フジテレビ火曜9時ドラマ『アタシんちの男子』を楽しみましょう!!
ドラマは感動のうちに幕を閉じましたが、まだまだ『アタ男』熱は冷めません。
終了したドラマなのでネタバレ含みます。ご承知おきください
『アタシんちの男子』をこれから見る方、ストーリー、次回予告、登場人物をお探しの方は、
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『続きシリーズ』『その後シリーズ』など、お話を読まれる方は、
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アタシんちの男子のその後を考えよう

続けますが、こちらも加筆修正取り下げの可能性ありの書きっぱなしです




ホストクラブ



開店前のミーティング
最近入店したばかりの見習いホストが、翔の背後から小さく声をかける
翔さん
ん?
家族の方が来ています。ミーティング終わるまで待つって、表に
家族って男?
女です。あ、もし、心当たりなかったら、留守って言ってきますけど。ストーカーとかヤバい女じゃ、怖いですよね
いやー。そこまで入れ込んでる客は、今いないからなー
そうっすか
サンキュ。後で行ってみるよ




ホストクラブのビルの前
インターロッキングの敷かれた歩道に座りこみ、膝に頬杖付いて、千里、一つため息をつく
髪をくしゃくしゃとかいて、また、ため息
揃えた膝に伸ばした腕をのせて、できた隙間に顔をうずめる


足音が近づいてきて、千里の前で止まる
靴底で小石の擦れる音
千里が顔を上げると、スーツを綺麗に着こなした、翔が立っていた
笑顔なんだけど、家にいるときとはちょっと違う表情の翔を、不思議な気持ちで見上げる千里。
ごめん、仕事場に来て
翔、ちょっと眉根を寄せて、困ったような顔をしてみせる。これはあたしの知ってる翔の顔だ、と千里は思う。
それは構わないけど、同伴とかしてたら、会えなかったかもしれないんだよ
千里、意味がわからなくて瞬き。
同伴って?
まあ、いいけど。たまーに、店の外でも仕事があるんだよ
ふーん
で、どうしたんだよ、しけた顔して
座り込んでいる千里の額を、指で、トン、と押す

バランス崩して後ろにひっくり返る千里
お!?
痛ったぁ
足腰弱ってんじゃねーの?
うるさいなー。
立ち上がろうとバランスをとる千里の腕を、翔が掴んで引っ張り上げる
パタパタと服の汚れを払う千里
いい加減、話したら?何しにきたんだよ
ごめんね
喋りに来たんだろ?
うん
あんまり時間は取れないけどな。あ、良かったら、遊んでく?
家族割引はないけどな、と店を指差して翔が笑う
千里もつられて一緒に笑う。
ひとしきり笑った後、千里
実は、智のことなの
と、今日のネカフェで起きたことを翔に話す


ふーん。
腕組みをし、あごに手を当て思案の表情の翔
千里と並んでガードレールに腰掛けている
背の高い翔は地面に足を付いて、千里はオーナメントに足を引っ掛けて
智、大丈夫かな
会ったの?
まだ。家に帰る前にここに来たから
千里、不安に表情が曇っている
まー、心配ないんじゃないのかな
明るい口調で翔が言う
そうかな…
ちゃんと国土に断って帰ったんだろ?
そう聞いてるけど
じゃあ、大丈夫だよ
でも…。あたしがネカフェでバイトさせなかったら、智、嫌なこと、思い出さずにすんだんじゃないかと思うと…。なんか、すごい、ひどいことしたなあって…
それはないと思うよ
千里の肩に手を置いて、混乱気味の千里の言葉をいったん止める翔
やり方は極端だったけど、いつかは外に出てかなきゃならねーんだ。
千里の目を見てゆっくりと話す
あいつはまだ17歳なんだから、ずっと家にいるわけにはいかないだろ。
うん
智、見てるこっちがじれったくなるくらいまじめな奴だから、今回のことも、きっちり自分で考えつくして、答えを出すと思うよ
それにな、千里が来る前の、一歩も部屋から出てこなかった智と、今の智は違う
自分から、実家の親にも会いに行ったんだ。あいつ、びっくりするほど強くなってるよ
・・・
俺たちは、あいつがSOSを出したとき、助けてやればいいんだよ
うん・・・
心配すんな、あいつは男だし、俺たち兄弟がついてる。もちろん、千里もな
隣の千里の頭をポンと叩く。その反動みたいに、千里、ちょっとうつむく。
信用してやろうぜ。あいつは絶対乗り越えられるってさ
千里を元気付けようと、翔、明るく言う
うん
まだ浮かない表情の千里
翔、立ち上がって、千里の正面に回りこみ、「千里」と声をかける
ん?
顔を上げた千里の頬を、翔、ふにーっと両手で引っ張ると、にっと笑う
千里がしけた面してたら、はじまんねーぞ。そんなことで落ち込んでるなって、景気つけてやれよ、な
「な」で、ぱっと手を離す。
千里、両手で頬を押さえる。翔、ニヤニヤ
何するのよー
翔の腕を叩く
いて
大げさに腕を押さえる翔
もー、と文句言いつつ、千里も笑ってしまう
千里の気分が少し復活したのを見て、翔、ひと安心と微笑む


仕事、戻るぞ
うん
まー、あいつを信用してやろーぜ
千里を指差して確認
わかった
千里、照れ笑いで頷く
仕事前に、ありがと
ガードレールから飛び降りる千里。自分の服の汚れをパタパタと払い、翔の後姿もチェック
大丈夫、汚れてない。
スーツはホストの戦闘服だからな
にやりと笑う翔に、千里、ふきだしてしまう
気をつけて帰れよ
うん。じゃあ
千里、元気に手を振って、ホストクラブを後にする
翔、しばらく千里を見送ってから、首を回して気分をリセット
仕事場の顔に戻って、店内に帰っていく