フジテレビ火曜9時ドラマ『アタシんちの男子』を楽しみましょう!!
ドラマは感動のうちに幕を閉じましたが、まだまだ『アタ男』熱は冷めません。
終了したドラマなのでネタバレ含みます。ご承知おきください
『アタシんちの男子』をこれから見る方、ストーリー、次回予告、登場人物をお探しの方は、
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『続きシリーズ』『その後シリーズ』など、お話を読まれる方は、
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アタシんちの男子のその後を考えよう

「その後」作っていたはずが、落としどころのない妄想記事になっちゃいました
脱線の脱線です。
ごめんなさい
ある夜の話です



真夜中のトリックハート城


翔、仕事が終わってやっと帰宅
疲れたなー
肩をもんで首を回しながら廊下を歩く
廊下の角では額から外れた井上さんが、壁に寄りかかって眠りこけている
メイド服のまま、大口開けて、軽くいびきをかいている寝姿を見て、
井上さん、いつも、ここで寝てるのか?
翔が声に出して喋っても井上さんは反応なし
歩く監視カメラも夜中はお休みなんだな
ねー、ちゃんと布団敷いて、横になったらー
翔、井上さんの肩を揺するが、返事のようにいびきのリズムが変わっただけで、目を覚ます気配がない
もう少し強めに揺さぶって見るが、いびきが抗議しているかのように不機嫌な調子に大きくなり、井上さん、ぶん、と腕を振る
お!
殴られそうになって慌てて身をかわす翔。
井上さん、何事もなかったようにまた一定のリズムの軽いいびきに戻ってしまった。
まあ、井上さんなら、風邪もひかないでしょー
翔、起こすのをあきらめて井上さんの前を離れる


廊下の絨毯を踏む微かな音も際立つほどの、城ごと眠っているような静けさ。
お茶を入れて部屋に帰ろうかな、と廊下のこうもりを叩く
キッチンに向かうためにリビングを通過
階段を上りかけたとき、翔、ちょっと違和感を感じ立ち止まる
人の、・・・寝息?
井上さんのいびきがここまで聞こえるわけないよな
と、今、入ってきたばかりのリビングの入口を振り返ると、階段脇の1人掛けソファで千里がうたたね
翔、驚いて千里のそばまで戻る。
腕時計を見ると、2時少し前
規則正しい寝息は、うたたねって言うより、熟睡?
いつから寝てんだ?
今日はうちの女子は揃って居眠りする日なのか?
姫も門番も眠ってるって童話、なんかあったよな。
記憶を探るが、遥か彼方。絵本の挿絵が思い出されるばかりでタイトルも物語も思い出せない。


夏だから、風邪もひかないだろうけど、ちゃんと寝たほうがいいだろ。
翔、千里を起こそうと手を伸ばしかけて、ちょっと躊躇
井上さんみたいに、殴んねーだろーなと、しばし観察
千里はオットマンに足をのせて、体を少し右に傾けて、すやすや寝息を立てている。
なんか、久しぶりにゆっくり顔を見た気がするな
翔、ダイニングの椅子を一つ持ちに行く。音を立てないように慎重に、千里のソファの右側に据える
その椅子に横向きに座り、腕時計を確認。
5分だけ
と、眠っている千里にお願い。
普段なかなか独り占めできない千里に、ちょっとの間自分専用でいてもらう
脚を組み、背もたれを肘掛にして頬杖を付いて寝顔を見つめる。
千里のひざの上には読みかけの本が、左手から落ちてちょっと閉じかかっている
右手には読書に付き合わせていたらしいゴールデンレトリバーのぬいぐるみ・夢犬DX。抱きかかえられているというよりも、ちょっと押しつぶされ気味に千里と肘掛の間に挟まっている
翔、千里のひざの上の本に手を伸ばし、開いているページに指を挟んで、そーっと持ち上げる。
図書館のバーコードの付いた、ハードカバーの推理小説。
本の背表紙に付いた紐のしおりを、開いていたページに挟んでから、ぱらぱらと前後をまくる。眠る前の何ページかは憶えてないんじゃねーのかな?本と千里の顔を見比べる。
田辺家の畑に通うようになって、千里は少し日に焼けたかもしれない。
毎日会っていても、気がつかないことってあるんだな、と新鮮に感じる反面、
毎日って言っても、最近は、朝食のときくらいしか会えないんだなと、少し物足りなさも感じたりする
あとは俺が早く帰れた夜や、千里ががんばって夜更かししてくれている夜に、少しだけ話せる時間が作れるくらい。
「今夜は持たなかったみたいだけど」と、規則正しく聞こえる千里の寝息に微笑む

いいこと思いついちゃった翔、ポケットを探って携帯電話を取り出す。
ばれたら絶対怒るだろーねー
カメラ起動して、慎重に画角を決める。

シャッター音
に、と笑って、出来栄えを確認。
千里が身じろぎをする
ん・・・
シャッター音で目を覚ましたらしい。残念。翔の独り占めの時間は終わり
翔、急いで携帯電話をポケットにしまう


まぶしそうに目を開ける千里
あれ?
隣で翔がニコニコと自分を見ているのに気づく
あ、おかえり
起きぬけの、ちょっと喉に引っかかったような声
ただいま
何もしてませんでしたよとアピールするとように、椅子の背に肘をかけて千里を見る。
「なんか、結構、寝ちゃった気がする」といいながら、千里は、自分の右脇で潰され気味のぬいぐるみを救出してひざに乗せる。
と、千里、自分の隣に座っている翔の椅子が、ダイニングテーブルから持ってきたものだと気づき
翔は、なにしてたの?
翔、頬杖付いたままちょっと笑って
見てたんだ
え?
千里を
と、首を傾げて千里を見る
え・・・と
千里、びっくりしてちょっと赤くなる。
翔、自分の口元を示して、にっと笑い「よだれ」とからかう
うそ!
あわてて口元に手を当てる千里
うそだよー
くすくすと笑う翔。
ちょっとー!
腕を伸ばして翔を叩く
いて
千里、髪をくしゃくしゃとかいて「もー、起こしてくれればいいのにー」と翔に抗議
その様子を見て楽しそうに笑う翔
・・・いつからいたの?
千里、気まずそうに翔をうかがう
ちょっと前。帰ってきたら寝てた
そーなの。
不満そうに唇尖らせている千里。不覚を取られたって表情
畑、疲れる?
そうでもないけど、前より体は動かしているかもね
ベッドでちゃんと休まないと
そうだね
翔、膝に乗せていた本を千里に返し、
本、しおり挟んだけど、合ってるかわからないよ
ありがと
自分の腕時計を指差す翔
もう、遅いよー。2時過ぎた
明日はお休みだから、大丈夫
そか
千里、変な姿勢で寝て、体がこっているので、「うーん」と座ったまま背伸びをする。バランスを崩して、ひざに乗っていた犬のぬいぐるみがころんと落ちた。
翔が拾ってそのぬいぐるみを撫でる。
千里に潰されて、圧死しそうだったよ、こいつ
大丈夫?
翔、夢犬DXを床に置いて、壊れてないか、タッチセンサー部分に触ったり、や「shake!」「sit!」と声をかけて点検してみる。指示にはちゃんと反応しているようだ。
平気そう
点検、といいながら、「lie down!」「speak!」となんだか楽しそうに遊んでいる翔。ぬいぐるみの前に座っているので、ソファの上の千里から、いつもは見ることのできない翔のつむじが見える。
人って見る角度によって印象が変わるみたい、と千里は不思議そうにつむじを見つめる。頭の上から見ると、翔はなんだかいつもより無防備に見える。背の高い翔から見ると、あたしはいつもこんな風に見えているんだろうか、と千里は思う。そのままの視線で翔に話しかける千里
翔の顔を見てから休もうと思って、起きて待ってたんだけど、結局寝ちゃった
俺の顔?そうか、俺、いい男だしなー
夢犬と握手しながら答える翔。そのしぐさと言葉に、千里、ちょっとふき出してしまう
そういう意味じゃなくてー・・・
違うんだってさー
翔、わざとらしいため息をついてみせる。夢犬の頭を撫でると、反応した犬がパタパタと尻尾を振る
翔が夢犬の点検しながら遊んでいるので、自分のほうを向かないと思い、千里、ちょっと本音をこぼしてしまう
・・・最近、あんまり会えなかったから
犬と遊んでいた翔の動きが止まり、返事の代わりみたいに千里を見上げる
予想を裏切られ、視線があってしまった千里。恥ずかしいので翔の視線を手に持っていた本でブロック
隠れ場所を探すようにオットマンに載っていた両足をソファの座面に引き上げて小さくなる
翔、立ち上がって本の向こうの千里の頭をぽんぽんと撫でる。千里、顔を赤くしてうつむく。
会えないよな。
うん
時間、作る気にならないとな
うん
翔、ソファの正面に回り、オットマンに腰掛ける
俺も千里の顔、見たいんだけどなー
と千里を見上げるような目線でお願い
・・・
千里、少しだけ本をずらして、問いかけるような視線を翔に向ける
酔ってるかって言いたいんだろ
ちがうの?
ちょっとだけ
やっぱり
詰めてた息を吐き出して、千里、背もたれに体を預ける
緊張したー!
何で緊張してたの?
なんか、恥ずかしくなるような事、言うから・・・
あんまり何度も確認すると、酔ってることにして、あれこれいったりやったりしちゃうかもしれないよ
あれこれって何よ
さー、なんでしょー
翔、両膝に肘を持たせかけて、頬杖ついてニヤニヤ笑い
心底楽しそうな翔の表情に釣られて、苦笑いだった千里も思わずほんとの笑顔に変わる


向こうで、井上さんも寝てたぞ
ほんと?井上さん、いつ寝てるか不思議だったんだよね
でも、居眠りっぽい寝方だったけどな。
うちのセキリュティ、大丈夫かなー
なあ
お姫様や門番や、城中が眠っちゃう童話なかった?
あったね。いばら姫だっけ
どんな話?
呪いをかけられたお姫様が、糸車で指を刺して、100年の眠りについてしまうと、お城中、みーんな眠りにおちて、茨に包まれてちゃうの。ある日、やってきた王子が茨を開いて、眠っているお姫さまにキスをすると、お姫さまが目を覚ますの。で、お城のみんなも目を覚まし、二人は幸せに暮らしました。めでたしめでたし…、みたいな話だったと思うよ。
ああ、眠り姫のことか
そうそう、きっと同じ話だね
そうか。シャッター音じゃなくて、キスで姫を起こしてあげればよかったな
!?
翔の言葉を聞いて、千里が固まってしまった
また小鹿の地雷を踏んでしまったかな?と、心配した翔だったが、千里が引っかかったのは別のこと
シャッター音って、なに!
え?気のせいじゃない?
写メ、撮った?
撮ってない撮ってない
じゃあ、携帯見せてよ
携帯持ってないよ
嘘ばっかり!


全然色っぽい展開にならないことが一番問題なんだけど
久しぶりに千里とリビングでケンカしながらゆっくり過ごすか、早めに退散してせっかくGETした千里の寝顔を死守するか
ちょっと迷いながらも、翔は、とりあえず、千里との携帯電話攻防戦を、楽しむことに決めたみたい



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*1:夢犬DXはドラマで使用されたセガトイズのおもちゃです