フジテレビ火曜9時ドラマ『アタシんちの男子』を楽しみましょう!!
ドラマは感動のうちに幕を閉じましたが、まだまだ『アタ男』熱は冷めません。
終了したドラマなのでネタバレ含みます。ご承知おきください
『アタシんちの男子』をこれから見る方、ストーリー、次回予告、登場人物をお探しの方は、
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『続きシリーズ』『その後シリーズ』など、お話を読まれる方は、
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アタシんちの男子のその後を考えよう

さてさて
話が強引になってきますが、笑って許してくださいね
お城の間取りは、巻物に従っていませんのであしからず
もう修正できなんだもん(笑)
誤字脱字加筆修正あります
いつもすみません





田辺家

夕方5時
田辺家での千里の勤務時間の終了時刻ぴったりに、シルバーの小型スポーツカーが、「バタバタバタ…」と気の抜けた2気筒エンジンの音を立てながら、田辺家の庭に入ってきた
縁側で喋っていた千里と義男、入ってきた車を見る
ヨタハチ!!
ヨタハチって?
トヨタ・スポーツ800だよ
義男がうれしそうに微笑んでため息をつく
千里、首をかしげる
こんにちはー
停車した車から降りてきたのは太郎
太郎さん!
千里が驚く
どうしたの、今日は
今日の太郎は、いつものカジュアルな服装と違い、モッズスーツにチェルシーブーツ。古い形の車にすごく似合ってる
そういう格好をすると、太郎ちゃんも大人になったなって思うよ
そうですか??
にっと太郎が笑う
まあ、勤め人には見えないけどな
ふふふ、と義男も笑う
今日は、大蔵家のみなさんに、お世話になった挨拶しに行くから、ビシッとしとかないと
太郎、ジャケットの襟を、「ビシッ」と口で擬音をつけて整える
その仕草がおかしくて、「似合うよ」といいながらも、千里、笑ってしまう
笑いながら言われても、説得力ないし
太郎、わざとらしく膨れてみせる
その表情に、また笑ってしまう千里


二人が話している間も、義男は車に夢中
俺たちが、若い頃、憧れた車だよ
義男、サンダル突っかけて、庭先に停まった車を熱心に眺める
ちょっと無理して買っちゃいました
あんまり熱心に義男が食いついてるので、千里もそばまで行って車を見る
いくらだった?
フロントを覗き込んでいた義男が、太郎に尋ねる
太郎、2、7、0と指で作る
そのくらいはするんだろうな。年式は?
1969年です。俺より15歳先輩
だろうな。
義男、子供みたいにわくわくしている
それより、メンテナンスが大変ですよ。部品の入手とか…
これ、オープンカー?
千里が車を眺めながらたずねる
んー、幌やなくて、硬い屋根が外せるん。
ふーん
タルガトップとか、デタッチャブルトップとかいうんやけど。アクティブトップと違って、「屋根を付けておくか・外しておくか」だから、天候の変化に弱いんやけどね
立て板に水の太郎の話、半分も千里の頭には入ってこない
太郎、千里の表情に気づき、自分の口を抑えて「ごめん」と苦笑い


じゃあ、そろそろ行こうか
太郎が千里を促す
じゃあ、義男さん、また明日
おう。よろしくな
車に乗り込む二人を見て、義男、感慨深げに
太郎ちゃんと千里が、二人並んでいるとこを見るのも、しばらくないと思うと淋しいよ
義男、自分がちょっと涙目になってるのに気づき、「年をとると、涙もろくなって、いけないな」と照れ笑い
千里と太郎、顔を見合わせて笑う
俺、まだ明日もここに寄るつもりなんやけど
あたしも仕事にくるし
そうだったな。太郎ちゃん、安全運転で頼むよ
はい
気の抜けたエンジン音を立てて、おもちゃみたいに懐かしい車は、田辺家を後にする




車がトリックハート城の敷地に入る
気持ちいいねー
髪を風にあおられながら、千里、笑顔
千里ちゃんを乗せるのが夕方でよかったよ
え?
夏は、意外とオープンカーに向かない季節なん
そうなの?
日には焼けるわ、パーキングでシートは熱々になるわ、夕立が降ってびしゃびしゃになるわ…
屋根つけたら?
古い車だからエアコンがないし、
不便だといいながらも、顔はニコニコ笑ってる太郎
ツーシーターなので軽トラに乗っていたときと似たような距離感だけど、今日の太郎はなんか違うな、と思う千里
今日の太郎さん、大人っぽい
服のせいちゃう?
そうだね
頷く千里だけど、それだけかな?と首をかしげる


お城の車寄せに到着
ドアに手をかける千里を止めて、「いつかのリベンジさせて」と運転席を降りて千里をエスコート
翔みたいに、上手には出来ないけどな
照れ笑いで千里に手を差し出す太郎
ありがと
千里、絵のように優雅に車を降りた七海の姿を思い出す。
「あたしにはできないな」と千里、あきらめて、ぴょこん、と跳ねるように車を降りる


車をお城のガレージに置きに行ってる太郎を、千里が玄関先で待っていると、太郎が花束抱えてやってきた。
はい
の花束を千里に差し出す
あたしに?
うん。千里ちゃんにはいろいろお世話になったから
「義男さんちで渡すの、ちょっと恥ずかしくて」と頭をかく
わー。すごーい
カラフルな真夏のブーケ。バラ、ヒマワリ、ケイトウ、薄紫のアゲラタム、ブラックベリーに、グリーンはミスカンサス
花束を腕に収めて、目を見張る千里
ありがと、いいのかなー
おもちゃの良し悪しはわかるんだけど、女の子への贈り物はよくわからないから、無難にお花でごめんね
うれしいよ。卒業式とかでしか、貰ったことないし
笑顔で花束を見つめている千里を見て、「かわいい」と太郎がいう。
なに言ってんの、やだなー
かなり本気で、大阪につれて帰りたいんですけど
今度、遊びに行くから、案内してね
こんだけ言ってもわからない、鈍感千里に、太郎、逆に笑ってしまう

太郎の笑いに気づいた千里、「なに?」と尋ねる
なんも
そ?
太郎の手に、もうひとつ花束があるのに気づく千里、
それ
うん、井上さんに
きっと喜ぶよ
そうだといいけど
千里、玄関の照合機を押す

<<川>>

<<の新曲は>>
函館本線
<<の発売記念インストアライブを行ったのは>>
銀座山野楽器!!
2人で声を合わせて山川豊クイズを正解して、玄関を入る千里と太郎


廊下を曲がって井上さんの額の前まで来ると、幸いにも待機中
ねー、井上さん
太郎が平面の井上さんに声をかけると
はい?
ローテンションで返事をして額から飛び出す井上さん
はい!
太郎がブーケと差し出す
お城、案内してくれて、ありがとう
ミニひまわり、サンダーソニア、トルコギキョウ、スプレーバラ。元気なビタミンからーのブーケは、メイド服に似合うように、少し小ぶりに作られている
あ…
井上さん、花束手にしてちょっと頬染めたような気がしたけど、あっという間にいつもの能面フェイスに戻り、
また来いよ、待ってるぜ!
太郎にV サイン
太郎もVサインを返す
2人の様子を見て千里、笑顔


井上さん、お花、生けたいの、花瓶ある?
あー、ありますよ
太郎さん、お花生けてくるね、リビングに行ってて
うん

井上さんと歩き始めた千里、太郎のところまで戻ってきて
携帯、水没させちゃうといけないから、持っててもらっていい?
とポケットから携帯電話を出して太郎に預け「リビングのデスクにでも置いといて」とお願い
わかった




お待たせー
千里、リビングに花瓶を抱えて入ってくる
携帯、ここに置いたよ
デスクを指差す太郎。うなずく千里。
ダイニングテーブルのセンターに花瓶を置いて、あらためて花を見て、千里、「ありがと」と、もう一度太郎にお礼を言う
井上さんは?
自分のお部屋に、お花を置きに行くって
井上さん、お部屋があるんだ
うん、あたしも初耳。
まあ、一日中、額の中ってわけないもんね。
そうなんだけど、いつも、大体、額の中で待機してるんだよ
千里、「いつ寝てるのかが、わかんないんだよねー」と首をかしげる
ねぇ、千里ちゃん、
ん?
城の中を探検していたら、面白い部屋、見つけたんだ
へー。
多分、千里ちゃんも知らないと思うよ
どこどこ?
こっち
太郎、リビングを出て、井上さんの額の廊下まで戻る
井上さんの額はまだ抜け殻
ここ
ここ?
玄関から階段を上がってきて、リビングに行く、廊下の曲がり角。アンティークの電話機が置いてある。
太郎の指差したのは、その電話機の隣の壁
ただの壁に見えるけど
でしょ?
この前、電話機いたずらしてて気がついたんやけど、この電話、ダイヤル回すと、識別音みたいなのが聞こえてね…
太郎、受話器を取って、ダイヤルを回す
何回か回したあと、受話器を置くと、リンと、小さい金属音がする
すると


ごごごごごごごご


電話の隣の壁がスライドして人一人通れるくらいの幅に開く
わ!
千里、驚いて眼を見張る
え、何したの?
暗号、解いちゃいました!
太郎、にこっと笑って親指を立てる
なんでわかったの?
小さい頃、新造さんから聞いたことがあってんけど、
うん
新造さんが、自分で新しく家を作るときは、書斎のほかに発明の部屋も作るんだって、言ってたのを思い出してん
61、43、74、12、55、64、81
ポケベル?
そう。「は・つ・め・い・の・へ・や」
え、そのまんま?
そうみたいやな
行ってみよ
うん




狭い通路を抜けていくと、こじんまりとした部屋に出る
多分、ここが、新造さんの発明の部屋
太郎が灯りをつけながら言う


部屋にはいって、一番最初に見えたのは、発明品が飾ってあるショーケース。その隣には本棚
もう一面の壁沿いに図面筒がたくさん入っている収納BOX。並んである製図板には羽根ばたきが乗ったまま
向かい合う壁には工具類がかかっていて、作業台からすぐ手が届くように配置されている。ジグソーや万力が据え付けられている作業台には、作りかけの発明品や、ねじやビスが入った部品箱
そして、もうひとつの壁にはトリックハート城の絵。その絵を囲むように、兄弟一人ずつの写真が、額に入って飾られている
部屋の真ん中には、木製の立方体の椅子だろうか。背もたれがないから、すわったまま、自由にどの壁も見ることが出来る
千里、圧倒されたように部屋を見回している
新造さんの頭の中を見ているみたい
びっくりしたでしょ
うん
俺も、最初に入ったときには、驚いた。まるでさっきまで新造さんがここにいたみたいで
千里、部屋中あちこち、何度も見回しすぎて、目が回りそう
みんなをびっくりさせることが、大好きだった新造さんは、ここでこっそり、いろんな作業をしていたんだと思うよ。みんなの笑顔を、思い浮かべながらね
ほら、ここの床、開くようになってて、
太郎が床の一部を引き上げる
千里、一緒に暗い穴を覗き込むと床下に階段が続いている
下にはちゃんとトイレや水場や、仮眠室も備えてあるんだよ
ほんとに隠れ家だね
うん
太郎さんが、熱心にお城を探検していたのは、このお部屋を探すためだったの?
そればっかりでもなかったんだけど。見つかったらいいなあとは思ってた
太郎さんは、新造さんの思い出、いっぱいあって、羨ましいな。
大阪に行くまでの、小さい頃の思い出がほとんどだけどね


千里ちゃん、俺ね、新造さんが大好きだった
新造さんに娘さんがいることは、知らなかったから驚いたけど、千里ちゃんに会えて良かった。
うん、わたしも、今まで知らなかった新造さんの話が聞けて、楽しかったよ


俺ね、ここんとこ、考えてたことがあるんだけど
何?
千里ちゃんを、連れて行きたいところがあるんだ
他にも、秘密のお部屋を見つけたの
ううん

俺んち

俺んちに、来てくれない
いつ?
この先ずーっと、俺と一緒にいてほしいんだ、千里ちゃんに
あの
やっぱり千里ちゃんにはちゃんと言わないと通じないんだな

一緒に大阪に来て欲しいんだ
ちょっと待って
さすがに展開がなんとなくわかった千里
俺と、結婚してください
!!!!!!そんな突然言われても!!!!!!
千里mその辺のものにぶつかりながら、がたがたと後ずさる
そんな千里を見てくすくす笑う太郎
突然じゃないよ。もう20回も、意思表示してたのに、千里ちゃん、全然、わかんないんだから
…全然わかんなかった
だろうね
太郎、ため息
千里、赤くなる次第にもまだならないほど、びっくりしている。まさしく、はとが豆鉄砲食らったかのような表情
考えたことも、なくて
うん、だから、考えて
・・・・・・
制限時間は3時間
は!?
この部屋には、新造さんが篭るように作った部屋なんで、さっき紹介したように、トイレも水場も完備してます。
は!?
お菓子もたくさん用意したから
作業台の上には山盛りの菓子鉢
太郎さん、ちょっと、
じゃあ、よろしく、と太郎部屋を出て、扉を閉める
ごめん、千里ちゃん。ちょっとの間だけ、ここにいてくれる?
扉の外で、太郎の優しい声がする
いくら優しい声だからって、閉じ込められたことには変わりはない
千里、遠ざかる足音を聞いて
えー、ほんとにー
あっけに取られ、部屋を見回す