フジテレビ火曜9時ドラマ『アタシんちの男子』を楽しみましょう!!
ドラマは感動のうちに幕を閉じましたが、まだまだ『アタ男』熱は冷めません。
終了したドラマなのでネタバレ含みます。ご承知おきください
『アタシんちの男子』をこれから見る方、ストーリー、次回予告、登場人物をお探しの方は、
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『続きシリーズ』『その後シリーズ』など、お話を読まれる方は、
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アタシんちの男子のその後を考えよう

続けます
加筆修正、取り下げの可能性、あります
ごめんなさい



少し夜も更けた頃


翔に待ってやれといわれたものの、やはり気になって、智の部屋の前をうろうろしてしまう千里
ドアをノックしようと、手を上げて拳を作ってみては、また手を下ろす
千里、何度も逡巡するが、思いなおしてきびすを返す
と、こちらに歩いてくる優に気づく
おかえり、優。
ただいま
仕事から帰ったばかりの優
おつかれさま
疲れた。・・・でも、楽しかったよ
親指立ててグーサイン。にっと千里に笑顔を見せる優
がんばってるねー
千里も、同じサインを作り、にっと笑う


そういえば、妹さんの上京する日、決まった?
うん。8日って言ってたかな。
そろそろだね
とりあえず、事務所が手配してくれたホテルに一時落ち着くって行ってた。
そう。知らない人ばかりで、遠慮しちゃったかな?
段取り付けてくれた、事務所の顔を立てるみたいなことを言ってたけど
へえ、大人ー。しっかりしてるんだね
七海は僕よりずっと、しっかりしていると思うよ
優、照れくさいやら嬉しいやら。


千里さん、智んとこ行って来たの?
ううん。…今日のこと、聞いた?
さっき、風に会って、大体は
そう…
千里、壁に寄りかかってぽそりと呟く
あたし、やりすぎちゃったのかな…

智を連れ出したこと、良かったのかなって
千里さん…。
いつも、人のためになると思って、いろんなことをするんだけど、今回の智のことで、ちょっと、考えちゃった

あたしにそんな資格ないのに、智のこと振り回しちゃってるんだなあって
優、千里の隣の壁に寄りかかる
それは違うよ、千里さん
え?
僕たち兄弟は、それぞれ何かが欠けてる家庭で育ってきたけど、相手が、自分のことを思ってやってくれたことなのかどうか、わからないわけじゃない。
優、千里の顔が見られないから、壁に並んで寄りかかったまま、正面を向いて話している
むしろ、千里さんみたいに、迷いなく自分の気持ちをぶつけてくれるの、すごく嬉しいんだ
部屋の中の智、外の気配に気づき、ドアに近づく。
優と・・・、千里さん?
優が言葉を続ける
ただ、僕たちは、そういう愛情に慣れてないから、照れたり、反発したり、ふざけたり、黙っちゃったり、悪態ついたりしちゃうけど、自分のこと、大切に思ってくれているのは、ちゃんとわかってるんだ。
優、智の部屋のドアを見る
智もちゃんとわかってるよ
優の真似して、千里もドアを見つめる
智にも、優の言葉が聞こえている
だからね、千里さん。智のこと、信用して、少し待ってみてくれない?
今回のこと、智にとってすごいショックな出来事だったとしても、絶対、智は自分でちゃんと考えて、自分で部屋から出てくるから
優・・・
智も、男だからね。僕たちは兄弟だから、あいつを信用しようと思う
言ってて自分で照れちゃった優。ごまかすように、にっと笑う
優の表情を見て、千里「いいなあ」と呟く
翔も言ってた。兄弟だから、信じるって。
智、「翔も・・・」と呟く
あたしもそんなふうに言ってくれる、兄弟がいるといいな。
何言ってるの。千里さんは、僕らの家族じゃない。確かに母親ではなくなったし、姉とか妹とか、そういう呼び名は付けられないけど、僕らが智を信じているように、千里さんのことも信じてる
優、自分の言葉を確認するように、うん、と強くうなずく
千里がもたれかかっていた壁から身を起こし、ちょっとてれながら、優を正面から見る
ありがとう、優
きっぱり言ってみたものの、千里の反応に、火を噴くほど顔を赤くする優。両手で顔を覆って下を向く
まじめに話すのって、恥ずかしいね
千里、優の様子に微笑む


二人、智の部屋のドアをみつめる
うまくいくといいね
きっとうまくいくよ




ドアの内側にいる智。二人の会話を聞いて、そっとドアを離れる。
智、ベッドに座って膝を抱える


「智は自分でちゃんと考えて、自分で部屋から出てくるから」
優が千里さんに話していた言葉は、本当は俺が千里さんに言ってあげなきゃいけないんだろうな
智、一つため息をつく


「智も、男だからね。僕たちは兄弟だから、あいつを信用しようと思う」
優に男だからといわれちまった。智、ふっ、と小さく笑う。
しかし次の瞬間、あいつを信用する、という言葉を思い出し、神妙に口元が引き締まる
智、もう一つ、ため息をつく


自分の過去にも、過去の感情にも、自分でけりとつけるしか、ないんだよな
抱え込んだ膝に、顎をめり込ませる智


そのまま流した視線の先に、自分の爪先が見える
更にもっと先に視線を流すと、天窓から差し込む月明かりが、四角く床を照らしている。
ベッドから立ち上がって天窓を見上げると、まだ満月には少し足りない形の月が、冴え冴えと輝いている


智は、月を見ながらフローリングに直接座り込む。


下を向いて考えるよりも、いいかもしれない


智は、足を投げ出し、月を見上げて、これからのことを考えることにする