フジテレビ火曜9時ドラマ『アタシんちの男子』を楽しみましょう!!
ドラマは感動のうちに幕を閉じましたが、まだまだ『アタ男』熱は冷めません。
終了したドラマなのでネタバレ含みます。ご承知おきください
『アタシんちの男子』をこれから見る方、ストーリー、次回予告、登場人物をお探しの方は、
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『続きシリーズ』『その後シリーズ』など、お話を読まれる方は、
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アタシんちの男子の針を進めたら…

とにかく好きなように書いてますね
もはやお話の体裁じゃなくなってます
困っちゃいますね(笑)




■特攻服の使い方






工務店の前

仕事を終えた従業員が、「お疲れさまっしたー」と声を掛け合い、家路につく
猛が特攻服を羽織っているのを見た一輝
なんだ、今日も仕事か?
と声をかける
おぉ
ヘルメットかぶりながら、猛がお返事
あいつが、飯食いに寄るように、猛に言っといてくれって
小月さんが?


小月(さつき)というのは、一輝と一緒に暮している女性だ
猛がトリックハート城を出た6月末頃から同居を始めた
小柄なんだけど、色白でまん丸の顔、まん丸の目。
たぶん、小金井響子くらいの歳じゃないかと猛は踏んでいる
口数は少ないが、いつ会っても、始終、ニコニコ笑っている
親父もかなり口数が少ないほうだが、小月には何でも話せると、恥ずかしそうに言っていた
耳にしたことは何でも素直に信じる女で、猛の軽口にまったく動じないどころか、全部「そうなのー」とうなずいてしまう
二人が暮しはじめた時、年に似合わず初々しい様子を見た猛が、「一輝(かずき)と小月(さつき)なんて、双子の演歌歌手か夫婦漫才みてーじゃねーか」とからかったときも、小月は「あ、ほんとね。さすが猛くん、目の付け所が違うわねー」と感心したように頷いていた
その姿に、脊髄反射で喋っているような猛も、こりゃあ、めったなことは言えないなと、すっかり小月のペースに巻き込まれている
もちろん、一輝はそんな小月の隣で、ニコニコ笑っている。
猛に言わせれば「ニコニコ」ではなく「デレデレ」なのだが
一輝が言うには、なんでも、相当な苦労をして、今の仏みたいな性格になってしまったらしい。
そんなところが、不運としか言いようがない偶然で収監されてしまった一輝と響き合ったのかも知れないと猛は思っている


久しぶりにお前に会いたいそうだ。何とか近いうちに予定つけてくれ
苦笑いのような照れ笑いのような表情で、右手で猛を拝む
おぉ。
猛、父親のそんな姿を見るのもなんだか面映く、ごまかす様に片眉上げて一輝を見る
うまくいってそーじゃねーか
まあな
一輝も恥ずかしそうに、自分の鼻先をこする
あー。いい年して、なんだかなー
猛、大げさにあきれたような声で言うと、バイクにまたがり、キックでエンジンをかける。が、上手くいかない
「なんだよ」といいながら一輝、眉根を寄せるが、隠し切れない幸せ顔
ま、よかったんじゃねーの?
もう一度、体重かけてキックペダルを蹴り下ろすと、今度はエンジンがかかった
お前も、早いとこ、誰か見つけろよ
幸せ惚けの笑顔で一輝が猛の肩を叩く
寝ぼけたこと言ってんじゃねーぞ
猛、一輝の手をうるさそうに払い、クラッチを切ってバイクを発進させる
「身内がのろけるってーのは、どう対処していいか、わかんねーなー!!
と猛はエンジン音に紛らせて大きな声で愚痴をいう




さーて、仕事の前に、腹ごしらえをしにゃならん
仕事が終わってからの配送バイトは、とにかく腹が減っていけねー
自分の都合でどんどん届けていいものなら、さっさと終わって家に帰るとこなのだが、時間指定というやっかいなものがある
日中の配送は、猛が都合付かないので、アタッシュケースの中身を知るもう1人の人物、スマイリースマイリーの社長が、猛の特攻服を羽織って代理を勤めたことがある




もー、やだ!!
スマイリースマイリーの事務所に帰ってきた社長、いきなり切れている
羽織っているのは赤い特攻服
猛よりも10歳年嵩で、体重も10キロ以上多い社長、猛の特攻服の前ボタンがしまらず、文字通り「羽織って」、
更に身長も猛よりも10センチ近く低いもんだから、王様のマントのようにくるぶし丈ではためかせている
お前の代わりなんて、金輪際やだ!!
はあ?
特攻服を返してもらいながら、猛、社長の剣幕に鳩が豆鉄砲食らったような表情
お前の代わりにSPに凄まれるわ、信号待ちで特攻服をじろじろ見られるわ…
社長、へたくそにまとめたリーゼントをわしゃわしゃとかきむしると、無言で受話器を上げて、電話をかける
猛、命より大事な特攻服に痛みがないか、入念に細部までチェックしている


あ、スマイリースマイリーですー。いつもお世話になっておりますー。営業部の暮明さんをお願いいたしますー
打って変わった愛想のよい口調で取次を依頼する社長
あまりの豹変振りに、猛、思わず社長を二度見してしまう
スマイリースマイリーですー。おつかれさまですー。いつもお世話様ですー。
ご依頼のありました、佐山様への「五葉松、1鉢」、竹内様への「楓、1鉢」、無事にお届けが完了いたしましたー。後ほど書面でご報告をさせていただきますー。
猛、刺繍のチェックをしながら、はたと気づき、
そうか、会社名は『株式会社BONSAIエージェント』だったから、ブツは盆栽の名前で呼ぶってことか
と、左の掌をを握った右手でポンと叩く
しー!!
受話器から口を離して、唇に1本指を当てた社長、ものすごい形相で猛に黙るように威嚇
猛、「あー!!」と気づき、自分の唇に人差し指を当てる
社長、うんうんとうなずく
大変失礼いたしましたー。それでですねー。大変申し上げにくいことなんですがー。件の配達人(ライダー)は、当社でも大変人気で、依頼が多ございましてねー。多忙のため、貴社の依頼品の配達時刻を18時〜22時限らせていただきたいのですがー
猛、「せっかくのおいしい仕事に条件出すなんて、バッカじゃねーの」と、口パクとゼスチャーで社長に猛抗議
猛のわけのわからない身振り手振りに、社長、うるさそうに、顔をしかめる
あー。よろしいですかー。ありがとうございますー。手前どもの都合ばかり申し上げて、申し訳ございませんー。それでは今後とも、どうぞよろしくお願いいたしますー。ありがとーございましたー。ごめんくださいー。失礼しますー。
ちょっとやりすぎなくらいに慇懃無礼に挨拶をして、社長、丁寧に受話器を置く
振り返った社長。ピース。
もう、俺は配達しないぞ。お前の専属の顧客だ
猛の心配をよそに、その条件はあっけなくクリアになったようだ
カツラメーカーは、相当俺にご執心らしーな
と、調子に乗った猛
ここはひとつ、もう少し、給料に色付けてくれませんかねー
と、賃金のベースアップを求めるも、
無理!
と社長に一蹴されてしまった
工務店の仕事の後の配達は、腹が減ってどーしよーもねーんだよー。飯代引いたら、バイト代、ろくに残んねーし
とごろついたところ、社長が上限500円で、食事の補助を付けてくれることになった
いーんすか?
まあ、しかたないよね
やけにあっさり付けられた手当てに、猛、社長、俺の上前、はねてんじゃねーかと、疑いの眼を向ける
なんだよ、その目は
上着は特攻服から事務服に着替えたけど、今日はリーゼントの社長、鶏みたいに首を上下させ、メンチ切る
条件反射で猛も応戦
けんか弱そうな二人のメンチ合戦


はじまったぞー
事務所でたむろしてた休憩中のライダー、面白がって2人を見ている








※恒例ですが、これまでにコメントくださった方にお名前を拝借しています。

今回は、小月@さつきさんと、暮明@☆くれあ☆さん

コメント、ありがとうございました