとの約束を果たさなくちゃ


七海はまじめな顔で優と見つめる




おにぃと二人だと、またケンカするといけないから、一緒にいてもらっていいですか
七海が千里と兄弟を見る
うん
と、千里が返事をする。
兄弟たちも頷いて、二人から離れたところにそれぞれ席をとる
風、翔、智はカウンターのスツールに
明はクリーム色のソファに
猛は明のそばまでダイニングの椅子を引いていき、反対向きに、またがるように腰掛ける。
千里は立ったまま、翔たちのそばのカウンターに寄りかかっている
優は、兄弟たちの前、いつもの自分の席に座っている
七海は、ダイニングテーブルにトランクを載せ、優の正面に立つ


あらたまっちゃうと、なんか恥ずかしいんだけど
七海が髪を耳にかける
おにぃ
と七海独特の呼び方で優に話しかける
なに?
緊張気味の優の表情
わたしが今回上京した理由は、2つあるの
七海が指を二本立てて見せる
2つ?
1つは、あんな片田舎のわたしの家まで、何度も何度も足を運んでくれた、事務所の社長さんに、きちんと誠意のある断り方をしたかったから
七海、風を見て、「まあ、上手に断りきれなくて、ミラクルまでオーディションに行っちゃいましたけど」と、照れ笑い
結構、いいとこまで残ってたみたいだったよ
風も笑顔を返す
「もう1つは」と七海、優を見て、
この前、上京したとき、キモイなんていっちゃって、大事な話ができなかったから、もう一度、おにぃと、ちゃんと話したくて
七海・・・


今年の夏の始め、お兄ちゃんが、突然、訪ねてきて驚いた。…ついに、きたかって、思った
七海がいつもの「おにぃ」って呼び方でなく、「お兄ちゃん」と改まった調子で呼ぶので、優、ちょっと緊張する
僕たちに残された新造さんの遺産の巻物に、書いてあったんだ


優、自分の巻物に書かれたことを七海に聞かせる。
兄弟たちも、優の巻物の中身を知るのは今日が初めて

四男 大蔵優
大蔵家に来る前の君の話をしよう
優、君のご両親が自宅の火災でなくなったのは、君が7歳のときだった
当時の記憶を君は断片的にしか思いだせないようだが、君の妹はすべてを知っている
なぜご両親が亡くなったのか、君はそろそろ知るべきだ
君の妹は火事が起きた家の近くに住んでいる

もう、憶えちゃったよ。空で言える
ふふふと優が笑う
優の脳裏に、火事の記憶。炎の中、ぬいぐるみを抱いて「パパー!ママー!」と叫ぶ男の子。
少しづつ、火事の記憶がよみがえってきて、巻物を読んだ僕は、僕の家があった場所に行った。―――そこで、七海の居場所を知ったんだ


七海、優の話に小さく頷く
15年前、お兄ちゃんが7歳、わたしが5歳のときに、火事でパパとママが亡くなったの。わたしとお兄ちゃんは、パパの弟夫婦―――今のあたしの両親に、一緒に引き取られることになってた。
一緒に?
うん。そのはずだった。
七海、体の前で指を組んで手首を返し、ちょっと間をとるようにぐーっと腕を伸ばす。
…でも、お兄ちゃんから、火事の記憶が抜け落ちていることに、おばあちゃんが気がついた
伸ばした腕を脱力し、ぱたりと落す
おばあちゃんは、おにぃの記憶がちゃんと戻るまでの間、一時的に、お兄ちゃんを手元に引き取ることにしたの。お兄ちゃんの記憶が戻ったときに、自分を必要以上に傷つけてしまわないように。本当のことをきちんと話してあげられるようにって。
おばあちゃんのトランクに手をかけながら、七海が話す。思い出すように、少し目線を上に上げて。
優も、記憶の中の祖母の顔を思い出している
わたし、すごく淋しかった。パパとママがいなくなって、その上、お兄ちゃんとも離れ離れになって。淋しくて、淋しくて、毎日泣いてばかりで…、引き取ってくれた今のお母さんにもすごく心配をかけたの
七海を見ている千里には、当時を思い出しながら話している七海の表情が、小さな女の子のように見えてくる
そんな時、わたしの様子を聞いた、おばあちゃんが会いに来てくれた。おばあちゃんの顔を見て、おにぃに会いたいとわんわん泣いているわたしに、おばちゃんはこう言ったの
七海、一呼吸置いて、おばあちゃんと自分の会話の口真似をする


七海は、お兄ちゃんが大好きだろ?
うん
七海のパパとママもお兄ちゃんが大好きだった
うん
パパとママは、お兄ちゃんのことを一番に考えて、お兄ちゃんを助けに行った。すごく立派なパパとママだよ。七海は誇りに思っていい
ほこりって?
すごいってことだよ
パパとママはすごいの?
そう。
すごいんだ
そんなすごいパパとママの娘なんだよ。七海は
うん
今、お兄ちゃんは、悲しすぎて、思い出が飛び飛びになっちゃってるんだ
とびとび?
お兄ちゃんが、ちゃんといろいろ思い出せるまで、七海はおじちゃんちで、いい子で待ていておくれ
七海だけ?
そう。でも、お兄ちゃんのこと、大好きだから、いい子で待てるよね
うん
ありがとう。七海。


おばあちゃんはわたしの頭を撫でると、トランクを1つ手渡してくれた。「同じものを、優にも用意してあるんだ。お兄ちゃんとおそろいだよ」って
七海、自分の手元のトランクを、テーブルの上を滑らせて、優の前に差し出す


優の目がトランクに注がれる
絵本で読んだ宝の箱みたいなトランクを見て、わたし、すごくうれしかった。
七海、トランクを愛しそうに見る
「あけてごらん」って、おばあちゃんに言われてトランクを開くと、中には写真が入っていた。「これもおそろいだよ」って、おばあちゃんは言った。


これから、お前達に、おそろいのものをプレゼントしていってあげる。
離れ離れで暮しても、淋しくないようにね。
おまえたちは、家族の思い出も、火事でなくしちゃったからね


そのときのわたしには、難しすぎて意味がよくわからなかった
七海、首を傾げて、ちょっと笑うと、自分の指を数えるように折る
パパとママが偉い人だってこと、大好きなお兄ちゃんのためにいい子にしていること、おばあちゃんがお兄ちゃんとおそろいのプレゼントをくれたこと、・・・くらい
話の区切りに1つ息をついて、七海は明るい顔で優を真っ直ぐ見つめる
それが、このトランク。・・・本当は、おばあちゃんがお兄ちゃんに直接、渡したかったと思うけど
七海、優にトランクを開けるように手振りで示す


優がぱちりと留め金を外して、ゆっくりと飴色のトランクを開ける