フジテレビ火曜9時ドラマ『アタシんちの男子』を楽しみましょう!!
ドラマは感動のうちに幕を閉じましたが、まだまだ『アタ男』熱は冷めません。
終了したドラマなのでネタバレ含みます。ご承知おきください
『アタシんちの男子』をこれから見る方、ストーリー、次回予告、登場人物をお探しの方は、
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アタシんちの男子のその後を考えよう

「その後」の脱線です
あ、猛出すの忘れた!の一点突破(笑)
脱線の脱線のくせに長い!どーいうこと!?って、つまりは書くのが楽しかったんですよね
話は展開しませんが、少しだけその日の夜につながっています
例によって、加筆修正取り下げの可能性あります
よろしければどうぞ


その日の深夜


気がつくと、考えすぎでおなかがすいてきた智
時計を見る
「萬菜庵、閉まっちゃったかー」
引きこもりの時の、貴重な食料調達先も、店がやってなければ、話にならない。
冷蔵庫になんかあったかな
そーっと扉を空けて、廊下を確認
誰もいないなと、抜き足差し足で廊下を進む
人に心配かけといて、腹が減ったもないよな、と、ちょっと気を使ってしまうが、育ち盛りの男子には、空腹はかなりつらいもの


リビングの入口でこうもりにそーっと触れるが、いつもと同じ音量でキキキと鳴く
ビクッとして、辺りを見回す。よかった。誰もいない
ホッとしてリビングに入る
ぉわ!
ダイニングテーブルで蕎麦すすってる猛
特攻服の上に板前の白い甚平上着着用
あんだよ、引きこもってたんじゃ、ねぇのかよ
蕎麦で口をもごもごさせながら、箸で智を指す
うるせぇよ
何しにきたんだよ。ドロボーみたいな歩きかたしやがって
智、気に触る言い方に口元をゆがめる
お前こそ、何だよこんな夜中に
今行ってる現場でよ、お盆休み前ってことで、納涼会があったんだよ。帰ってきたら、小腹が空いちまってな
小腹って量じゃないだろ
ざるに山盛りの蕎麦と寸胴いっぱいの汁
男がちまちま料理してられっかよ!
にしても限度があるだろ!
そう思うなら、お前も手伝え。上手いぞー。萬菜庵仕込みの俺様の汁!
・・・
空腹の智、唾を飲む。でも、素直に猛に従うのもなんだか癪に障る
無計画に作るほうが悪いんだろ
あ、そー。そーですか。いらないんですねー。あーあ、こんなに美味い蕎麦なのによー。まー。俺様1人でいただいちゃいましょー
嫌味な笑顔で蕎麦を見せびらかす猛
・・・しょうがねぇ、食ってやるよ
あ?
食ってやるって言ってんだよ!
猛、勝ち誇った笑顔
行儀わるいねー。イマドキのガキは。いただきますは?
猛、おたまとお椀を持ってニヤニヤ
・・・いただきます
よし食え!!
たぷたぷに汁を張ったお椀を智に手渡す
バカ、こぼれんだろー
慎重に受け取る智
葱!山葵!海苔!七味!
猛、薬味皿をビシッと指し
さあ食え!遠慮なく食え!たんと食いやがれ!
とその指を智の鼻先に突きつける
邪魔!
箸を持った手で猛の手をよけて、智、蕎麦を掴むと早速ひとすすり
・・・
どーだ!
自信満々でふんぞり返る猛にちょっといらっとくる智
ところが、萬菜庵でバイトしてせたいか、猛の蕎麦は予想以上の美味。
「なんでか、いつも、蕎麦だけは美味いんだよなー」と思った智だが、さすがに素直に褒めるわけには行かないので、
まーまーだな
と小さい声で言う
んだとこら!俺の蕎麦がまーまーだとぬかすのか、このヘルメット
ヘルメットじゃねーっつってんだYO!
あ、てめ、まーまーとかぬかしながら、箸が進んでんじゃねーかYO!
それは腹が減ってたからだYO!
ちょうどそこへ、翔が帰ってくる。
ただいまー。・・・あ、蕎麦!!
リビングに入るなり、テーブルの上の蕎麦を発見
腹減ってたんだよー
真っ直ぐダイニングテーブルに近づき、さっさと汁を椀に張る。右手で割り箸とって、口にくわえてパキ、と割り、あっという間に食べ始める翔
立ち食い蕎麦じゃねーんだぞ、おらぁ
うるせーよ。
もごもごと反論
挨拶はねーのか、挨拶は!
なに?
いただきますとか、ありがとうととか、人として、基本だろーが
親父、腕上げたねー
翔、箸で猛を指してウインク
へへへ、どーも
猛、項に手をやってぺこぺこ照れ笑い。はっと気づいて
俺は蕎麦屋じゃねー!
そうだっけ?
きいちゃいないって顔で翔、蕎麦に箸をのばす。
千里からネカフェでの顛末を聞いてるはずなのに、いつもと全く変わりのない翔を、不思議に思いながら見ていた智に、
食わねーの?
と翔が声をかける
食うよ
慌てて箸をのばす智
蕎麦をすする音の二重唱
翔、ぴた、と手を止め智に、
どうだ、蕎麦の味は?
とにやりと笑いかける
まーまーだな
智もにやりと笑い返す
まーまーだよなー
翔も賛意を示しうなずきながら、また蕎麦をすする
そんだけ食べてるなら、絶賛しやがれ!
猛、下唇を突き出して、翔と智をじっと見る
まーまだなー
まーまーだよなー
猛をスルーして蕎麦をすする翔と智
すごい勢いで食べる二人に、不安になった猛
てめーら、俺の分も残しとけよ!
と、褒めてもらうのは後回しにして、自分もお椀と箸を掴んで蕎麦争奪戦に参戦
蕎麦をすする音は三重唱になって、リビングに響く


三人がかりであっという間に蕎麦を平らげると、着順を争うようにテーブルに箸を置く音
食ったー!!
と三人、ふーと、満腹の息をついて、背もたれによりかかる
俺が作ったんだから、片付けはお前らがやれよ
爪楊枝をくわえた猛が言う
なんとなく目を合わせた翔と智。だるそうにじゃんけん
最初はグー、じゃんけんぽい
やり!
うわ〜、まじかよ〜
勝者・翔。敗者・智
智、机に突っ伏す
きっちり片付けとかねーと、ちびっこが怒り狂うぞ
てめーが散らかしたんじゃねーか
おめーも食ったろーが!
めんどくせ〜
おーし、じゃあ、後は智に任せて俺はサウナでゆっくり
翔がうーんと伸びをする
ちょっと待て!サウナは俺が行くんだよ
翔の肩をつかんで抗議する猛
なんだそれ、飯もサウナもお前となんて勘弁してくれ!
それはこっちのセリフだろーが!
俺は仕事で疲れてるんだ
女のご機嫌とる仕事のどこが疲れるっつーんだよ
うるせー。お前にはできねー精神労働をしてんだよ。
んだと、おらあ!
やんのか!
二人で掴み合いをしながら、リビングを出て行く猛と翔


智、あまりにいつもどおりの二人に、あっけに取られる
猛はともかく、翔は千里に聞いて、今日のネカフェでのことを知っているはずなのに。
何にも言われなかったことに、ちょっと拍子抜けしてしまう


なんだよ


俺が、とるにたらねーことで悩んでるみたいじゃねーか
すねてアヒル口になる優


猛と翔の、全くいつもと変わらない様子を思い返し、
いや、ほんとにとるにたらねーことなんじゃねーのか?
智、くしゃくしゃと頭をかく


目の前に、散乱した食事の残骸
とりあえず、これを何とかしないと


お盆にのろのろと椀皿を集めながら考える
物事って、見方次第で、変わるのかもしれない
と智は思う
俺にとっては一大事でも、他人にとってはたいしたことではないのかもしれない


そう思うことは自分が世間から見て、重要人物じゃないみたいで、ちょっと淋しいけれど
考え方によっては、すごく楽になれるんじゃないか?


そんなことを思いながら、キッチンに食器を運びこむ


!!!!!!!!!!!!!!!!!

智、びっくり
中で自爆テロでも起きたんじゃないかってほど、キッチンが散らかっている
まじかよ・・・。
あ゛〜、もう!!猛の野郎〜〜〜!!酒飲んで料理するからー
いないところで怒ってみても仕方ないけど、これは俺にとって、間違いなく一大事だよ。朝までかかるんじゃねーか?
考え事は一時中断
引きこもりで部屋から出なかったときよりも、イライラさせられることはすごく多いけど、考え込もうとしても、この兄弟はそれを許さないほどやかましいのが、とりえかもしれないな


そうでも思わないとやってられない
智は意を決して後片付けに立ち向かうのでした